重箱の隅にこだわる残念な顧客担当

http://japan.zdnet.com/blog/netcommerce/2011/02/06/entry_27044645/
まあ結局は程度問題なんだけど,基本を守ってそれなりに綺麗に書く必要性は認める.「あまりに汚すぎるドキュメント」を作ってくるような会社と仕事したいとは思わないけど,内容よりも見た目重視というのはいかがなものか.*1それに良い提案書を書くには金がかかるしね.金をケチれば汚い提案書が増えるのは自明の理.

また見た目重視というのは,実は単に技術的なことが分からない担当者の言い訳に使われてるだけのことも多いので,こういうことをグチってる人は要注意だ.

そして、意外と多かったのが、「汚い提案書」です。文字のサイズやフォントの不統一。ぐちゃぐちゃと描かれたシステム構成図。ページ毎に異なるレイアウトや相手の思考過程を無視した資料の順序。せっかく、まともそう(?ボリュームだけは・・・)な内容なのに、相手にわかりやすく伝えようという配慮をまったく欠いています。

予算をケチったんじゃないの?

綺麗なドキュメントを作るにも金がかかるからね.

公共施設のコンペですから、内容をしっかりと理解し、評価しなければならないとは分かっているのですが、これはもう実にストレス以外の何者でもありません。

受託できるかどうかも分からない段階で,無駄なお金はかけられないよね.

「この不景気のさなか,綺麗な提案書が欲しければ,まずは金払え.話はそれからだ.」と思ってるんじゃないかなあ.

「美しさ」とは、決して装飾やイラストなどの技巧ではありません。もっと本質的なものなのです。

「美しさ」というものは、「綺麗」であることだけでは、成り立ちません。「存在感」がなくては、人は美しいとは感じないものです。つまり、中身に魅力がないものは、美しくないのです。もう一つ大切な要素は、相手への気遣いです。どうやったら、相手にストレスを与えず、伝えたい本質を即座に分かってもらえるだろうか。そんなことを追求してゆくと、結果として美しくなってしまうのです。

くだらない精神論.「やる気があれば,思いやりがあれば,スキルがなくても営業はつとまります」とでもいうのかな?残念だけどそれは違うと思う.綺麗な,理解しやすく誤解を招きにくい表現,ドキュメント作成もスキルのうち.そしてスキルには相当な対価が必要.

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

会社の力量とは、決して技術力だけではありません。ビジネスは、常に相手があって初めて成り立つわけで、意思疎通を図る力も、大切な能力です。それができない相手と仕事をしても、うまく仕事が進むとは思えません。

まあ100%間違いとまでは言わないが,提案書作成と開発部門では全然別部門だったりするからなあ.提案書からそういったことは読み取れないよ.

そんなことさえ思い至らないのだろうか?もしそうなら,やはり残念な人と言わざるを得ない.

「美しさ」とは、内容の存在感と相手への気遣いを追求した結果です。そういうことを追求できる提案者は、きっといい仕事をしてくれるだろうと思うのは、そんなに間違ったことではないと思っています。

おや?これはキッパリと大間違い.

提案書を書く人と実際に開発する人は異なる場合が多い.また提案書に金がかかった分だけ開発に回る予算が減るので,提案書が綺麗になればなるほど開発の人も時間も削られて必然的にやっつけ仕事にならざるを得ない.ブラック企業だって,客に見せる応接室だけは無駄に綺麗だったりするんだよ.この人は応接室が綺麗でお茶くみの女性が美人だという理由だけで,その企業はブラックじゃないと結論づけるんだろうか.


それと(今回はLANだからあんまり関係ないけど,)ITの世界で美しさを求めるなら,提案書じゃなくてソースコードを読め.(広義の)『美しい』ソースを書けるプログラマーは,いい仕事をしてくれることが多いよ.

 このようなものごとの考え方を普及させようと取り組んでいる友人がいます。その友人こと櫻田さんは、これを「ビジュアル・シンキング(Visual Thinking)」と名付け、その普及に命をかけています(笑)。是非、彼のサイトを見てあげてください。その追求は、半端じゃありません。
http://www.visualthinking.jp/

百聞は一見にしかず.すごいわー.一見しただけで分かる,その残念っぷり...orz

「貴方の強みはなんですか?どこが他社と違うのですか?貴方の会社を選ぶ理由はどこにあるのですか?」そんなメッセージは、どこにも見当たりません。

前後するけど,たかがLANシステムでそこまで求めるのもねえ.設計の妥当性や信頼性とコストとを天秤にかけて,もっとも自社に適切と思えるものを選べばいいだけじゃないの?へたすると八百長出来レースの場合もあるんだし,提案側だけがリスク取って無理してがんばる意味なんてないわな.

