AIの「直感」と知性

  • Togetter「将棋ソフトPonanza開発者「人工知能はいまのところ論理的な思考はほとんどできない。むしろ『直感』を得意としていることはあまり納得されていない」」 https://togetter.com/li/1226711

素人にザックリ説明する上では「だいたいあってる」が,専門家的には不正確で誤解を招く表現だと思う.

Deep Learningだけが人工知能なわけではないし,直感が非論理的であるとも限らない.

http://b.hatena.ne.jp/entry/s/togetter.com/li/1226711

  • id:filinion AIに論理的思考…記号処理をやらせよう、というのは、1960年代ごろには人工知能研究のアプローチとして盛んだったけど、実用的な成果を上げられないまま冬の時代を迎えてしまった、という理解。(滅んだわけではない)

エキスパートシステムのための知識獲得ハンドブック エキスパートシステムの設計 エキスパートシステムの設計と開発 (情報系教科書シリーズ) エキスパートシステム〈1〉入門 (朝倉Alらいぶらり)
エキスパートシステム人工知能の代名詞だった」というと言いすぎかな?*1

  • id:ttysumi 直感、の定義次第で、どういう人工知能を指しているかで、話は全く異なる。人工知能というのは将棋周りだけではない。
  • id:sds-page 決定要素が複雑すぎてなんでそう判断したかうまく他人に伝えられない判断の事を直感って呼んでるだけだな
  • id:Hamukoro 直感っていうか大局観が近いと思う。
  • id:karikari1255 人間の直観も単なる経験則に過ぎないよねって前提を共有しているかどうかで反応が違いそう。揚げ足取りが目立つけど言わんとすることは分かる。


囲碁や将棋の名人が,盤面を見ただけで「どちらが優位」「あと何手くらいで詰み」とかを読み取る能力が,非論理的で知的でない(≒バカだ)と,いったい誰が言えようか.

「知能」の定義も難しいし,「直感」の定義も難しい.直感も非常に高度で複雑な知的作業の一形態に過ぎないのではないか.*2

MITの人工知能

MITの人工知能

人工知能―展望
知識ベースシステム―1986年における概観
エキスパートシステムのツールと技術―過去、現在、未来
事例研究―専門知識〈医療診断知識〉を組み込んだシステムの発展
人工知能ソフトウェア工学
知的自然言語処理―現状と将来展望
自動音声認識と音声理解
知的な視覚システムの構築
ロボットの知覚機能
ロボットプログラミングとAI
ロボットハンドと触覚センサ
自律移動ロボット

https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000006304908

古いからいまさらだけど,当時の雰囲気を味わいたいと思う人には良いまとめになる本.古いから,お手軽価格だしね.


「ペンギンは飛べない鳥である」とか「風が吹けば桶屋が儲かる」とか.懐かしい問題だ.

*1:コンピュータが「生物とは逆向きの進化をしている」という話は「未来の二つの顔」でも言われてる.生物は生きるための能力,世界を知覚し跳んだり跳ねたり噛み付いたりする能力が先に発達し,数学の様な技術は後回しにされた.コンピュータは先に算術演算から発達したが,「物を見る,世界を認識する」のような生物には基本となる能力さえ未だに有していない.

*2:シャーロックホームズでも,既にそんな話が出てるんだ.