かんぽの宿売却問題メモ

そもそも一括譲渡になっている理由は、今も将来も全く採算の取れる見込みのない施設も抱き合わせで売らないと、そこの雇用も維持できなくなるし、もし維持しようとすればものすごいコストを日本郵政=国が100%保有が掛けなければなるからなのではないか。だから、なかにはオイシイ物件が入っているのは当然のことだ。この超豪華ホテルにしたって減価償却があるからキャッシュフローはさほどマイナスにならないにしても、マイナスはマイナスである。まあ、譲渡時に一括償却しちゃうんだろうから、PL上プラスにするのは比較的容易ではあるだろう。

が、他の大赤字物件は当面リストラなしに経営再建をせねばなるまい。もし、ここで鳩山氏がゴネて譲渡が遅れれば、赤字はずっと続くだろうし、そもそも「かんぽの宿」が無駄な施設を全国に作りまくって赤字をだらだら垂れ流しているのがまずいのだ。

なんか、どこかの田舎の「かんぽの宿」を鳩山氏は訪問して、こんな立派な建物がこんな価格で・・みたいな事を口走っていたが、いくら建物が豪華でも客が来ないと商売にならん。そんな基本的なことくらい分からないのか。まさかそんなことはないよな。

まあ赤字垂れ流しなんだから一括売却,というか「抱き合わせ販売」は当然だろう.なかには高級物件も含まれてるだろうが,「良くない物件(というか不良債権)もまとめて引き取ってもらう」ための交換条件としては必要不可欠.この抱き合わせ販売に対する反論は「こんな高級物件が含まれているのに」ではなく,「B社ならそれより高い値段で買ってくれる」というものであるべきだ.それができない限りは残念だけどそれが現在の適正価格であり,「かんぽの宿」は不良債権だということだ.

バブル時代の負の遺産の「ハウステンボス」とか「宮崎シーガイア」とかを知っていれば,「金をかけた物件だから,赤字だけど高い値段で買ってくれ」というのが,どれだけ虫のいい話か分かるはずなのだが.*1

かんぽの宿は、今でも年間約50億円の赤字を計上している。民営化に当たって、これを廃止・売却するのは当然のことである。まず、完全民営化されたかんぽ生命保険には、他の民間企業と同様、保険業法が適用される。当たり前の話だが、民間の保険会社がホテル業を営むことはあり得ないことだ。ホテル業のリスクが、金融の本業に影響を及ぼすことがあってはならない(いわゆるリスク遮断)からである。だからこそ法律は、10年以内の完全民営化を目指すかんぽ生命には、5年以内(2012年9月まで)の廃止または売却を義務付けた。
(中略)
第1の点から見ていこう。こうした発言は、少し前に株式売却に関して首相からも発言されたことがある。しかしこの議論は、経済学の初歩的な概念である「機会費用」というものを無視した、誤った認識と言わねばならない。今のような不況期に資産を売却する価格は、確かに好況期に比べて低くなる。しかし民営化された郵政は、売却した資金を新たな事業資産に投資することになる。その際、そうした投資資産の購入価格も不況期には安くなっている。従ってこれは相対価格の問題であり重要な経営判断なのである。いつが適切かは、市場や経営を知らない政治家や官僚に判断できる問題ではない。経営者が判断するべき問題である。そもそも民営化とは、民間の判断に任せることであり、経営判断の問題に政治が口出しすること、しかも機会費用の概念を理解しない政治家が介入することは、根本的に誤っている。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090119/plc0901190243000-n1.htm

http://ameblo.jp/takapon-jp/entry-10203941683.html経由
少なくとも上記の部分はその通りだと思う.

そもそも「このあと好景気になればまた値段はあがる(かもしれない)」としても,景気が上向いて不動産が値上がりするまであと何年,或いは何十年かかるか分からないのに,その間赤字垂れ流しが民間企業で許されるとも?

計79施設の土地代・建設費2402億円に対し評価額は計134億7400万円。最も価格が低いのは、「三ケ根」(愛知県幡豆町)の600万円だった。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090206/plc0902062338019-n1.htm

追記

*1:ホテルエイペックス洞爺」もかな.他にもリゾートホテルだとかヨットハーバーだとかゴルフ場会員権だとか,負の遺産はいろいろあったはず.

*2:あのトンデモ経済学者のモリタクこと森永卓郎である.