トヨタがGMに勝った?

http://slashdot.jp/~Pravda/journal/477864 経由.

トヨタが勝った」のではなく「GMが負けた」だけではないかな.「はてなDoblogに勝った」「Googleがgooに勝った」と言わないのと同じ.

そもそも自動車業界って「トヨタGMの一騎打ち」というわけでもないでしょ.IntelTransmetaなら「IntelTransmetaに勝った」というのは分かるし,iPodWalkmanなら「iPodWalkmanに勝った」というのも分かる.でもGMトヨタだと,そこまで直接的なライバル関係には見えないな.少なくとも今のトヨタには,「勝者」を名乗れるほどの余裕など見えない.

日本車メーカ、トヨタって油断しているように見えるんでしょうか? 私には、油断しているどころか、今回の危機すらも最大限に利用してしまおうとする”したたかさ”ばかり見えるんですがね。

これだけ危機的状況に陥れば油断はしてないかもしれないが,「したたかさ」は言い過ぎな気がする.

景気の上下、特に今回の様な急激な落ち込みは”誰にも予測できません”。 例によって、”私は前から予想していた”と言っているエコノミストが何人も出てきていますが、それなら”なんであんたはその予想を使って大もうけできなかったんだい?”と聞きたいですね。 

言ってることは間違いじゃないけど,バブル崩壊を予測することとそれを使って利益を上げることは違う気がする.

現在がバブルであるならば,それが「いずれ」崩壊するのは予測可能だ.しかし,その予測を使って利益を上げるには,それが「いつ」起こるのか,何月何日何時何分かを正確に知る必要がある.プレートに歪みが溜まれば地震が近い将来に起こる事は高い確率で予測できるが,地震が実際にいつ起こるのかを正確に予測することは,今の科学力では不可能なのだ.

年金や医療保険などを含めると組み立て工場の労働者の実質的な時給が73ドルと日系自動車メーカーの2倍近くにも上ることを指摘された労組も、既得権の保護と政府の支援頼みの姿勢を続けてきた。

この辺りは日本企業も偉そうなことは言えない.ホワイトカラーの生産性の低さを指摘されても新卒偏重と年功序列の異常さを指摘されても,労組も経営者も一向に改善する気配がないからなあ.

ドラッカーが60年前に指摘したGM危機の本質

http://diamond.jp/series/tsujihiro/10072/

ついでにメモ.

日本の大企業とて、同じである。

 日産が実質的に破綻し、ルノーに救済を求めたとき、歴代経営者は口を揃えて、過去の経営に失敗はなかったと言い切ったのを、私は忘れることができない。

 例えば、日立製作所における縦割組織の弊害は、20年前から指摘されていた。あまりに多くの事業を抱えるが故のコングロマリット・ディスカウントという欠点も同様だ。前者については、組織形態をたびたび変えたが、本質はなんら変わっていない。後者については、ディスカウントではなくプレミアムだと言い張る経営者が続いた。世界同時不況で一気に病根が明らかになると、子会社に引退していた69歳の予備役を社長として呼び戻した――。

 付け加えれば、この著作の第六章には、「つまるところ組織にとっては、リーダーを育てることのほうが、製品を効率よく低コストで生産することよりも重要である」とある。この部分を読んで、福原義春資生堂名誉会長は、衝撃を受けたという。福原会長のように、後継育成を何よりまして重要だと自戒している経営者が、どれほどいるだろうか。