ホワイトカラーエグゼンプションに求められる要件

http://blogs.yahoo.co.jp/itinnovationconsulting/45999404.html
メモ.

○管理職の場合

  • 主たる職務が、勤務先企業ないしはその部門の管理(指揮命令・従業員管理など)にあること。
  • 常勤従業員2人分に相当する以上の従業員の労働を人事権を含んで指揮管理していること。
  • 他の従業員を採用解雇する権限があるか、その提案勧告に特別な比重が置かれていること。

の3つ全てを満たすか、あるいは年間賃金総額が10万ドル以上で上記いずれか1つを満たすことが必要。

同じ『管理職』とはいえ,事実上ある一部門を統括する「経営者」としての権限と責任を有しているので,経営者として扱うのは筋だろう.日本の場合は部長クラスでもこれだけの権限を有しているだろうか.

○運営職の場合

  • 主たる職務が、勤務先企業または顧客の財務、経理、監査、品質管理、調達、宣伝、販売、人事管理、福利厚生、法務、コンピュータネットワーク、データベース運営その他の管理等のオフィス・非肉体的業務であること。
  • 主たる職務に、重要事項に関する自由裁量・独立した判断を含むこと。

の2つをいずれも満たすか、あるいは年間賃金総額が10万ドル以上で上記いずれか1つを満たすことが必要

日本の場合では現場の人間が重要事項を決定する権限を持つ場合はまずないので,事実上「800万〜1000万以上」というのが最低ラインでしょう.「400万はクレイジー」.

○専門職の場合

  • 法学・医学・経理学・保険統計学・工学・建築学・物理化学生物関連学などの長期専門的知識教育による高度な知識を必要とする労働であること。
  • 音楽・文筆・演劇・グラフィックアートなどの芸術的創作的能力を要する分野で、発明力・想像力・独創性または才能が要求される労働であること。
  • ハードウェア・ソフトウェア又はシステムの機能仕様決定、設計・開発・テスト・修正、マシン・オペレーティングシステム関連システムの設計・テストなどが主たる職務であること。

のいずれかを満たす場合。

ソフトウエア開発と芸術分野は担当する人間の技能によって生産性が何十倍も異なる産業だからね.時間に比例した成果が出ないので,本来は時間給が相応しくない産業ではある.

特に米国の場合、管理職だとMBA経理専門職ではCPA公認会計士資格)、法務部門の管理職ではバー(司法試験)など専門的な教育を受けたという事実などの客観的な根拠が求められ、その要件を満たさないと労働関連の裁判で極めて不利となる現実があるらしい。
その他、専門職の場合も、職歴か類する教育を受けたという証明が必要とされる模様である。
また、欧州各国でも類似条件で法制度化されている。

またそれこそシリコンバレーのトップ技術者ともなると博士くらいは珍しくないと聞くし,年収要件の「10万ドル以上」も楽々クリアとか.これは日本だとまずあり得ない.「学歴不問,未経験者可」でもなければ人月単価の世界でもないというわけだ.まさに別世界なので,日本のIT業界にそのまま適用するのは無謀だろう.

日本で、特に問題となるのは、欧米で曲がりなりにも実績を積んでいる成果主義の慣行がまだ確立されていないか、逆にうまくいっていないため、ホワイトカラーイグゼンプションの大前提が極めて脆弱な点だと思う。

これは私も既に述べたとおり.

あくまで成果主義が根付くのが先で,ホワイトカラーエグゼンプションの導入はその後でなければならない.この順番を間違えると,経済の民主化の前に国による経済統制を取っ払って崩壊した,ロシア経済のようになってしまうだろう.