こんな経営者は必要ない
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ネタとしか思えないな.
沢山のネットビジネスをされている経営者の方にもお会いしました。
せっかくなので、優秀なプログラマとは一体どんな人材ですかと聞いてきました。
1)企画力のある人材
企画力が欲しければ企画部門に配属すれば?
実際には中小企業では企画部門 兼 開発者ということもあるだろうが,それはプログラマの能力とは別の話.
2)デスクトップとマイドキュメントが綺麗な人材
これは論外.
デスクトップやマイドキュメントのインターフェースは初代Macintoshが作られた頃の設計を引きずっているだけで,今やとっくの昔に時代遅れの代物なのだ.*1
3)網2.0って何だろうと聞いて、返事が返ってくるプログラマ
そんなもん専門家も知らない.
単なるバズワードの一つだ.
4)期日はいつですかと聞いてくるプログラマ
それは最初に上司が指示を出す時に伝えるべき項目の一つです.こんな基本的なことも報告できていないということは,その上司が(或いはこの社長本人が)無能である証.
5)新しいものにとらわれないプログラマ
常に新しい技術や情報を見つけ、さも自慢げに話すプログラマほど使えない。
それよりも、今まで作ったプログラムの中から脆弱性の一つでも見つけるプログラマの方が優秀だ。
正しいような間違っているような.たしかに古いコードを読んで理解し,改良を加えることは高い技術力が必要で,重要な作業だ.しかし常に新しい技術を貪欲に吸収しない技術者は,すぐ時代遅れになって長生きできない.*2
よって正解は,新しい技術を常に貪欲に吸収し,必要な技術 ーそれが新しい技術であるか古い技術であるかはケースバイケースだー を採用できる人材ということになろう.
6)仕様の話をしているときに黙って聞くプログラマ
必ず技術的な話をしてくる。私にそんな話をされたってわからない。
なんじゃこりゃ.要するにYESマンが欲しいだけなんじゃ.
それに技術が分からないと嘆くだけなら,そんな経営者は要らない.そんな努力も向上心も忘れた老人は,さっさと引退すべきだ.
それから,仕様が完璧で全く非の打ち所のないものであれば,黙って聞いているだけでも構わない.しかし現実には完璧な仕様書などこの世に存在せず,万が一存在していてもそれを聞いているプログラマがその仕様書を完璧に把握できる保証はない.ならば疑問点,矛盾点,実現する上での課題等は,迅速に処理すべきだ.よって通常は根ほり葉ほり質問し,問題点を追求していくのが良いプログラマの特徴となる.
黙って聞くプログラマは、頭の中で恐らくプログラムチャートが高速で作られている。そんなプログラマは、大体話し終えた後、時間をくださいという。
ひょっとしてフローチャートのこと?
いまどきそんなものを作ってるのに優秀なプログラマなどまずいない.*3 *4
7)過去になにかを作って公開しているプログラマ
これは正論だが,難しいな.大規模なソフトウエアは仕事で開発することが多い.そしてそのようなソフトウエアは多くの場合は非公開にされるので,持参することは出来ないだろう.
プログラム経験3年以上で募集しても8割は全くの初心者と思っていい人が来るのがこの世界だよ。
これだけは全く同意見.というのも,こういう無能な経営者が多いせいなんだがね.
8)企画時に、収益の算段が出来るプログラマ
だからそれは企画部門の仕事だってば.
コメント欄,およびはてなブックマークより
>8)企画時に、収益の算段が出来るプログラマ
DNAのえらい人も同じようなこと言ってましたがここまでエンジニアに任せてどうすんの。と思いますよ。
こんな優秀なプログラマがいたら、経営者は必要ありませんね。 という正論を吐いてはいけなそうなお話。
追記
「技術が分からないと嘆くだけなら,そんな経営者は要らない」これだけダウト。プログラマに求められる能力が経営者と違うように、経営者に求められる能力も異なるハズ。お互いもっと現実を見ないと。
「能力が異なる」というのは,ある意味でそれは正しい.
しかし経営者にとって技術を理解することは,経営者が備えなければならない,必須の基本的な能力の一つに過ぎません.技術が分からないし理解できない経営者は,まともな経営ができないのです.
技術の分からない経営者は,ビジネスの実現可能性が分からない.収益も予想できない.リスクも,市場規模も,参入障壁も,他社との差別化も,自社の強みも弱みも,何一つ分からない.開発期間も開発コストも予想できないし,技術者の評価もできない.採用計画も立てられないし,人材育成もできないし,技術力低下を防ぐこともできない.まともな経営判断が何一つできないのです.それでもなお,彼らいわく「ポジティブ思考」*5で当たって砕けて会社を潰すのは,最も愚かな経営者の姿ですよ.
たしかに現実にはそういう技術の分からない「自称経営者」の方が多いのかもしれません.でもそれは,まるでFizz-Buzz問題もできない人がプログラマーを名乗るようなもの.たとえ現実にFizzBuzz問題さえできない自称プログラマーがどれほど多かったとしても,その人がプログラマー失格であることに何ら変わりはありませんよ.
*1:それにしても,私みたいにデスクトップもマイドキュメントも使わない人間はどうしろと?
*2:これは企業も同じ.常に新しい技術を貪欲に吸収し,活用できない企業はもってせいぜい10年というところだろう.もっとも,大半の零細企業は10年も保たないから経営者的にはそれでいいのかもしれないが,そんな経営者に振り回される技術者はいい迷惑だ.
これが大企業ならもう少し長い時間をかけて,緩慢な死を迎える.運が良ければ会社が死ぬ前に定年退職して逃げ切れるかもしれない.おそらく今の50代の人間にはそれができるだろう.
*3:http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20060802/p3
*4:http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20060805/p1
*5:要するに「楽観主義」や「当てずっぽう」のことだね.