続・IT業界のネガティブイメージ(その2)

http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20080529/p1 の続き
とりあえずメモ

「夢のあるITには若手が殺到している 刹那的な業態が見切られただけ」

http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20080530/it
ほぼ同意.問題なのは「夢のあるITって一体どこ?」ってことなんだが.

そして膨大な数の「業務知識に精通し、かつ、大規模システムをチームワークで作れる人材」を業界が欲する背景に、元請け企業の長期雇用に起因するIT業界の多重下請け構造だけでなく、発注企業側の長期雇用や組織の硬直化に起因する、ビジネスプロセスの個別化や、発注企業のIT部門でさえビジネスプロセスに触り難い組織力学にあるのではないか。
西垣氏も金融SE上がりなら、地銀でさえ自行のビジネスプロセスに固執し、簡単には共同システムやパッケージによる合理化が成功し難い状況をよくご存知だろう。そういった非効率で価値を生まない似たようなシステムは、膨大な数の使い捨てられる技術者の犠牲の上に成り立っている。

あの10年、日本企業の多くが若者を引き受けて育てることを投げた。いまさら若者から見捨てられても仕方ないではないか。それはそれで労働市場が機能しているということだ。遠からず誰もメンテできなくなる膨大なスパゲッティ・コードをどうするのかを考えると空恐ろしいけれど、本当に手に負えなくなってからしか、会社身分制を飛び越えた無理は通らないだろうから、それは自業自得だ。

IPA討論会の現場が@ITの記事と全然違っている」

http://d.hatena.ne.jp/t_yano/20080530/1212135511

もしエリートだけでやれば、僕らコンピュータ技術者の10分の9はそもそも必要ないというのはすごいことですよ。でも普段「すごい技術者とへぼい技術者の生産性の差は20倍以上だ」という言葉に賛同してる人たち(私を含め)はそれを否定できないですよね? 10倍以上の生産性をもった技術者ばっかりなら、10分の9くらいはほんとに必要ないかもしれないんじゃないか。逆に言えば10分の1に入ってない技術者が足をひっぱってる結果として現状があるのかもしれないってことだよね。私は自分が10分の1に入れているとは今のところ思えるに至ってないので、そこまで考えるとちょっとショッキングでしたよ。

別にショッキングでもないと思うけどな.むしろカビの生えた低レベルな人が,技術者の肩書きを持って生き残っていることの方がショックだった.

ITを専攻している学生達からは、「就職時にITスキルが問われないのだとしたら、大学でやっていることには何の意味があるのか」という質問が出ていたのだけど、明確な回答はなかったと思う。その人たちは、ちょっとショックを受けていたような気がする。

http://d.hatena.ne.jp/itoyosuke/20071101/1193932945

でも実態として開発に必要な人数に対して高度な教育を受けた技術者の数というのは圧倒的に足りないのが実情なんですね。

だって業界の重鎮たちが「技術者は要らない」って言ってるじゃないですか.高度な技術を持っていても下積み10年,その次は管理職って言われたら,どんな優れた技術者だって腐ります.それでは重鎮(≒老害)にはなれても,技術者としては生きていけません.


ちなみに討論会の内容が違うというのは,まあそうなんだろうと思う.マスコミが正確な報道をしてくれると期待すること自体が間違ってるからね.だからIPAの方も討論会の映像をストリーミング配信するとか,講演の要約,或いは全文をネットで公開するとかすればいいのだ.

IT経営陣と学生の不毛な討論会@IPAX2008

http://slashdot.jp/it/article.pl?sid=08/05/30/0631250
スラド

3Kといわず42K集めてみました

http://blog.codezine.jp/editor/2007/11/3k42k.php

新生児医療に新人をリクルートするために

http://childdoc.exblog.jp/7126170/
直接の関係はないけど,何か共感できる物はある.

「彼ら」が、それは自分たちが診るほどの症例ではないという、そういう症例を彼らまで回さずうちで食い止めることが、彼らには彼らが診るべき症例に専念してもらうことが、うちの存在意義だとは思っている。でも、そういう仕事に尊敬が集まることはない。彼らの視線には私らの仕事は汚れ仕事である。彼らとて、私らの仕事が停止したら自分たちも立ちつくすしかないとは分っているのだけれど、でも、その仕事の跡取りに娘が惚れても結婚するのは断固反対、議論の余地すらないとでも言うかのような、そういう立ち位置の汚れ仕事である

新人に新生児医療が素晴らしいと思ってもらいたいなら、そう思う君たち自身が、私らの仕事を素晴らしいと心から思ってみろよと思う。そう言われたら君たちは言うだろう。いや自分たちも君たちの仕事の重要さはよく分っている、素晴らしい仕事をなさっていると尊敬していますと。いや、私が言うすばらしさとは、そのすばらしさではないのだ。(中略)すばらしくて生涯を賭けられる仕事であると、新人たちに言えるのなら、新生児医療への新人リクルートは軌道に乗ることだろうと思う。

アラル海消失の教訓

http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0807/200807_096.html
これも直接の関係はないけど....

  • 自然環境は人類によって簡単に破壊されてしまうが,修復は時間がかかるうえ困難だ。
  • 現時点で深刻な問題が生じていないからといって,将来も大丈夫だとは限らない。アラル海集水域では何世紀も前から広範な灌漑が行われていたが,1960年代までは湖に深刻な被害はなかった。灌漑をさらに拡張したことによって持続可能な限界点を超え,一帯の水系が破綻したのだ。

まるでIT業界.医療崩壊もそうなのかな.