応募者のアイデアをパクる企業たち

http://www.222.co.jp/netnews/article.aspx?asn=34805

「実は、あの案件ってフェイクだったようです。」
フェイク?
「つまり、嘘なんです。実際誰も採用されてません。どうやら、レポート収集が目的だったみたいです。」
営業さんの話を聞いてみるとなんとも腹立たしい事実がわかった。

その秋葉原にある会社は割りと最近できた会社。会社のメンバーも若手が多く、プログラマーとしてのスキルはそれなりにあるが、システム・エンジニアとしてのスキルはあまりない。今までは、システム・エンジニアが設計した設計書に基づいてプログラミングをしていたのだ。そこで、その足りない部分を社外から求めようとしたのだが、その分、売上が減るのが嫌だったらしい。

そこで考え付いたのが、嘘の求人。ここで、自分達に足りないスキルをレポートという形で収集してやろうと考えたのだ。

もちろん、そんなことは許されるべきではない。ただ、該当者がいなかったと言われれば、それまでだ。証拠がなければ、何も言えない。これは頭がよいというのだろうか?このようなことをやったことはすぐに業界に知れ渡る。(私も知り合いに言いふらした)こんな会社が社会的に抹殺されないとしたら、日本はもうおしまいだと思うのだが、私の方が甘いのだろうか?

うーんと,似たような経験はあります.それも何度もね.*1

ひどい場合にはサンプルプログラムの作成*2を求められたこともある.そんな会社は速攻で切った.


IT系について言えば,仮採用期間も悪用されていると言える.

通常の仮採用期間と言えば3ヶ月だが,3ヶ月もあれば一つのプロジェクトが終わってしまうのがIT業界だ.トラブルの発生したプロジェクトに対して正社員採用(予定)の人間を注ぎ込み,プロジェクトが終わったら「本採用には至りませんでした」ということで解雇すれば企業側は失う物はなにもない.中にはこのメリットをフル活用するために半年以上もの長期の仮採用期間を設定している企業もあるが,こういう企業は信用しないの方が良いだろう.


また,このような問題はIT時代に限定されるものではなく,昔からあったようだ.

「履歴書と一緒に企画書を提出させる会社」

転職の応募要綱に、履歴書と一緒に「消費者に蒲鉾をもっと認知・浸透してもらうために、わが社としてどういうアイデアが考えられるか」と題して企画書の提出が条件となっていました。
しかも、不採用となっても履歴書と企画書は返却しない旨が書かれています。
採用は若干名ですが、不採用でも集まった企画書の中でいいアイデアは流用されるのではと不安になります。

質問内容を読ませていただき、率直に思ったことは「これは求人を装ったアイディア集め」だなということです。

私、経験あります。
興行系の会社(某格闘技イベントの主催会社)を受けたとき、同じことがありました。
結局落ちましたが、私の企画はまんまパクられました。
まあそんなことをやっている会社だから黒い噂のあげく米国資本に乗っ取られてなくなってしまった訳ですが(入社しなくてよかった!)。

http://oshiete1.goo.ne.jp/qa3156529.html

昨日中途採用で面接していただいた企業から課題の提出を求められました。課題はその会社の商品の売り上げアップのための企画書なんですが企画も全く自由だし期限や提出方法もお任せしますと言われました。

その企業は、残念ながら、貴方たちを採用するつもりはありません。
どこの企業でもそうですが、社員に企画書の提出期限を言わずに求めることはありません。
別に、早く出したからといって、その案を利用するだけかと。
本当に、その人を試すのであれば、同一条件でやりますね。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1412659579

そういう状況に会った場合,私は通り一遍のこと以上を説明するつもりはない.


来年はプチ就職氷河期が予想されているが,追い詰められた企業担当者が学生の不安につけ込んで,似たようなことを仕掛けてくるかもしれない.*3そういう企業には十分注意することをお奨めする.そういう応募者のアイデアに頼るような企業は既に内情はボロボロで破綻寸前だし,応募者の専門知識を評価しないということは,たとえ内定をもらった所で入社した後でも同様に知識を無料で利用し使い捨てにされるのが目に見えているからだ.