  • id:triggerhappysundaymorning 最初から発注決まってる会社にまず提案書書かせて,そこから抜き出した構成を元に今日中に見積り出せと各社に無理強いした結果「美しさ」に拘るので有名なおっさんがまんまと!

http://b.hatena.ne.jp/entry/japan.zdnet.com/blog/netcommerce/2011/02/06/entry_27044645/

  • id:junglejungle 「自分で裏を取って評価するの面倒くさくなったから綺麗なの選んじゃえ」を自己正当化する理屈をこねるとこうなる
  • id:kirishima2813 提出書類の「見栄え」のマイ・ルールを語っている印象を受ける。それでは「筆者」が熱弁を振るわれた「理想の提案書」を作る機会を与えた場合、それが相手方に満足な「印象」を与えられるのであろうか?
  • id:oldriver 一面の真実ではあるが、もちろんキレイな提案書を作るのにも金がかかる。「安物買いの銭失い」なのか「賢い消費者」なのかは自分で判断するしかない。キレイな提案書を突き詰めるとテレビCMである件にも留意しつつ。
  • id:yujin_kyoto どうせ詳細は書き直すんだからパワポとか作ってる間に手書きでいいから本質的なところでの新提案を1時間でも早く持ってこいと思うことの方が多いが。
  • id:northlight 予算と納期相応の品質だよ。言わせんな恥ずかしい。気楽に依頼する見積もり、提案にもカネがかかってるってご存知?
  • id:notio 「きれいな資料」分、料金が割り増しになっても払ってくれるのかな? そういう仕事に価値があるというのなら、きちんとお金を払う文化を根付かせるのが先じゃないかと思うんですが。
  • id:Goodday プロジェクト予算の大小によるところもあるだろうし、「審査のお手伝い」という点から、ユーザー側担当者の丸投げ感がある。汚い提案書は、遠まわしに断られているのでは?
  • id:JULY 単に、提案書を出す事に意味があるだけで、本気に取りに行っていないのかもね。提案書を作る工数ってバカにならないし。中には、特定の製品の仕様がさりげなく入っていたり。
  • id:goldhead "システム構成や金額、構築の手順も大差はありません"<結局は金銭の叩き合いの部分がでかいし、デザインそのもののコンペでない限り、入札金額の末尾を100円安くしておくとかのおまじない程度だろ、たぶん。
  • id:paulownia 政治的要因から提案書を出さざるを得ないが、受注したくない、関わりたくない、むしろ金払ってでも他社にやってもらいたいという案件がございまして。
  • id:mapserver2007 「美しさ」が曖昧でわからない。この人は技術者じゃないんでしょ。だから現場のことがわかってない。資料作るにも工数がかかるんだよ。
  • id:vanbraam "巧言令色鮮仁"って言葉もあるけど;美しさと見やすさは似て非なるもの.それをごっちゃにしてる時点で×;あと芸術表現の写真/小説と実務文書である提案書を一緒にするな.契約書なんか大事なことほどみにくく書いてある
  • id:kentultra1 営業はこんな馬鹿共を相手にするんだから大変だな。まあ、こういう馬鹿共なら心置きなく騙して毟ればいいんだが
  • id:chousuke7 書類の外見の美しさは大事、という反対しようもない意見だが、これ読んでると、それより内容だよな、という気になってくる。じつにダラダラした典型的コンサルテキスト。この人のプレゼン、期待できそうにないなー。
  • id:logic_master 言わんとすることは分る。だが、だったらExcelやWordを絶対視して、まともな設計ツールやプレゼンツールを使わせないきちがい風習を何とかしてからぬかすべき。
  • id:u-chan presentation 意思疎通を図る力も、大切な能力です。それができない相手と仕事をしても、うまく仕事が進むとは思えません-逆のケースの経験がある。すごいキレイだが何書いてあるかサッパリわからんパワポ。ホント困った。
  • id:a8888 現状認識としてはその通りだよね。まぁ、日本のSIなんかはそれだけに腐心しすぎて衰退しつつあるわけだけれど。
  • id:vesikukka 「LANシステムの提案コンペ」で、どれくらいのレベルのものが要求されるのだろう。フォントや項番を揃えるのは良いとして、あとは予算次第だろう。/それより筆者の言葉が曖昧すぎて、気持ち悪い。
  • id:kazu-ct 提案書を美しく詰める作業は、理想を言えばきりがない典型的なエンドレスワーク。この記事も確かに一理あるが、あまり称揚されても、ホワエグにあれだけ批判的だった今日の労働環境世論にはそぐわないと思われ。
  • id:tetsutalow ある程度以上の規模のSI案件は、営業が提案書ばかり力を入れてる時はむしろ眉にツバ付けるなぁ。それが経営姿勢の反映に見えるから。多少プレゼンがヘタでも営業が技術的質問に的確に答えられる業者を選ぶ。
  • id:raitu 「(提案書における)「美しさ」とは、内容の存在感と相手への気遣いを追求した結果です」まあそれはそうだ。提案書作成者と、成果物作成者が大抵別部署で基本関わりすらしないケースが多い問題はあるけど。
  • id:nanoha3 考え方はわかるけど、提案する人のコミュニケーションスキルを、ベンダー選定する上で一番重要視するポイントにしているのは大丈夫なのかな。
  • id:metalmax 「いいものを提案してコンペ絶対とっていこう」って会社の人と「コンペ参加してあげるんだから綺麗な提案書欲しければ金をくれ」って会社の人がブコメでせめぎあってるようにみえなくもない。

