書籍の死

電子書籍が死んだなら」http://www.dotbook.jp/magazine-k/2012/02/11/when_your_ebook_pass_away/
斜め読みだけど,書籍の死については,

  • 技術書だと時代についていけなくなった時,
  • 作者が死んで,後を継ぐ人がいなくなった時
  • ライセンスなどの関係で,その地域での販売が禁止された時*1

なども追加すべきかと.*2

どんな名著も時間とともに陳腐化する.改訂版を出さないまま時代遅れになる書籍は多い.改訂版を出そうにも,著者が既に亡くなっていることもある.「紙が朽ち果てるまで,読める限り生きている」というのは技術書では難しい.とくにIT業界は.

詳解TCP/IP〈Vol.1〉プロトコル

詳解TCP/IP〈Vol.1〉プロトコル

TCP/IP Illustrated Volume 1: The Protocols (Addison-Wesley)

TCP/IP Illustrated Volume 1: The Protocols (Addison-Wesley)

TCP/IP Illustrated, Volume 1: The Protocols (Addison-Wesley Professional Computing Series)

TCP/IP Illustrated, Volume 1: The Protocols (Addison-Wesley Professional Computing Series)

たしかこの本は初版が名著とは言えIPv6非対応のまま徐々に時代遅れになっていたが,既に著者が亡くなっていた.それを別の著者が引き継いで加筆して第二版として出したらしい.

http://ja.wikipedia.org/wiki/W%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%83%B3%E3%82%B9


GoFも,少なくとも一人は亡くなってるんだっけ.
http://developers.slashdot.jp/story/05/11/28/1054211/

フォーマットの死

レコードプレーヤーは既に無く,テープレコーダーやDATもほぼ死滅した.CDとMP3が生き残っているのはデファクトスタンダードだからであって,MDがどこまで生き残れるかは謎.

そんなのは昔からあった話なんだよ.

manningについては最初はpdfだけだったと思うけど,後からmobi形式なんかも追加された.


ことAmazon Kindleに関して言うならば,仮に「Amazonが倒産したらどうなるか?」が一番の問題だと思う.それが自分の死ぬまでのたかだか数十年のうちに起きなければ,自分にとってはほぼ半永久的なメディアとなるだろう.そしてAmazonが倒産したとしても,その権利を他の会社が買収してくれれば,顧客をつなぎ止めるためにもサービスはそのまま継続するだろう.

もちろん絶対はないわけだけど,紙の本にしても自宅が火事になったり雨漏りや洪水で水浸しにでもなれば全部パアだ.*3Kindleならその時でも本体を買い直すだけで,全書籍が元通りに利用できるんだよ.

http://b.hatena.ne.jp/entry/www.dotbook.jp/magazine-k/2012/02/11/when_your_ebook_pass_away/

  • id:raitu 電子書籍は紙書籍に比べ数十年単位の長期保存が効かない。その理由一覧と。

紙の本も普通は数十年もつかどうかだよ.特に酸性紙は長期保存にむかない.

長期保存する気なら,常時エアコンがかかってる低温低湿の書庫を用意してから物を言えと.大抵の人はそこまでして本を保管しないし,それだけの価値のある本も滅多にない.

  • id:aiaki こういう「本」が永遠なり的な事を書く人って何年前の本もってるのかね。20年前の本なんてろくな保存状態でなけりゃ酷い事になるのにねぇ。

たぶん,本好きじゃない人の方がこういう文句を言ってると思う.

実際に保存し続けた経験があれば,紙の本が何十年も保たないことは身をもって経験したはずだから.

  • id:gwgwgw それなりの規模のサービスが閉じられる時はなんらかの引き継ぎが行われるはずなんで、そこの所はあまり心配していない……んだけど、問題は時流に乗りきれない出版社が潰れたらどうしようって所だよなー
  • id:DLdou いち本好きの立場では、電子書籍にそこまで永久性を求めていない。求めているのは、利便性だ。コレクションする価値のある書物は、必ず紙媒体で保管する。電子書籍ですでに買っていたとしてもだ。
  • id:yoko-hirom 未来の人類に残す遺産としての媒体と,現代の大衆向けの媒体は分けて考えるべき。前者は,永続性が高いものが一つあればよい。後者は,安く大量に配布できるものが望ましい。電子書籍は後者
  • id:yingbb DRMの問題じゃね??バックアップとれりゃ関係ない。端末の大きさの問題はどうしようもないが
  • id:beel108 国家で管理保存するシステムがちゃんと機能するんだったら、紙よりデータのほうが次世代への永続性という意味ではずっとましな気がする。去年の津波みたらね。それよりゲームのほうが心配だ。
  • id:napsucks おいおい「市場価値の死」を忘れてもらっては困るな。昔のゲームがフリーで出回るように、電子書籍もプラットフォームが死ぬときはフリーになって市場価値として死を迎えてほしいと願う。

*1:Kindle書籍でも,アジア地域で販売禁止なものはかなりあるらしい.

*2:そして紙の書籍には「絶版で入手不可能」という問題がつきまとう.電子書籍だとその問題は少ない.

*3:仮にボヤでも,消火のための放水だけで紙の本は使い物にならなくなる.