続・IT業界のネガティブイメージ(その1)

アレの続きになるのかな?

http://www.atmarkit.co.jp/news/200805/28/ipa.html

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://www.atmarkit.co.jp/news/200805/28/ipa.html

西垣氏は「英語は勉強しておきましょう。海外に出て行くにも英語は必須」と主張。

ここだけは同意.*1 *2

しかし学生から「英語は必須というが、日本企業にも海外との接点を作ってくれないと意味がない。企業は海外の人を招致しているのか」と問われると、西垣氏は「私はNEC時代、自分が駄目だったら海外から社長を連れて来い、といっていた。ちょうど(日産自動車の)ゴーンが出てきたころだった。確かに、企業の役員会に自国の人間しかいないような状態はおかしい」と返答。一方で、「役員会は確かに全員日本人。海外に拠点を置く合弁会社の社員には日本語を学んでもらっている。国内でも逆に、英語を学ばせていかないといけないのだが……」(向氏)という声も上がり、田口氏は「日本の学生はぬるま湯につかっていて頼りないという話になっていますが、実は日本の企業もぬるま湯ということですね」とまとめた。

日本の企業(と,そこにいる人間)が,ぬるま湯だから,「頑張ったら負け」になっている.

よく調査などでは文書作成能力やコミュニケーション能力が上位に上がるが、これはIT業界に限った話ではない。できて当たり前で、それができていないから企業側が苛立っている証拠だ。高校までに学ぶべきことで、どちらかというと日本の教育制度の問題

文章作成能力が求められるのも,それが教育の問題なのも半分事実.

だが,IT業界*3が求める『コミュニケーション能力』も『文章作成能力』も,業界にとって「都合の良い能力」なので,そんなものを学校で教えるのは時間の無駄に思える.

  • 「本当に優秀な人は1人で何人分もの生産性を上げるのに、入社採用時はみんな一律のことが多い」という学生の不満には、
  • 「本当に自分が売れると思う人は、そういう個々人のスキルが最大限に生かせる企業に行くといい」(有賀氏)と断言。

見事なまでに平行線です.だからSIerには技術者は一人も来ない.
「重鎮の方々」は本当に何も分かっていません.これで優秀な人材が一人でも着てくれると思っているんでしょうか.おめでたい方々です.

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080528/304458/

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080528/304458/

IPAの西垣氏は「仕事をコツコツ続けていれば見えてくる」と話す。「まず10年間は泥のように働け」という,伊藤忠商事 元社長丹羽宇一郎氏の言葉を紹介した。丹羽氏が新入社員に語ったという言葉で「まず10年間は泥のように働いてもらう。その中で周囲を思いやる力をつける。次にマネジメントの勉強をして,最後の10年はマネジメントを大いにやってもらう」というもの。

10年は長すぎ*4 *5.3年もたてば分かるはずだし,酷使されれば10年も保たない.またなにより転職の好機を逃してしまい,後は使い捨てられるのみ*6.この言葉は信用しないのが吉.

Googleと話していると,いいものを作ったら世界に展開するチームをつけると言われる。10年我慢しろと言われるより,君の技術力が欲しいといわれるとグラッとくる」と話す。また「すごい人と一緒に働けることがやりがい。そういう人がいないと魅力を感じない」

「未踏でスーパークリエータに認定された技術者が3人Googleに就職したが,それはいいことだと思っている」と話す。「彼らには何年かして日本で起業して欲しい。そこまでのステップを踏まないと新しい流れは生まれない」

起業家と技術者は違うよ.
技術者に対して,「君の技術が欲しい」「そのための専属のサポートチームも付けるし,予算もこれだけ用意する.報酬はコレだけ」と示せる起業家が,果たして日本にいるだろうか.

  • そもそも専門課程の学生数があまりに少ないとする。(中略)しかしそのうちこちらの期待するレベルの勉強をしているのは4分の1で,つまり1000人程度。情報サービス産業は非専門家によって成立している。
  • コンピュータ・サイエンスの学科を増やさないと問題は解決しない

専門家として処遇せず,使い捨ててきたツケ.

増やせ増やせって,これはポスドク問題と同じ図式なんだが.現状での技術者の供給は多くはないかもしれないが,需要の方がさらに少ない.需要がないのに供給だけ増やせば値崩れすることが分かっていて,そういうことを言うのか?もし需要が増えているのなら単価は上がっているはずだが,実際にはそうではない.*7

私は需要もないのに,税金を使って供給だけ増やすのには断固反対.本当に必要だというなら経営者は自腹を切るべきだ.他人のサイフに頼るのは間違ってる.