いやむしろ「提案書作成に一銭も出さないし予算もそれなりなのに,提案書作成にばかり金かけられないよね」という提案者側と「コンペに参加させてやってるんだから,とにかく綺麗な提案書持ってきやがれ」というモンスター顧客とのせめぎ合いだと思う.

  • id:justgg 反論してる人たちの意見は少しズレてるものが多い。論理構造をきちんと考えぬいて相手に伝わる資料になっていることが重要なわけで、汚くて伝わらなくても中身があればいいというのはプロの態度としては失格だろう。

いや,たぶんズレてるのはあなたの方.この人の主張する美しさはそういうものとは全く違う.擁護するために内容を無視している.

  • id:napsucks 金額にもよるんじゃね?新庁舎LANとやらがどのぐらいの規模感なのかしらないけど、いわゆる大手といわれるところはそれなりの規模がないと新人の提案練習台にされるのがオチ。

逆のネタでこんなものも.

なれる!SE (3) 失敗しない?提案活動 (電撃文庫)

なれる!SE (3) 失敗しない?提案活動 (電撃文庫)

「まあそんな心配しなくてもいいわよ.どうせ取れないんだし適当にやれば」
「……取れないんですか?」
「当たり前でしょ.これだけの大規模案件,大手のベンダー・キャリアーがスクラム組んで提案してくるに決まってるわ.うちみたいな弱小がガチ勝負して取れる仕事じゃないわよ.」

……はぁ.
そういうものなのか.
まあ社長の指示は「提案しろ」であって「案件を受注しろ」ではない.結果に責任を持たなくても良いのであれば,なんとでもなりそうな気がした.

「提案書作成に二週間?はっ,そんなに悠長に時間をかけてられるかっての.適当に一日で作って提出,プレゼンは15分で終了.あとは月末の落選通知を受けて社長に報告.全力を尽くしたけど力及びませんでしたって言えばいいわ」
(中略)
「勝てない勝負に力注いでもしょうがないでしょ.取れるかどうか分からない案件に時間使うくらいなら,今抱えてる仕事のサービスレベルを上げるわよ.だいいち桜坂,あんた大事なこと忘れてない?」
「私たちはエンジニアよ,営業じゃないわ.」

それにしても,なんでこう無駄なところばかりリアリティに拘るんだろう...orz

http://d.hatena.ne.jp/minekoa/20110211/1297410695

その362

最近ペニーオークションバッシングが流行っているのをみて、不意に、「『見積り無料』って、逆ペニーオークションかも」と思ったり。

発注しないで見積だけする人たちのコストを発注した人に背負わせているだけ。最悪だ...orz

*1:特にワードやエクセルでフォントが揃えにくいのはMS-OfficeのUI設計上の欠陥の一つだからなー.その点についてはTeXの方が100倍楽だったわ.