日本IBMもリストラ

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20081113/319217/

日本IBMが1000人規模の人員削減を進めていることがわかった。年内の完了を目指す。世界の金融危機を乗り越える米IBMのグローバル戦略の一環とみられる。南米やアフリカといった成長市場でいっそうの増収を目指す一方で、北米や欧州、日本などの成熟市場は生産性の向上とコスト削減を徹底する。

「スクープ」と書いてあるけど,普通に予想される事態なので個人的にはスクープという感じはしない.

対象者には再就職斡旋会社を紹介するとみられる。

まあ気休めみたいなもの.他のSIerも厳しいだろうから,この不景気に人を採ろうなんて日本企業は珍しいのでは.*1

http://d.hatena.ne.jp/higayasuo/20081108/1226120995

短期の利益追求のために、長期の利益を失っているとしたら、それは、株主のためにもならないよね。

アメリカの株式上場企業の経営者が、短期の利益追求型なのは、直ぐに成果を出さないとポジションを追われてしまうからだと聞きます。じっくりやる余裕がない。だから、短期で成果が出やすいリストラという手段を選んでしまう。

それは字義通りには賛成.

しかしね,じゃあ日本企業が先を見通した経営をしてきたかというと,それは就職氷河期を見れば大嘘だって分かるよね.先のことを考えずになりふり構わず十把一絡げで大量採用.バブルが崩壊したら取りすぎた人間をそのままに,極めて安直に新規採用抑制.そしてその結果として,企業にとって致命的なほどに年齢構成をイビツなものにしてしまった.
他にも技術投資を削ってコストダウンしてその結果のシステムトラブルとか,COBOLがいまだに生き残っているとか,「先を見通さない場当たり経営」が残した負の遺産はそこら中に転がっている.*2


以下の部分について.元々は「うちの会社のトップは」という限定の話なんだが,私はその人達を知らないのでコメントできる立場にない.そこで仮に,その部分を取り除いて一般論として考えてみよう.*3

  1. 追記:うちの会社のトップは、短期の数字で追われることはないので(少なくてもこれまではそう)、短期の利益のためにリストラすることはないです。
  2. それが、長い目で見ると株主のためになるから。

一般的には2はウソだよね.株主のことを考えて経営している経営者などほとんどいない.バブル期に取りすぎた中高年が経営の重荷になっているのも周知の事実.長い目で見た経営をしていれば,こんなイビツな年齢構成になるはずがない.

1についてもウソっぽい.契約社員派遣社員の首をバサバサ切ってる会社なんていくらでもあるようだ.特にコの業界ではね.*4

持ち合いが増えると、株主による監視機能が低下し経営の規律が緩むほか、資金が株式保有に固定され、有効活用できないなどのデメリットが指摘されており、損失を出した経営者は株主へのきちんとした説明が求められている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081123-00000510-san-ind

*1:新卒偏重の日本企業が新卒採用を減らそうというご時世に,中高年の行き場などあるはずがないでしょ.

*2:上記の理屈って,20年くらい前に流行ってたような……….バブル崩壊でそろそろ廃れたと思っていたんだけど.

*3:コメントに「ISIDはグループ的にIBMとかなり繋がり深いんじゃなかったっけ?冗談通じない人がこれみたら火種になりそうですなw」とあるので,おそらくこれは自虐的なブラックユーモアなんだろう.

*4:契約社員派遣社員は正社員じゃないからリストラには含まれない」というのが彼らの主張かもしれない.でも実際は開発力のかなりの部分をここに依存しているので,斬れば斬るほど技術力は低下する.