プログラマは専門家ではありません(キリッ)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-9c85.html
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20111129185940.pdf

極めて興味深い判例なのでメモ.

プログラミングについては,その性質上,裁量性の高い業務ではないので,専門業務型裁量労働制の対象業務に含まれないと解される。

とうとう判例でも認められちゃったかーーーーーーー.orz



本当のプログラマは違うんだよ.日本のSIビジネスがブラックで,腐っていて,狂ってるだけなんだよ.*1

http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20070217/p1

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)

本来プログラムの分析又は設計業務について裁量労働制が許容されるのは,システム設計というものが,システム全体を設計する技術者にとって,どこから手をつけ,どのように進行させるのかにつき裁量性が認められるからであると解される。

しかるに,C社は,下請である原告に対しシステム設計の一部しか発注していないのであり,
しかもその業務につきかなりタイトな納期を設定していたことからすると,
下請にて業務に従事する者にとっては,裁量労働制が適用されるべき業務遂行の裁量性はかなりなくなっていたということができる。

また,原告において,被告Bに対し専門業務型裁量労働制に含まれないプログラミング業務につき未達が生じるほどのノルマを課していたことは,原告がそれを損害として請求していることからも明らかである。さらに,原告は,前記認定のとおり,F部長からC社の業務の掘り起こしをするように指示を受けて,C社を訪問し,もっと発注してほしいという依頼をしており,営業活動にも従事していたということができる

http://web.archive.org/web/20080803072849/www.biwa.ne.jp/~mmura/SoftwareDevelopment/WhatIsSoftwareDesignJ.html

このロジックからすると、受託開発型、労働集約型、多重下請構造、顧客従属型で特徴づけられる日本の情報サービス産業で働く労働者の大部分には、専門業務型裁量労働制は適用できないことになりませんかね。

普通はそう判断されると思います.そもそも専門業務型なら,年収がこんなに安い人ばかりなわけないじゃん.


コメントより

「情報処理システム」とは、情報の整理、加工、蓄積、検索等の処理を目的として、コンピュータのハードウェア、ソフトウェア、通信ネットワーク、データを処理するプログラム等が構成要素として組み合わされた体系をいうものであること。

「情報処理システムの分析又は設計の業務」とは、(鄯)ニーズの把握、ユーザーの業務分析等に基づいた最適な業務処理方法の決定及びその方法に適合する機種の選定、(鄱)入出力設計、処理手順の設計等アプリケーション・システムの設計、機械構成の細部の決定、ソフトウェアの決定等、(鄴)システム稼働後のシステムの評価、問題点の発見、その解決のための改善等の業務をいうものであること。プログラムの設計又は作成を行うプログラマーは含まれないものであること。

実際のソフト開発の現場で、どの程度このとおりにやっているのか、

ソフト開発の現場ではそんな風には進みません.

アジャイルソフトウェア開発の奥義 第2版 オブジェクト指向開発の神髄と匠の技

アジャイルソフトウェア開発の奥義 第2版 オブジェクト指向開発の神髄と匠の技


しかしSIerではムリヤリ当てはめることも良くあります.

あるいはそもそもSEとプログラマーがどこまで異なっていてどこまで同じなのか、といったことも、私はよく分からないのですが、

大丈夫.専門家にだって違いは分かりませんから.*2

なお、日本のソフトウェア受託開発業では、システムエンジニアと呼ぶ方が上級技術者らしく聞こえて高い単価を要求できるため、能力や適性が伴わなくても、ある程度の年齢になると、システムエンジニアと名乗らせることが多い。

これがSEの真実.日本式人月単価による歪んだSIビジネスが生み出した日本固有の職業ですね.

人月の神話

人月の神話

まあ、しかし、改めて判決文を読むと、ひどい会社ですね。

酷いとは思うけど,IT業界ならありそうな気がするレベル.

*1:自分も全然裁量のない裁量労働で酷使されたことあるなあ...

*2:ヤクザと極道くらいの違いかな?タヌキとムジナくらいの違いもありません.