サマータイム問題 メモ

いろいろメモ.

他国の古い事例をみても対応費用は1千億円は軽く超え,インターネットが普及した今の日本でやったら一兆円の大台を超えそうな勢い.*1仮に税金つぎ込むにしても胸に手を当ててこう聞いてみるといいだろう.仮に日本のGNPの1%を,なんの役にも立たないサマータイム導入のためにドブに捨てるか,子育て支援景気対策などの他の事業に回すか,どちらがいいかと.*2


2020年までにサマータイム対応なんて実現不可能なのが既に確定してるわけだから,てっきり虚構新聞みたいに冗談で言ってるだけだと思ってた.本気にしてた人なんているの?既視感あると思ったがこれって,ザハ案の論争に似てるんだな.技術者が「技術的に見て実現不可能です」って断言してるのに,一部の政治家が「そんな正論は聞きたくない,ヤダヤダ」って子供のようにダダこねて,貴重な時間を浪費するだけという.なんで最初に実現可能性を技術者に確認しなかった.

自称ITジャーナリストの宮脇睦の「ボクの考えた最凶のサマータイム(笑)」

これはヒドイ.きっとこの人は,悪名高き「IT芸人」として今後も語り継がれていくんだろう.

政府が導入を検討しはじめた「サマータイム」。来年の新元号への切り替えと合わせてコンピューターシステムへの不安が懸念されていますが、「まったく問題ない」と突っぱねるのは、ITジャーナリストの宮脇睦(みやわき・あつし)さん。宮脇さんは自身の無料メルマガ『マスコミでは言えないこと』で、「最大の障壁は日本人の習性」としてその理由を記しています。

コンピュータ(システムやプログラム)には「時間経過」の概念がありません。命令を受けた瞬間からの経過時間は、秒単位でカウントアップしていくだけで、つまり「その瞬間」しかコンピュータは認識していません。

もう少し、かみ砕くと、「いま何時? 3時か、あと2時間仕事しなければ」という発想はなく、命令された時間だけ作業を繰り返しているということです。

時そば」?


仮に夜0時から8時間働いて,その間にサマータイムで2時間巻き戻されると,8時間労働で6時間分の時給がはらわれるんですね?2時間進める場合はその逆.こんな簡単な計算でも,「その瞬間の現在時刻(時計の表示)」と「経過時間(インターバル)」とは別の概念で別処理だ.別のタイムゾーンにある他のシステムとの連携が入るともっと面倒だろう.

だから、どこかの瞬間、サマータイムにより2時間ないし、何時間と時間がずれても、そのまま処理するだけで影響は軽微です。目覚まし時計の時間がずれたら直すように「サマータイム」となったとき、コンピュータの時計を合わせ直せば良いだけのことです。

ホストコンピュータなどと接続していて、連続した情報をやりとりしているシステムなら、バチっと電源を落として、その後の立ち上げで日時の変更をすればよいだけのこと。

コンピュータに詳しくない人は、人間の意識する「時間」、便宜上「自然時間」と呼ぶとすれば、これを基準にコンピュータのことを考えます。


....お,おう.

https://www.nytimes.com/2007/03/05/technology/05daylight.html
対応済みの米国のカスタマイズで400億円なら、新規作成の日本だと余裕で1兆円を超えそうだな.最終的に10兆円か100兆円かしらんが,いったい誰が払うんだろう.



.NET Framework における時差情報(サマータイム)の取り扱い」
# ネットを見ていると、システムの時刻変えればいい、みたいに単純化されている人もいるのですが、スタンドアロンで動く時計みたいなものと、システム間で連携することが前提になっているシステムとでは全く違うんですよね;。
# 例えば DB に書かれた時刻や電文に乗っかってくる時刻が JST なのかサマータイムなのかは大問題で、自分のシステムがちゃんとサマータイム対応していたとしても、相手先のシステムから 1 or 2 時間ずれた時刻が送られてきた瞬間に業務矛盾を起こすケースとか、そういうぞっとするケースが考えられまくるんですよね。
# 本来はこういう問題を避けるために、すべて UTC ベースで処理するのが基本なんですが、ひと昔前のシステムだと UTC で時刻を扱っているケースなんてほとんどないのではないかと思うのですが;(もしかしたら今でもそういうシステムが多数なのかも;)。

https://blogs.msdn.microsoft.com/nakama/2018/08/11/timezone/

仮に時間経過を認識できないといして,同じ事を二回繰り返して,しかも他人の時間は巻き戻ってないからヤバいんだぞ.

自分の時間が戻って記憶が消去されても,自分がした結果までは消えてなくならない.現金引き落としを二回繰り返しても平気というのなら,まずはご自分の預金で実践してみると良かろう.


あと,サマータイムで二時間巻き戻されるとしたら,その日は1日22時間しかなくなる.その結果として「勤務時間」が二時間減らされることになるのか,それとも「睡眠時間」が二時間減らされることになるのか.後者を押しつけられることになる社畜は惨めなんだぞ.勤務時間を二時間減らす場合は、シフトとか勤怠管理とか進捗管理とかどうすんだろ.


楽天市場がなくなる日 (洋泉社ペーパーバックス)

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Web2.0が殺すもの (Yosensha Paperbacks)

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ああ,こういう芸風なのか.

朝日新聞サマータイム、IT業界に拒絶反応 よみがえる苦い記憶」

https://www.asahi.com/articles/ASL8B4RG9L8BULFA01B.html

上よりマシだがクソ記事.新聞記者のバカどもには,技術的経済的に実現不可能だということもわからんのか.

そういえば,2020年までに自動運転タクシーを実現するって話はどうなったんですかね.

2020年東京五輪パラリンピックの暑さ対策として、政府・与党内で検討されている「サマータイム」(夏時間)導入案に、IT業界などに戸惑いが広がっている。もし実行に移され、標準時が1〜2時間早められると、コンピューターシステムの大規模改修などが必要になるからだ。ただでさえ忙しいエンジニアにとっては「働き方改革」に逆行する事態にもなりかねない。

「戸惑い」とか「嫌悪感」なんてレベルじゃねえよ.技術や労力の無駄使いだって話だ.経費に糸目を付けなかったとしても,いったいどれだけの時間と技術をドブに捨てることになるか見当もつかんのだぞ.

いったい誰が改修費用を出してくれるというんだ?政府?オリンピック委員会?それとも改修作業はオリンピックみたいに,ボランティアで無給で働けっていうつもりかな.若者のIT業界離れ推進活動お疲れ様.

Togetter「『オリンピックのためにサマータイムってのも全く新しくなくて、韓国がソウルオリンピックのためにやってる』」

https://togetter.com/li/1256547
さらに追記.

インターネットなんて影も形もなかった「1987-1988年」時点で1千億円.いまだとその十倍でもすむかどうか.オリンピック委員会にそんな金があるの?

やはり愚行と言わざるを得ない.


*1:見積費用だけでも膨大だろうなあ.

*2:二千円札が発行されました.1,膨大な金をかけて自販機やATMなどをすべて二千円札対応機器に入れ替える.2,二千円札を使わない」.どちらになったかはご存じの通り.