学生からは「IT技術者の生産性は人によって大きく違い,普通の人の10倍の生産性を上げる人もいる。それなのに,入社時に評価されるのは『コミュニケーション能力』など。技術をつけてもつけなくても一緒なら,頑張らなくてもいいとなってしまう」という声も出た。

  • IPAの西垣氏は「情報処理技術者試験などの資格をとれば手当がつく」と答える。
  • 学生は「それが10倍違う生産性に見合っているのか。本質的な処遇になっているのか」と迫る。

見事なまでに平行線です.そもそも「情報処理技術者試験」と言ってる時点で物笑いの種.
そしてコレが答.去年も同じ話をしてた気がするな.

ITを専攻している学生達からは、「就職時にITスキルが問われないのだとしたら、大学でやっていることには何の意味があるのか」という質問が出ていたのだけど、明確な回答はなかったと思う。その人たちは、ちょっとショックを受けていたような気がする。

http://d.hatena.ne.jp/itoyosuke/20071101/1193932945

http://d.hatena.ne.jp/ymScott/20080529/1212032294

・・・いつも思うんだけれど、プログラマキャリアパスの先にプロマネを置くのは、FFで例えたら

「戦士からナイトを経て最終的には黒魔導師を目指してください」

と言ってるようなもんだと思うんだけどな。

あんまり詳しくないけど

勇者から商人を経て,最終的には魔王を目指してください

みたいな滑稽さがある.皆が魔王を目指してどーするよ.

http://tinyurl.com/4hccad

まず入社して十年間は泥のように働いてもらう。はい上がる気力や苦しい時に周囲を思いやる気持ちを育てるには、どん底に突き落とすしかない。入社4年までに全員を海外に研修に出す。海外の若者がどれだけハングリーに働いているかを見てきてほしい。

毎日深夜まで会社にいろとは言わない。本を読み、人と会い、ものを考えることで知的能力を再生産する努力を続けることだ。大変ですよ。ついて来られない社員が出ても仕方ない。

次の十年間は徹底的に勉強させる。経営の環境は刻々と変わる。現場で感じた疑問を勉強で解消し、学んだことを現場で検証する。昨年からビジネススクールに短期間通わせている。二十年間以降は本物のリーダーとして人間性そのものに磨きをかけさせる。本気で人材を育てるつもりなら、十年単位の時間と費用をかける必要がある。経営者にとって最大の仕事だ。

IT業界,特にSIerとは何の関係もないように見えるんだが.

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080519/302262/

ちょっと余談.

日本で会社を経営するのは楽ですよと。業績が悪くなったら給料を減らせばよい。また悪くなったらさらに削る。こうしてどんどん給料を減らしていっても、社員はほとんど会社を辞めない。こんなに会社経営が楽な国はないって。

http://netallica.yahoo.co.jp/news/35186
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0805/27/news009.html

「ものづくりは実に面白い。その面白いことを毎日できるわけだから、技術者の給料は安くてもいいのです。それで十分幸せなんですから」

  • それでいて、労働組合は一つしかないのである。組合からすれば、競合相手はなく、しかも全員が自動的に組合員になってくれるという何とも極楽のような状況である。これでは、企業努力ならぬ「組合努力」がなされるはずもない。
    いや正確にいえば、第2組合的な勢力はあった。けれど、徹底的に弾圧されていた。
  • 少なくとも私は当時、「経営者を監視することよりも、経営者に代わって不穏分子をあぶり出すべく社員を監視することに熱心な組織」と組合をみなしていた。

かつて絶大な人気を誇っていた電子系の学科は、今や理工系学部の中でも最低ランクですよ。その卒業生も、せっかく何年も電子工学を勉強しながらエレクトロニクス・メーカーには行きたくないという。誰がこんなことにしたのか。もちろん、歴代経営者の責任です。トップになるほど頭を使わなくなるようですな。本当のことを言う実力のある部下を左遷し、上司の顔色をうかがう調整型の部下ばかりを周りに置くからでしょう。そんな経営者は全員、皇居前で正座して腹を切れと言いたい

*1:http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20070726/p5

*2:

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*3:或いはSIer

*4:関連:http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20060525/p2

*5:実際はもう少し補足があったらしい.まあ焼け石に水だけど.

*6:http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20060423/p2

*7:そういう意味では技術者は不足していない.むしろ供給過多である. http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20070916/p3