「すでに織り込み済み」

http://d.hatena.ne.jp/Blue-Period/20081030/1225358798

http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20081030/p1 関連

これから就職する人は団塊ジュニアジュニアというわけじゃないので楽なんじゃないの?

うん,面白い意見だ.


でもそれこそが求人倍率だけはバブル時なみの「超売り手市場」となった原因だよね.べつに景気が回復して求人が増えたというより,若者が減って新卒労働力の供給が減ったために,需給バランスが崩れただけ.それがなければ今でも就職氷河期と呼ばれていたかもしれない.*1いわば若者の減少というのは,ここ数年の「超売り手市場」で織り込み済み.今度はそれに比べて求人の減少が予想されているので,今より悪くなることはあっても良くなることはまずないでしょう.

新卒の求人倍率なんてメモリのスポット価格みたいなものだから,供給が少し減れば上がるし,需要がちょっと減れば簡単に下がるだろう.それがどこまで下がるのかは今のところ予想がつかない.とはいえ,1991年から続いた第一次の就職氷河期に比べれば絶対的に若者不足だし,制度的にも精神的にもずいぶん楽にはなるだろうけどね.*2


いずれにせよ,それでもこの時期に内定取り消しするのは経営者としてのモラルに反するとは思う.経営者はいつ内定をキャンセルしても事実上ペナルティーが課されることがないために,いまじゃ『青田刈り』*3のし放題.一種のモラルハザードが起きていると言って良いと思う.本当は内定取り消しについては,ペナルティーとして初任給3ヶ月分くらいのキャンセル料を法律で義務づけてもいいんじゃないかな?*4

*1:もうひとつの大きな理由が組織の少子高齢化.いわば高齢者のための年金を負担するために,より多くの若年労働者が必要になっているんですよ.

*2:その「制度的」の一つが非正規雇用の増大.こういう時に真っ先に首を切られる(正確には契約を延長しない)対象にされるのが非正規雇用なわけ.だから仮に10%人を減らすととしても,半分の5%が非正規雇用で,残り半分を新卒採用の抑制でなんてことが簡単にできちゃう.その分,今年の新卒へのダメージは比較的少なくなると.減らされる側としては全然嬉しくないし,技術力も現場のチームワークも愛社精神もボロボロになるけどね. http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2008103100834

*3:「青田買いが正しい」という意見もあるけど,「青田買い」なら返品は許されんでしょ.やっぱり今の人事部がやってることは「青田刈り」の方が正しい気がする.

*4:失業給付が3ヶ月くらい.普通は最低でも退職日の1ヶ月前には予告する義務があって1ヶ月分の給料は支払わなければならないから,ペナルティーが給料3ヶ月分というのは無茶ってことはないと思う.若者の未来を奪うことに対する代償としては安すぎるくらいでしょう.