企業側担当者に対して一言忠告するならば,もし御社がまともな企業であり続けるつもりならば,そういう質問は絶対にしないことだ.仮に行うとしても,本業とは全く関わりのない架空の事例に基づく架空の企画やプロジェクトを課題にすべきだ.また面接担当者の単独犯の可能性もあるので担当者の発言は十分に監視し,不用意な発言があれば謝罪し,その担当者は外すべきだろう.そうしない限り,あなたの会社に対する黒い噂を払拭することはできないだろう.*4

インターネット時代には,そういった情報は驚くほど早く共有される.もはや以前のように応募者は必ず泣き寝入りするので心配ないなどとは思わないことだ.

私は採用業務に10年近く携わっていますが、私ならそんな課題は出しません。
質問者様のような疑念を抱かれるのは当然ですし、100歩譲ってどうしても募集しなくてはならない状況になっても、コピーせずに原本を返却します、と断りを入れるでしょうね。

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://www.222.co.jp/netnews/article.aspx?asn=34805

  • id:sovietrockets 「スキルチェックのために担当案件の納品済ソース一式を渡せ」って言われたのを思い出した。

それは完璧に守秘義務違反ですな.そんな人を雇ったら産業スパイで訴えられそう.

  • id:fuktommy デザインでこういうの聞いたことがある。

デザインの場合は公開されることが多いので,「今まで手がけた作品を教えて下さい」で良いんでしょうね.プログラムの場合はソースコードなどは通常は守秘義務の範疇なので,残念ながら公開することは許されません.

  • id:FTTH 受けた会社名公開しないのなぁぜ?

個人が特定されるからです.よほどの大企業かブラック企業でない限り候補者など限られています.最悪では名誉毀損で訴えられたり,次の会社が決まらないよう嫌がらせされる恐れもあります.裁判所や警察は経営者の味方ですから,転職者に勝ち目はありません.(キッパリ)

それはそうだと思います.

特にOOPはそういうものです.だけど,いずれにせよ知識をパクろうとする人々に好感はもてませんよね.

  • 似たようなことをWEBデザイナー募集の名目でやってた会社が…(もしかしたら過去形じゃなくて現在形かも)

「利己主義と裏切りが支配する世界に「協力」が生まれる条件は」

http://wiredvision.jp/news/200903/2009030423.html

今回Helbing氏が行なったシミュレーションは、重要なのは移動と[成功の]模倣であることを示唆している。各個体が自分と関わりを持つ相手を自由に選ぶことができ[=移動]、彼らの成功を模倣するだけの賢明さを持つ場合、協調行動が発現し、全体に広まっていく。

しかも、この状態の始まりは大規模なものではない。シミュレーションを何度も繰り返す中で、利己主義を捨てたのは20ユニットのうち1つのみであり、その選択は通常うまく行かなかった。「非常に長期間たったあとでは、同じ近隣のグループ内には、たまたま偶然で協調行動を取るだけに過ぎない2〜4ほどの個体が存在している状態になる」とHelbing氏は話す。「これは幸運な偶然といったレベルだ。一方で、ひとたび十分な大きさの[協調者の]集団が出現すると、協調者たちはかなりの成功を収めるようになり、裏切り者は協調者集団の行動を模倣し始める。その結果、協調行動は持続し、広まっていく」

ついでにメモ.

日本で『協力』を生み出すのは難しそうだ.

*1:小さな企業だけでなく,名の売れた大きな企業でもやってるようだ.それが組織的なものか,担当者個人の独断なのかは不明だが.

*2:それも実用レベルの物を.

*3:追記:こことか => http://www.j-cast.com/2009/03/18037889.html

*4:なにせ実話だし.