「戦後の価値観の多様化は明確な目標を人々から奪った」

タイトルはブクマコメントより拝借させてもらった.

この二つの記事.根底に流れるのは「戦後の価値観の多様化は明確な目標を人々から奪った」だと思う.

高度経済成長の頃は「道路がないから道路を作ろう.家がないから家を建てよう.それが人々の幸せに繋がるはずだ」みたいな共通認識があったように思う.だからこそ公共の福祉のために『期間限定の緊急処置』として道路特定財源住専などを用意することもありえた.

だが今ではそのような「全国民に共通の目標」はもはや存在しない.高度経済成長期と今では人々の行動原理が異なるのだ.*1 *2

http://d.hatena.ne.jp/TERRAZI/20081125/p1

これはひどい」記事

ところが、「頑張らなくてもいいじゃん」的なゆとり風潮の蔓延で、今の日本人は性根が腐って来ているのではないかと感じる。あたかも、立派な業績を上げた老舗企業が、二代目、三代目と代替わりする度に、その栄光を食いつぶしていくように。

そもそも「頑張ったら負け」であって「がんばらなくてもいいじゃん」ではないと思うけどな.

老害どもがのさばって,頑張れば頑張るほど損をする社会を作ってしまえば,若者が自分の利益を最大化するために頑張らない道を選択するのは,究めて合理的な判断だろう.

http://diamond.jp/series/masugi/10004/

「ものごころついてから、ずっと暗いことばかりなんです」と新人ナカムラは言います。話しを聞いてみると、彼(女)たちの就労観、3年以内に会社を辞めてしまう諦めの良さ(?)も、育ってきた時代の影響がきわめて大きいことがわかってきます。今回は、そのことを検証してみたいと思います。

若い頃の苦労は金をだしてでもしろ.若い時代にバブルを経験した世代よりは,ずっとマトモな人間になれると思う.

  • このような時代に成長してきただけに、いまの若手は成長史観を持ち合わせていません。基本的には会社にも世の中にも成長するイメージはなく、
  • したがって会社に依存しようという意識が薄い。ポテンシャルの高い層では、頭の中を占めるのは「自分の能力」を磨くことばかり。いまいる会社が潰れたとしても、どこに行っても通用するようなスキルを身につけておこうと考えているのです。

前半は「高度経済成長が終わった」というだけの話.
それが,どのように論理的に後半に繋がるかが明確ではない.それが「したがって」の一言で誤魔化されている.


昔は人口ピラミッドがピラミッド型だったので「会社が大きくなればポジションも増え,長い間務めていれば自然と昇進して給料も上がる」ということが起きていた.これが終身雇用と年功序列の背景にある.

しかし今では「会社は大きくならず,権力の椅子には全て老害どもが先着順で列をなしている.若者は昇進もできないし給料も据え置き」になった.だから若者はキャリアアップを会社任せにせず,自分の道は自分で切り開かなければならない.そうしなければ生き残れないのだ.


http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20060525/p2

一方で、ここ 10 年ほどの間に就職した人たちは、難関の就職戦線を切り抜けてきたために、仕事に関する「こだわり」を持っているような気がします。こだわりが強いがために、自分が思い描いた仕事ができなかったり、ノンポリ上司についたりすると、驚くほどあっさりと転職してしまったりします。この世代に対して、「転職ばかりして、こらえ性がないヤツだ」と揶揄する人もいますが、それは違います。学生時代から、常に自分のキャリアについて真剣に考えるという、欧米ではごく当たり前のプロセスが、日本にもやっと浸透してきたのです。ですから、私が就職した頃と今の学生さんを比較すると、今の方がずっと「大人」に映ります。厳しい就職戦線を勝ち抜く中で自分を見つめなおすことで、人間的に大きな向上がはかれるのだと思います。

http://www.daijob.com/dj4/ja/column/takashi/column.jsp?id=590

「まずは3年やって…」ではなく、「3年以内に昇進が見えないなら、別の職にチャレンジしよう」だ。(中略)
社長は辞めていく社員に対して、冗談まじりに「他の会社で良い給料がもらえるなら辞めるのも一つの考え方だが、5年後にうちに残っていた方がよかったと後悔するよ」と言っていた。昇進するのにさらに5年もかかるなら辞めて正解だったと、彼は確信していることだろう。

http://www.janjan.jp/column/0310/0310207545/1.php

肩書きも基本給もほとんど横ばい。要するにキャリアパスが終わってしまうわけだ。
それでも別に仕事が減るわけではないから、やってる方としてはたまらない。どんどんモチヴェーションは下がっていくことになる。想像してみるとわかることだが、この状況はかなりきつい。大して面白くも無い仕事を夜中までやれるのは、「将来もっと明るい場所に出られるだろう」という希望があるためで、それがないと疲労感しか残らない。

http://www.doblog.com/weblog/myblog/17090/2546338#2546338

そろそろ話を「かまい方」に近づけていかなければなりませんね。

そういう老害どもに若者が「かまって欲しい」などとは思ってないんじゃないかな.「邪魔だからさっさと消えろ」とは思ってるかもしれないけどね.

*1:砂漠で干からびて死にそうな人に何が欲しいか訪ねれば、100人中99人は「水」と答えるだろう.何日も水だけで過ごして餓死しかけた人)に何が欲しいか訪ねれば,ほとんどの人は「何か食べる物」と答えるだろう.
これに対して最低限の衣食住が足りていて,当面は生きていくのに不足しているものが無い人に何が欲しいか尋ねた時は,そのような画一的な答はない.より美味しい食事かもしれないし,綺麗な服かもしれないし,綺麗な音楽かもしれないし,バックパック一つで放浪の旅に出ることかもしれないのだ.

*2:コメントで「はてな左翼」みたいに書いてる人もいるけれど,いまや右翼/左翼という分類自体がほとんど意味を持たないほどに,人々の目標は多様化している.