「弁護士は10年後にはなくなってる職業だと思う。-人工知能(AI)と法律 」
http://www.kirikuchi.net/entry/2017/02/04/134203
技術者でも弁護士でも,「それはない」って即答すると思う.AIが弁護士にとって便利な道具にはなっても,AIのせいで弁護士が無くなることはない.
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.kirikuchi.net/entry/2017/02/04/134203
- id:HideAutumn 弁護士です。この方は弁護士の仕事内容をご存知ない様子。(1)は高度な知識と技術が必要。AIは(2)を代替することで業務を効率化するが、(3)以後の(4)=解決策の提案と実行がメインの業務で人間性が必要です。
- id:denilava 著者は法律相談の経験がないようにみえる。正しい正しくないの判定ではなく、不満を聞き、情況に同情し、時には過去に例はなくてもそのケースではこうできるかもしれないと助言するのが弁護士。
今のAIには,人にとっての利害さえ理解できないだろう.「生きるか死ぬか,どっちがいい?」という質問にさえ答えられない.*1
たとえば「座礁した豪華客船の船長が,乗客を放置して真っ先に逃げ出した」として,それのいったい何が悪いのかも理解してない.(というか何も考えてない.)善悪の基準や道徳観というものが全く存在しない.何が悪いのかも分かってないから,弁護することも不可能になる.*2
- id:hobbiel55 「弁護士」の主たる業務って「弁護」なんだが、AIに「弁護」が出来るのか?
- id:riku_mio 弁護士の重要な仕事は刑事弁護だと思うけど、民事で稼げなくなればどうやって刑事弁護をする弁護士を確保するのかきちんと考える必要がある。
某ゲームみたいに裁判所で「異議あり!」ってやるのばかりが弁護士じゃなくて,
裁判にならないように契約書を交わしたり法的な書類を作ったり,自己破産の手続きしたり.場合によっては関係者から話聞いたり,間接的な証拠集めしたり,
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- id:masasia0807 相談者が自分の抱えている問題を正確に把握できている前提が成り立つなら、要らないかもね。
- id:Sinraptor もともと相談者が自分の相談内容をしっかり把握できてたら苦労しないだろう。相談の解決は頭の中のもやもやを整理するところから始まる。
「プログラミングは将来なくなる!」とかのアレな.
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1404/08/news124.html
顧客が自分の欲しい物を理解してるなら苦労はない.
google:What the customer really needed
- id:semialt 機械学習とエキスパートシステムを組み合わせようという提言かな?それとも、機械学習でエキスパートシステムを作ろうという提言?どちらにせよ、エキスパートシステムと同じように失敗しそう。
同感.
「人工知能」だけじゃなくて,エキスパートシステムとかニューラルネットって単語を聞きかじっただけの人でも,こういう「AIは知的!」などという幻想は抱かないと思う.
「AIは人間より遙かに賢い」なんて言ってる専門家はいないと思うよ.
一方、どんな既定のマシンの機能も相関関係が全くありません。どういう意味かというと、あるマシンはチェスの世界チャンピオンには勝てるかもしれませんが、チェッカーや他のボードゲームをプレイすることは絶対に不可能でしょう。また、あるマシンはクイズの大会で勝てるかもしれませんが、 “あなたの名前は?” という簡単な問いには答えられないかもしれません。 *4
http://postd.cc/q-and-a-2/マシンがタスクXを行うことができるなら、同じくタスクXを行うことのできる人間が行うことができるであろうタスクも全て行うことができる。
マシンIQに関する質問の回答を参照してください。現状では、マシンは人間と同じ意味での汎用知能を持っていません。そのため、マシンの能力は非常に限られていることが多いのです。
スパルタクスのレベルまで行くのさえ,遠い未来の話.
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- id:redlabel 適切な判例上げてくれるだけでもかなり助かる
- id:nakag0711 裁判って判例なんかなくても訴えられたら受けてたたなきゃいけないからね。しかも裁判所の営業時間は平日昼間だけ、料金をもらって本人の代わりに出られるのは原則として弁護士だけと決まっている。
- id:Windfola この内容でAIに取って代わられるのは弁護士じゃなくてネット法律相談サイトじゃね?
http://www.eizojoho.co.jp/industrial/bn/i_pdf/0002lemelson.pdf
http://www.eizojoho.co.jp/industrial/bn/i_pdf/0102leme3.pdf
WIRED「人工知能は弁護士を絶滅させていく:米国での調査結果」
http://wired.jp/2015/10/28/computers-replacing-lawyers/
追記.
「タイトルは釣り」って感じがする.
この調査では、50人以上の弁護士を抱える法律事務所320社の上級弁護士から、匿名で回答を得た。その結果、回答した法律事務所幹部の約半数は、「AIによって、パラリーガルという職業が葬り去られる可能性がある」と述べている。
また、約35パーセントは、「今後10年以内に、AIが新任のアソシエイト(若手弁護士)に取って代わる」と考えていることがわかった。2011年に実施された同様の調査では、こう答えた回答者は全体の25パーセントを下回っていた。
http://www.altmanweil.com/dir_docs/resource/1c789ef2-5cff-463a-863a-2248d23882a7_document.pdf
減るのは「パラリーガル」と呼ばれる比較的専門性の低い分野であって,それも幹部の50%が「可能性がある」と答えてるだけ.弁護士の仕事自体がなくなることは想定してないようだ.
- 法律相談
- 受任の判断、報酬額の決定
- 弁護士の監督がない状態での書面作成
- 弁護士の監督がない状態での交渉
これらはすべて、パラリーガルの独断で行うことはできないとされています。
とはいえ、弁護士の監督さえあれば、だいだいの書面は作成することができますし、交渉まで行うことができるため、パラリーガルによってカバーできない弁護士の業務というのは、パラリーガルの監督を除けば、「法的判断と法廷での代理行為」くらいです。
http://bengoshihoken-mikata.jp/archives/2118
パラリーガルといってもピンキリだろうし,そのうち低スキルのものが置き換わるのは想像に難くない.
だが,せいぜいそこまでだ.
「パラリーガルの一部がAIに置き換わる」→ 「弁護士助手がAIに仕事を奪われる」→ 「弁護士も,うかうかしてられないんじゃね?」→ 「弁護士も絶滅するかも.」→ 「弁護士が十年以内に絶滅する!!」
という伝言ゲームで話がデカくなっていったのでは.
それと弁護士の仕事の一部がAIによって効率化することで,ビジネスの形自体が変化していく可能性はある.
CGが低コスト化することで,同じ映画一本を取るのに必用なCG専門家の数は減っただろう.
しかし今では映画で使うCGもより高度で大規模化し,CMなどの特撮のメインにCGを使うことは珍しくなくなり,TVシリーズのコストダウンにまで使用される有様だ.CGについては仕事のパイ自体は確実に大きくなってるのではないか.*5
*1:新しいGoogle翻訳試してみればわかる通り,日常会話の自然言語理解さえ,まだできてないのだ.テスラ車が「墜落」するんだぞ.専門的な会話や判断の難しい法解釈なんて絶対に無理.
*2:「未来の二つの顔」の冒頭で,土木工事にマスドライバーを使ったのもコレの同類.あれだけ進化したAIでさえも,常識が全くないから「作業員を殺してはならない」「マスドライバーを使ってはならない」と一つずつ説明しないといけなくなる.
*3:下手すると不誠実な顧客に振り回されたり.うーん,まるでSEのような.orz
*4:そこは "How do you feel?" にして欲しかった気も.
*5:もちろん弁護士とは状況が異なるだろうけどな.