日産のゴーンさんは現場を知らないか?

http://d.hatena.ne.jp/yakiniku8929/20060322/1142964021

でもねぇ。たとえば日産のゴーンさんが、自動車組み立ての整備オペレーションを知らなくても仕事はできるわけで。

最初に,ソフトウエアの開発は自動車で言う「新車開発」に,ソフトウエアの実装はさしずめその設計作業に相当するので整備オペレーションではない.整備オペレーションに近いのは,例えばOSのインストールやパッチ当て作業の「手順書」のようなものだな.ここまでのことは,普通は経営者が知る必要はないだろう.*1

第二に,ゴーンさんは実際にテストコースに赴き自分の手で走らせて感触を確かめてみたり,現場やサプライヤからも様々な意見を直に集めている*2.何も知らないままで,実態と乖離した数字だけで改革を進めてきたわけじゃない.

おおきいシステム会社だと、そーいうやり方でもきっちりミッションクリティカルな成果物ができるように体制整えてるわけだし(その裏にはデスマーチの地獄絵図があるんでしょうが..)。

それは幻想というものです.そんなにきっちり作れていれば,立て続けにシステムトラブルを起こしたりはしません.

それに,うまくいってる場合でさえも作っているのはシステムじゃなく,いわゆる下請け孫請け曾孫請けの人達です.システムは足を引っ張りこそすれ何も生み出してはいません.しかもその人達も限界に達している.

*1:その理由の一つは,それなりの技術者が作れば,誰でもそれなりの手順書が作れるから.作る人によって手順書の品質が数十倍も異なるのであれば,誰に作らせるかが重要になる.そうなると,その人の能力および成果物である手順書の品質の評価や正当な対価などについて経営判断が必要になるわけだが,実際にはそういう場合でも経営者は何も自分では判断しないんだよね.判断する能力がないから.

*2:http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20060106#20060106f3