高速自動走路(エキスプレスウエイ)

このアイディアを思いついたのは建築事務所NBBJ。ロンドンの地下を走る環状線サークル線を、この歩道にとっかえよう案です。全長17マイル(約27キロ)にもなる動く歩道スピードは、時速15マイル(約時速24キロ)。生身で体験するには、なかなかのスピードですよね。歩道は3レーン作られ、真ん中がこの時速24キロのレーン、両端にはそれよりもゆっくり進むレーンを作るのだとか。

まんま「鋼鉄都市」の高速自動走路ですな.*1

鋼鉄都市

鋼鉄都市

彼は走路の帯(ストリップ)から帯へと,なんなく移り進んだ.生まれた時からの訓練の賜物だった.子供が歩けるようになると,すぐに教えられるのが自動走路の帯を飛び移ることなのだ,ベイリは,一歩進むごとに加わる加速度の衝撃をほとんど感じなかった.加速に対して,自然と身体を前に傾けていることすら,気付かなかった.三十秒するかしないうちに,彼は,最後の時速六十マイルの高速帯につき,手すりをめぐらし硝子の壁を施した移動歩廊へと飛び移っていた.これが高速自動走路(エキスプレスウエイ)なのだ.

「それで,高速走路でこられたのですか?」
「そうです」
「ワシントンから,はるばるこのニューヨークまで?」
「前にもそうしたことがあるんですよ,わたしは.ボルチモアフィラデルフィア・トンネルが建設されてからは,とてもかんたんになりましたから」


なお,一人の人間が転けただけでも大事故に繋がり,数十人規模の怪我人が出るそうな.

ベイリに突きのけられた乗客の一人が,癇癪をおこして彼の背をぐいとついた.それでおさまらず,彼の身体はもろに走路上に横転した.
ベイリの脳裏を,一瞬,恐怖の光景がよぎった ― 走路上の混乱はたちまち拡大して,恐るべき交通地獄の一つが出現する ― 何十人もが骨折で病院に担ぎ込まれることは必至だ ――

実用化の折には,個人用エアバッグの着用が義務づけられるかも.


こういう惨事が想定される事態に,自動的に助ける以外の選択肢はロボット三原則準拠のロボットにはない.

しかし,その瞬間,R・ダニールの腕が彼の背の下に回った.超人的な力に,彼の身体がらくらくと持ちあげられるのを,次の瞬間ベイリは感じた.
「ありがとう」

「ロボットは人間に危害が加えられるのを看過してはならない」のだ.これも第一条の成せる技.(とむりやり三原則ネタに繋げる.)


他に「走路飛び」と呼ばれるゲームがあることが説明されている.これはエキスプレスウエイを使った一種の鬼ごっこだ.とても人気があるが,それなりに危険も伴う.

というのも,彼らは得てして走路利用者の鼻先をかすめて,交通の邪魔になることはなはだしかったからだ.彼等は,警察からはこっぴどくお説教をくらい,親たちからは,罰を受ける.学校ではみんなの前で名前を呼ばれて叱責を受け,テレビを通じて世間に恥をさらされる.事実,このゲームのために,四人や五人の子供が死亡しない年はなかった.そのほか,何十人かが重傷を負い,何の罪もない一般歩行者がまきぞえをくって,とんでもない災難にあうこともすくなくなかった.

これももし地球がロボット社会であれば,ロボットは自動的に子供達を取り押さえるだろう.危険がくわえられるのを看過することは絶対にできないのだ.

http://b.hatena.ne.jp/entry/www.gizmodo.jp/2015/09/post_18244.html

激しく同意.

  • id:gizmodojapan 高速ってどれほどの速さのつもりなのよ…。 ロンドンには、世界で最も古い地下鉄システムがあります。街を観光で訪れる人には見る価値のあるものでしょうが、その街で暮らす人にとっては面白くも有難くもありません

これだと時速15マイル.鋼鉄都市だと時速60マイル(96km/h).

*1:たぶん古典SFネタとしては非常にメジャーで地味なものの一つだから,アシモフ以外でもそこらにごろごろしてそうな気がする.