巨象だって倒れることくらいある

あいかわらず底が浅く,つまらない記事を垂れ流してるのに,なぜかブクマ数だけは多い妙Chikirinの日記.*1せめて「巨象が倒れることもある」くらいにしておけばいいものを.

  • id:tanakamak 衆目の中で巨象は倒れ、誰にも気付かれずに蟻は踏み潰される。
http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/Chikirin/20100422

DECだって倒産したし,あのSUNだって吸収された.Transmetaのようなx86互換メーカーも軒並みなくなった.IBMが2000年まで保たないみたいな話だって言われていた.*2iPodiPadでオンリーワン企業にもなりつつある「Apple Computer」だって危険な時期があった.その一方でGoogleTwitterのような新興企業だって急成長することがある.IT業界(というかシリコンバレー)では巨大企業も次々と倒れては生まれてるけれど,それがビジネスというものだろう.*3

不況期に小さな企業はバタバタ倒れてるし,大きな企業でも潰れる時は潰れるのは当たり前の話.巨象の話をするのなら,有名な本なんだし「巨象も踊る」くらいは読んでから書いて欲しいものだ.

第26章 巨象が踊れないとはだれにも言わせない

巨象も踊る

巨象も踊る

わたしが企業経営にたずさわってきた時代のほとんどにわたって,小さい物は美しく,大きい物は醜いという考えが正しいとされてきた.小企業は敏捷で,起業家精神に富み,反応が早く効率的だ.大企業は鈍重で,官僚的で,反応が鈍く,効率が低い.これがいまの常識である.

まったくの戯言だ.大きくなりたいと思わない小企業には出会ったことがない.規模の大きい競争相手の研究開発予算やマーケティング予算,営業部門の規模と顧客基盤を羨まない小企業にはであったことがない.そしてもちろん,小企業の経営者は,建前では巨人ゴリアテに挑むダビデを装っているが,本音では「あの大企業のように資源を使える立場になりたい」と語っている.

大きいことはいいことなのだ.規模は力だ.幅と深みによって,巨額の投資,思い切ったリスク負担,投資の成果を根気強く待つ姿勢が可能になる.
象が蟻より強いかどうかの問題ではない.その象がうまく踊れるかどうかの問題である.見事なステップを踏んで踊れるのであれば,蟻はダンス・フロアから逃げ出すしかない.*4


ところで,シリコンバレーベンチャーが有利なのは,ベンチャーキャピタルという後ろ盾を得て,小さい企業が大きな資本を使える立場になれる点にもあると思う.ベンチャーとは必ずしも小さな蟻とは限らないのだ.

2009年のシリコンバレー企業へのベンチャーキャピタル投資は$5 billion、約4500億円であった。クリーンテックなんかだと、設備に使われる額が大きいが、ソフトウェアだと投資の殆どは人件費になる。コレに加えて、さらに相当額のエンジェル投資があるはず。(全米では、エンジェル投資額はVC投資額より大きい)。

売上依存ではない数千億円が毎年、名古屋市の企業に「どんどん人を雇え(でも優秀な人にしてね)」と外から降り続けると思って下さい。(なんで名古屋市かは、元エントリーを参照あれ)

そして、この投資は、「将来伸びそうな領域」に行われる。「今既に大儲かりしているもの」ではもう遅いんですね。もちろんそういうところにも投資は行くのだが、そうじゃない「2年後〜5年後に当たりそうなもの」にたくさん流入する。

つまり、「税金なんか収めない会社」がバリバリと人を雇うわけです。

http://www.chikawatanabe.com/blog/2010/04/sv_employment.html

日本では小さな企業は小さな資本しか使えないし,技術者を集めることもできない.長期的な投資が必要な技術開発もできない.ベンチャーが選べる選択肢が凄く少ないのだ.「日本ではなぜGoogleみたいな企業*5が生まれないの?」という疑問を出す人もいるが,ベンチャーキャピタルの差一つとっても日本では無理なことは一目瞭然だ.*6

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/Chikirin/20100422

  • id:list1569 大企業が潰れたといっても、せいぜいこの程度でしょ。中小企業なんて毎日のように潰れてるよ。つまり日本では大企業はほぼ潰れないし、危なくなったら国が守ってくれる可能性が高くて、学生に人気なのは変わらない。
  • id:kamikawa2007 この人の平凡なエントリーに大量のブクマがつく理由がマジで分からん。で、次に倒れる巨像は天下御免の「ゴーマドマン・サックス様」だろうよね。三流外資にお勤めの方には分からんかなwww

前半は心の底から同意.

ブクマ数を増やすだけなら,自作自演も可能なんだよね.さすがに試したことはないけれど,100個〜200個くらいの別アカウントを作って,その中からランダムにブクマしていけば人気エントリ入りさせるくらいなら造作もないはず.*7


それとコメントもトラックバックも禁止して,反論を封じてるせいもあるんじゃないかな.コメント欄があれば炎上確実だと思われる底の浅い記事だもの.そういう意味では私も釣られた人間の一人だ.しかしコメントもトラックバックもなしで,一体どこがブログなのだろう.

*1: bogusnewsみたいなネタサイトにしか見えないけど,そういうわけでもないみたいなんだよなあ.

*2:ビッグブルーと七人の小人達」という言葉もあったんだそうだ.そしてそのビッグブルー(だけ?)は姿を変えて今も生き残っている.

ビッグブルース―コンピュータ覇権をめぐるIBMvsマイクロソフト (アスキーブックス)

ビッグブルース―コンピュータ覇権をめぐるIBMvsマイクロソフト (アスキーブックス)

*3:倒産する確率だけならベンチャー企業の方がもっと上.

*4:もちろん,官僚主義的で前例主義でウォーターフォールで鈍重な瀕死の巨象が存在しているのも事実である.

*5:Googleみたい」の定義もいいかげんなものだが.

*6:技術者やベンチャー企業家の社会的地位とか,理系離れとか,少子化&学力崩壊とか,人材の流動性の低さとか,古い大企業優遇する政府とか,他にもダメな要因は山ほどあるけど.

*7:とはいえ,金にもならないのに,そこまで暇なことをする奴がいるとは思えんのだが…….