バブル入社組のリストラ,草食系ブラック企業

メガバンクで先陣切って始まる「バブル入社組」の定年問題」

http://diamond.jp/articles/-/10620
メモ

この幹部は、「ポストに就けないバブル世代の処遇をどうするか、モチベーションを維持するための戦略を検討しているが、抜本的な解決策はない」と頭を抱える。

 そこで各行は、「副」の付く役職を増やしたり、部署を新設したりして対処してはいるが、焼け石に水である。

 融資先の有力企業1社ごとに専門の「課」を新たに設けたメガバンクもある。表向きの狙いは「利益の積み上げ」だが、行内からは「明らかなポストづくり」との声が漏れ聞こえてくる。

そういう「名ばかりの役職作り」は70年代に行き詰まっていたような気がする.

「草食系ブラック企業に入っていたんだが限界になった」

http://hamusoku.com/archives/3908221.html
言いたいことは分かるが「ぬるま湯系ブラック企業」くらいの方がいいかも.

以下,個人メモ

ある日新製品発売記念のパーティーがあった。
リーマンショック直前に俺がコアモジュールを新設計して性能を倍近くまで上げた奴だ
その後デザインなんかの調整があり、ようやく販売にこぎつけたのだった。その製品のウリは何といってもその性能で俺はその立役者だった。先が見えない中、これを契機にいいポジションに就けてもらったりしないかと期待していた。だが、俺の指示した通りにパッキンを配置しただけの奴が発明者として社長賞を取り、いつも道りに他のパーツを設計した奴が設計者として喝采を浴び、対外記事のインタビューを受けていた。記事の開発メンバーの中に俺の名前は当然無かった。

俺は心が折れた。

結局、俺は今現在は勿論、過去でさえも技術者であったことを否定された気持ちになった。後で聞けば、本当は俺君が発明したんだとインタビューを受けていた奴は言ってくれていたらしいのだが、あんな子会社をたらい回しにされてる奴にそんなことができる筈が無いと全く信じてもらえなかったらしい。

ありそうな話.技術力のない上司だとー日本企業だと普通はそうなのだがー誰が何をやっているか全く把握してないので,こういうことは十分あり得る.

俺はその後お礼参りとして最初の会社に出向いたが、そこでも年代問わず「脱出できてよかったな!」コールばっかり。聞けば若手の間で脱出を目的として資格を取得するのが流行ったりしているらしい。自分はこれから辞めるというのに、何だかかえって会社の将来が心配になってきたぞう。

あくまで社内基準で言えば、仕事は凄くできる方でした。でも、それが一番恐いところなんだと思います。若手が活躍するというのは一見いいことのように思えますが、それだけ中堅がダメってことの証左でもありますから。

社内の中堅にはそこそこの理系院卒でありながら、中学生レベルの数学すらできなくなっている者もいる有様でした。二次方程式の解を、エクセルでxの値を0.1単位で入れて求めようとしていたのを見たこともあります。

ですので、ほとんどの職場において、
入社半年の若手>>>入社10年目の中堅
という事態が発生していたと聞いています。

そうでない立派な中堅もいるかもしれないけど,そういう人は嫌気がさして辞めてしまうのではなかろうか.

最後に、俺の分かっている限りで何でこんな地上の楽園が生まれてしまったのかを書いておこうと思います。

30年以上の昔に本社の技術者数人が社内ベンチャー的に立ち上げる。その社内ベンチャーはそこそこ成功し、その後も本社からも研究者指向の強い人が集まるようになり次々と成果を出す。実際、今のグループの主力商品のほとんどはこの時代のこの会社から生まれた。当時から半研究所半事業所というスタイルで、本社から開発費を援助されていた。

約20年前に当時のトップが「我々は十分成果をグループに提供してきた。もっと自由にやりたいので研究機能に関して本社は口出ししないで欲しい。そちらの方がもっといいものができると思う」と言い出し、それが受け入れられる。
これ以降本社その他グループ会社から研究部分の成果の要求が皆無になるも、人材の質が高かったからか、それなりの成果を出し続ける。俺たちはグループの未来を担う存在だというアイデンティティはこの頃生まれたようだ。

ここまでは必ずしも間違ってなかったと思う.

それと前後してバブル組が大量入社するも、その後のバブル崩壊に伴う早期退職募集で,バブルの中でも使える奴がごっそり抜けてしまう。元々ベテランには研究指向・独力指向の強い人が多く、部下の育成に力を割かなかったため、ベテランはバブル残留組を実験の補助としてしか使うことは無く、測定器の使い方くらいしか教えなかった。

希望退職を募ると,優秀な人から辞めていくのは経験則としてよく知られている.

ビッグブルース―コンピュータ覇権をめぐるIBMvsマイクロソフト (アスキーブックス)

ビッグブルース―コンピュータ覇権をめぐるIBMvsマイクロソフト (アスキーブックス)

部下の育成に力を割かなかったのは,部下を育成すればするほど本人の評価が下がり,給料が下がるからでは.

たとえば上の新製品の事例で,これを書いている「俺」本人が「先輩」で,「俺の指示した通りにパッキンを配置しただけの奴」のが「部下」だとすれば,まさに部下を指導したが故に評価が下がった例になります.

社内の技術レポートを見ていると、このあたりから明らかにクオリティが下がり始めるのが分かる。

どうせ上の人は読んでなかったんだろうなあ.読んでも理解できるだけの頭脳がないから.文系管理職や経営者が問題な理由の一つ.

こうしてバブル組はわけも分からぬままベテランに教わった実験のやり方を覚えるだけで、それ以上のことをろくに勉強することも無いのだった 要求されなかったわけだから。

更にバブル以降新卒採用を取りやめていたため、最若手がバブル残留組という状態が続く。上からはたまに定型の実験をすることのみ要求され、下からは実力で若い層に突き上げられるというプレッシャーも無いままぬくぬくと育つ。

また、本社で使えない認定された人間が、
「あいつ、研究とかやらせたらもしかしたら化けるかもしれない」
という名目で放り込まれるようになる。

一方、創業近辺のメンバーは出世し本社に戻ったり、定年退職したりで数が減って行く。ベテランは見た目、バブル残留組が指示した通りに実験をしていて、仕事をしているように見えたので、当然自主的に勉強もしている&自分達の技術が継承されているものと思い込み、相変わらず問題を認識できていなかったらしい。

こうして元がビミョー+教育不全+優秀な人間の卒業+産廃投棄の4重コンボが成立して10数年が経った。