使いにくい業務システムが生まれる理由

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/OPINION/20050905/220619/
メモ.

言い始めたらキリがないが,

  1. 使い易いシステムが欲しければ,それに見合う金を出せ.使い易いインターフェースはタダではない.*1
  2. 特に操作性に関してはユーザー側の責任が非常に大きい.ただ黙ってみているだけで良いものを手に入れることは非常に困難.
  3. 技術力が低ければ操作性の優れたものを作るのは無理だろう.しかし無責任なユーザが相手では,どれだけ技術力が優れていても「そのユーザーが望む操作性」を実現するのは極めて難しい.
  4. (素人の)「ユーザーが良いと思っているインターフェース」が,「ユーザーが真に望むインターフェース」であることはほとんどない.
  5. 本当に良いインターフェースを創造することは難しい.素人にはもちろん,専門家にとっても簡単ではない.*2

コメントより.

Windowsのルックアンドフィールを使っていてはいいものは作れないが、
「OFFICEなど他のアプリとの共通性」を要求されるケースが圧倒的に多い。Wordを使っていて効率が悪い例を説明し、改善策を示しても、逆に「標準に則っていない」という理由で受注できなかったことが官公庁に多い。民間企業に納入したアプリのデモを行わせてくれと云っても「うちはお役所だぞ。民間なんかと一緒にするな!」*3と取り合ってくれない。

あのインターフェースが良くないことは,既に何度も何度も指摘されている.
だがそれでも,それに慣れている素人から「直感的で使いやすいインターフェース」*4だと言われることがある.「MS-Officeと同じように使い易いインターフェース」と言うのは文字通り矛盾である.このような要求が出されたが最後,開発者の努力など全て無意味だ.

*1:タダではないどころか,実際は一番高価なものだ.いくつもの試作品を作り,何度も何度もユーザーを交えて試験し,エラー処理も次々に加えていく.もちろんもともとのソースコードの行数も工数も軽く数倍にふくれあがるし,コストもそれに比例して高くつくだろう.それだけのコストを負担してでも使いやすい物を望むのであれば作ることは可能だが,ほとんどのユーザーはそれを望んでいない.

*2:もちろん専門家の皮を被った素人だと論外だ.

*3:「民間なんかと」って,いったい何様のつもりなんでしょう?

*4:この「直感的で使いやすい」という言葉は,よく引用されるものの非常に怪しい言葉の一つ.それこそ「マイナスイオン」のように.