「不安に打ち勝つキャリア設計 第2回」

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20060609/240539/

米国では日本のような「安定した雇用は当たり前」という意識は全くない。会社はつぶれるもの,レイオフされるものであり,「雇用は不安定なのが当たり前」と考えているのだ。

それは日本においても同じだ.「終身雇用」も「会社はつぶれない」も高度経済成長期の都市伝説にすぎない.*1

米国のITエンジニアの姿勢は極めて柔軟だ。家のローンが払えなければ家を売る。家賃が高ければ安いアパートや,安く暮らせる土地へ移る。子供の教育費がかかるなら,転向や退校をする。「生活レベルを落としたくない」という気持ちはあっても,仕事や会社が変わるのなら仕方がないと割り切っている。

割り切っているとかどうとかではなく,物理的に不可能だ.

先に「収入減」という事実を突きつけられれば,生活水準を落とさざるを得ない*2.それは心の内でどのように考えているかとは別の問題だ.どれほど悔しいと思っていても,どんなに生活水準を落としたくないと思っていても,給料が下がるのであれば生活水準も下げざるを得ない.*3

日本では転職時に「生活水準を下げたくない」を条件に挙げる人が多いのは,レイオフがそれほど一般的ではないことと,企業がどこも似たり寄ったりで個性が無いからではないだろうか.レイオフが迫っていれば理想的な条件などに拘るわけにはいかないし,企業がドングリの背比べで有れば,結局は給与面くらいしか差が出なくなってしまう.*4

また年功序列であるために,一度給与面で妥協すればその影響は長期に及ぶ恐れがある.今年の年収を50万下げると,それは今年の給与だけでなく来年も再来年もその次の年も,転職しない限り定年退職するまでおおよそ50万ずつ下げるということを意味する.これも年功序列の弊害だね.*5

*1:それも大企業限定.

*2:これは可能性の問題でなく,既に日常の1ページになっている.orz

*3:もっとも米国では転職時に報酬UPという例も多いらしいけどね.

*4:IT業界に関して言えば「これ以上給料が下がると本当に生活できません」というのもアリか.

*5:多少の補正はあるかもしれない.だが「去年は100万減でオファーを受けたが,成果が認められて今年から100万UP,来年はさらに100万UPが予定されている.」などということは,まず期待できない.そんなことをすれば成果主義になってしまうからねえ.