「国産Googleの野望」

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060209/113175/
http://slashdot.jp/it/article.pl?sid=06/10/06/0827237

結論:噂に聞くシグマ計画と同様に,IT業界の黒歴史の一ページとなることでしょう.
http://karetta.jp/index.fcgi/karetta/book-node/okite/003191

経産省,国産Googleの開発へ」――。2005年12月,日経新聞の紙面に掲載された記事に付けられた見出しである。経済産業省が国産の検索エンジン開発を検討すべく研究会を立ち上げたことを報じたものだ。

既に勝負は付いている.

今や検索業界の巨人となったGoogle相手に戦うとなると,MSやIBMあたりでも厳しい.Googleは既に世界中で人材引き抜き合戦を行い*1,数多くの人材を確保している.それを支える資金もある.たかが日本政府に何ができる.どう見てもそれに匹敵する人材を確保することなど夢のまた夢だ。

悪く考えれば「この検索結果を日本のユーザーに見せるのは都合が悪いから隠しちゃえ」といった具合に検索結果を細工されても,我々には分かりません。

たしかにその可能性はある.しかしその点に関しては日本政府やこれを受託するITゼネコンのほうがよほど信用できない.*2

どうなるか分かりませんが,100億円も予算が付けば検索エンジンの開発に向けて関係者の雰囲気も一気に変わるのではないでしょうか。

変わらないと思う.
その100億が人材に投じられるならともかく,ほとんどは箱や多重下請け構造の途中でピンハネされるだけ.開発者に届く頃には雀の涙になっている.*3


万が一,日本に天才的なソフトウエア技術者がいて,たった一人でGoogleを凌駕する検索エンジンを作る才能があったとしても状況は変わらない.もしそんな天才がいれば,その人物は間違いなくGoogleヘッドハンティングされる.破格の待遇と世界最大最強の検索エンジンの開発チーフの座,世界中の人材と切磋琢磨できる環境.*4それらを前にして,日本に留まる意味があろうか.第二の中村修二となるだけだ.いやこの場合は第二の嶋正利というほうが適切か?*5

*1:なんと日本も含む。

*2:もしそのような日の丸検索エンジンができたとして、「シグマ計画」「住基ネット」「第五世代コンピューター計画」などで検索をかけると,一体どんな結果が出るのだろう?

*3:ひょっとして担当者は箱を買ってつなげて,市販ソフトをインストールすればGoogole対抗検索エンジンができあがると思っているんじゃあるまいな.

*4:加えて全米のIT企業でも有数を誇るというほど美味な社員食堂の食事.しかも無料.

*5:"slave nakamura"の判例を見て分かるとおり,自他共に認める世紀の大発明をした場合の「相当な対価」でさえあの程度だ.もし万一Googleに匹敵する検索エンジンを作ったとすれば間違いなく快挙だが,おそらく担当者にはそれを理解できないし,理解できても世紀の大発明だとは認められることはあるまい.せいぜい「いい仕事をした」と認められ,「相当な対価」として金一封が渡されて終わり.だからこそ日本政府には絶対に勝ち目はない.