「橋下知事、TOEFL優秀50校に5億円配分へ」

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110118-OYT1T00657.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110118/lcl11011819580023-n1.htm

国際社会で活躍できる人材育成のために英語教育の充実を目指す大阪府橋下徹知事が、府内の公私立高校で英語検定試験「TOEFL(トーフル)」を実施し、成績優秀だったトップ50校に計5億円の予算を配分する方針を府教委に示していることがわかった。 1校平均で1000万円になるが、上位校ほど手厚く分配する計画で、私立高校も巻き込んで公立高校との学力競争を促したい考えだ。

 橋下知事は2012年度からの導入を要請しており、府教委も検討を始めた。

相変わらず発想が斜め上過ぎる.

 府関係者によると、府立高校全138校と私立高校全96校が対象。計画では、各校から選ばれた生徒50〜100人程度にTOEFLを受験してもらい、平均点でトップ50校を決める。

 さらに50校を上位、中位、下位グループに分類し、上位グループほど予算配分が多くなるようにする。各校は配分された予算を自由に学校運営に使うことができる。

それなら英語ネイティブの外国人選手を50人スカウトした学校の圧勝じゃないか?*1


外国人選手を集めることが,橋下元弁護士の目指す高校の姿なのかな.日本人の若者に英語を使えるような教育を施すことには大賛成だが,いつものごとくこの人は目指す方向を間違えすぎてると思う.その言動には知性のかけらも感じられないのだ.

高校生に対する最大3年間の「短期間」の教育でつく「実践的な英語力」などたかが知れてる.*21年やそこらでTOEFLの点数を上げるには,最初から英語力のある高校生をスカウトする以外の手はなかろう.*3TOEFLの点が高い高校とは「英語教育に熱心な高校」ではなく「英語に得意な高校生を入学させた高校」になるだろうけど,それが橋下元弁護士の目指す「国際社会で活躍できる人材育成」なのかね.*4


ちょっと考えてみたけど,中学生や高校生限定の英語ディベートコンテストを開催して,「上位入賞者には夏休みを使って行く,語学留学の旅一ヶ月をプレゼント」とかの方がまだマシだと思う.

http://b.hatena.ne.jp/entry/sankei.jp.msn.com/politics/news/110118/lcl11011819580023-n1.htm

  • id:Isle_of_Skye 自分自身が受験した経験からすれば,TOEFLよりもIELTSやケンブリッジ英検のほうが英語力をより正確に反映すると思うのですが,その存在さえ知らないのでしょうね。

名前と概要くらいしか知りません...orz

http://b.hatena.ne.jp/entry/www.yomiuri.co.jp/national/news/20110118-OYT1T00657.htm

  • id:kumonopanya TOEICはほとんど意味ないからTOEFL選んだのだろう。いまさらTOEICを重視している企業や学校ってもう無いでしょ。

いろんな意味で,それは嘘.TOEICにも問題はあるが,初心者向け英語テストとしては良質で安上がり.

それにそういうセリフはTOEICで860点くらいとれるようになってから言わないと.

http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-2236.html

競争で子どもの学力が伸びると単純に思う方も多いでしょう。でも、違うのです。そんなに単純な話ではないのです。

こういう「学校単位」の「金銭獲得」「競争」に土俵を設定すると、それは「生徒一人一人」が勉強する競争をうながすというよりも、「学校」がいかに優秀な生徒を取り合ってどの生徒を競争の土俵に上げるかという方向に学校を動かすことになります。できない生徒に勉強させて学力を上げようとするよりも、できる生徒を集めて選別する方が楽だからです。つまり、学習が必要な「生徒」の学びを直接促すことを二の次にする力がはたらきます。教育とは、個々の生徒が学ぶことの意味を知って学ぶことを直接に生徒に励ますことなのに、橋下氏のやっていることは、これから学びが必要な、学力がまだ十分でない生徒を切り捨てる方向にはたらきます。つまり、橋下氏は教育という営みの重要な的を外しています。大阪府教育委員会がこんな案を前向きに検討するようであれば、大阪府教育委員会には教育のことがわかっていないと思うしかないです。

教育という営みは、ただやみくもに競争させればいいというものではないのです。また、カネというご褒美で釣るのは言葉の高貴な意味での教育とはいえないのです。

以前の記事、「橋下徹の支持率が高い地域では子どもの学力が低かった (by kei999さん)」にも書きましたが、「橋下氏を支持する人が多い地域ほど子どもの学力が低い」ことがデータで確かめられています。

一方、上で書いたように、人々が橋下氏を支持すればするほど、学力の低い子どもは打ち捨てられるこのような教育政策がおこなわれる可能性が高まります。つまり、もともと英語力の高い子どもとそういう生徒を集めた学校が優遇される「だけ」であり、個別の子どもの多くは学力はよくても停滞、わるいと打ち捨てられて低くなる可能性が高いと私は考えています。

同意.

*1:外国人選手がダメなら,日本国籍の帰国子女.まさか日本国籍の日本人を参加禁止にできないからね.

*2:「中学高校の英語教育が無駄」と言っているわけではないよ.単語にしろ文法にしろ,面白みはないかもしれないが,英語の基礎学力としては極めて重要だ.それは仕事で英語を使うようになって再認識している.特に単語力については,高校生がどれだけ多く覚えても覚えすぎということはまずない.一方で応用が弱いのは事実だけど,応用を賛美しすぎて基礎を疎かにするのは賛成できないのだ.高校生だと「DUOを全部暗唱できるくらい覚えました」とかの方がかわいげがある.

*3:好ましいかどうかはともかく,高校野球なんかのスポーツの世界もそうなってるよなあ.もちろん設備が充実しているとか良い指導者がいるとかもある程度はあるけど.

*4:そもそもTOEFLは難しすぎて,高校生には早すぎるんじゃないかな?単語力にしてもDUOレベルではたちうちできないだろ.あれで高得点が取れる高校生って,オリンピックで優勝する中学生みたいなもんだと思う.個人的には称賛するが,学校教育が目指すべきものではない.