「日本社会はなぜ「解雇規制緩和論」を受け入れようとしないのか」

メモ.まだ斜め読みだけど,しごく真っ当なご意見.


私は,解雇規制の「緩和」には賛成,流動化の向上にも賛成の立場.ただしどこかの誰かのような解雇規制の「撤廃」には反対だし,セーフティーネット無視の議論も反対.

―今の日本には、そうした共同体の崩壊を直視せず、信念なのか郷愁なのか、血縁、地縁による結びつきをむりやり取り戻そうという動きがあり、それが反市場主義と結びついています。典型例が、亀井静香・金融兼郵政担当相の郵政改革案です。効率化を経営課題から実質的に取り下げ、非正規社員を財源の充てのないまま正社員化するという方針に至っては、運命共同体の郵政一家を取り戻したいという一念に過ぎないとしか思えません。

 逆に、整理解雇に関するルールがはっきりすると、中小零細企業にとってみると整理解雇が今よりも困難になってしまうかも知れません。中小零細企業にとってはもちろん、大企業にとっても、下請け企業や非正社員で比較的自由に雇用調整ができているのに、ルールが明確に作られると逆にやりにくくなるかも知れません。それが目に見えているから、中小零細企業も反対です。産業界が上から下まで本音では反対なのですから、政府が動くはずがありません。また、整理解雇規制を緩和すると同時にセーフティネットも充実する必要がありますが、それは財政的な負担を伴ないます。

 一方、国民はこうした政府や産業界の本性を見抜いていて、整理解雇の規制緩和論など空論だと冷めているのかもしれません。