「VW排ガス不正 ディーゼルは終わりなのか? 日本は大丈夫なのか?」

http://thepage.jp/detail/20150925-00000003-wordleaf
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150925-00000003-wordleaf-ind

VW不正疑惑.読み応えあり.
これなら納得いった.ソフトウエアは魔法じゃないんだよ.

不正が発覚したのはフォルクスワーゲンEA189型ディーゼル・エンジンで、欧州のひとつ前の排ガス規制「ユーロ5」の適合エンジンだ。フォルクスワーゲンのアナウンスが「一部車種」を強調するのは最新の「ユーロ6」対応のエンジンでは不正をやっていないとしているからだ。

これが全ての始まり.ユーロ5対応/ユーロ6非対応エンジン搭載車を米国に売ろうとして,より厳しい米国の規制をパスするために小細工(不正)が必要になったと.

これが本当なら無茶苦茶怖いぞ.こういう仕事には関わりたくないもんだな.

フォルクスワーゲンがやったことを一言で言えば「身代わり受験」だ。

自分的にはこの例えはスッキリしない.

一方で「テストモード以外では毒ガスを出し放題だったのがけしからん」という論調を多数見かけるが、これは的外れだ。例えるなら「受験科目以外の勉強をちゃんとしないとはけしからん」という話である。普通の大学を受験するのに、受験を控えてわざわざ受験科目以外の美術や音楽を勉強をする受験生がいないように、各国が定めた試験モード以外の運転モードにまで完璧を期している自動車メーカーは世界中に一社もない。

あとの推測も交えて,たとえて言なら問題も答も分かってるヌルい数学の追試で,マジメに勉強する人はちゃんと理屈で覚えて,ちゃんと自分で考えて問題を解く.不真面目な人は一夜漬けでその答だけを丸暗記して,問1「ア」問2「ウ」問3「128.32」みたいに穴埋めだけする.しかも下手をすると,後者の方が点が良かったりするわけだ.

しかし,そんな付け焼き刃の一夜漬けでは,ほんの僅か内容を変更した他の問題を出したら,それこそ問題の順番を入れ替えただけでもボロボロになる.

翻って、欧州ではこうした毒性ガスの問題より、環境課税がかけられるCO2排出量とPMが主題となっていた。毒性ガスについては日米と比較すれば相当に緩く、欧州のそれが日米と同等レベルの規制になったのは2014年のユーロ6規制が始まってからだ。

 このユーロ6規制は2014年9月以降の発売モデルに課せられたが、すでに販売されているモデルについては2015年の9月まで移行措置がとられたのである。クルマのエンジンはそう簡単に新型に積み替えられないから、モデルチェンジが済んでいないクルマはひとつ前のユーロ5規制適合のまま売らなくてはならない。

しかし旧来型のもうひとつのタイプ、NOx吸蔵還元触媒方式が問題で、こちらは温度依存性がより高い。触媒を十分に働かせるためには、生の燃料をわざと排気管に流して燃焼させ、触媒を加温しなくてはならない。ところが、触媒の加熱は加速の瞬間に一気に行うのは難しい。フォルクスワーゲンの場合この2種の後処理装置を車種によって単独で、あるいは両方備えていた。

 詳細は未発表なので、ここからは想像だが、EPAのテストモードではいつ急加速するか予めタイムチャートでわかっているのだから、加速前の巡行中から余分に燃料を吹く制御を行って触媒を加熱していたのではないかと筆者は考えている。もしそうだとすれば、急加速をいつ行うかがわからない現実の路上では不可能な制御だ。テストのタイムチャートを仕込んだ特殊プログラムに頼らなければならない理由の説明がつく。

他の前提条件がその通りなら,このくらいやらないと検査はパスできないな.いずれにせよ,これと同レベルのことをしたと予想される.そして問題のユーロ6非対応エンジンは非対応のまなので,その特定のテスト以外の環境では本来の性能しか出せないのも確実.

これはもう笑うしかない.

地域的には、カナダを含む北米と日本。欧州と欧州基準に準拠した中国。南米やロシア、インド、ASEAN、アフリカの基準までは分からないが、限りなくどこでもアウトになるだろう。事実上の「全世界リコール」だが、最新の排ガス規制の適合は部品の交換や後付けで簡単にできるものではない。各国省庁から緩和措置が得られず、厳格な処分を下されたらクルマを丸ごと新車に交換する以外に手がなくなるはずだ。しかもそのために本当にユーロ6に適合するエンジンを作らなくてはならない。もはやブランド・イメージの失墜がどうのという話ではなく、債務超過の危機だ。