「SI屋さんとSIと、直近の課題について」
http://d.hatena.ne.jp/okachimachiorz/20120311/1331467375
メモ.だいたい合ってる.
一つは、そもそも供給サイドの母体になるべき人員の供給が、若年層の人口減とともに圧倒的に減少しているということです。
この傾向は、もう現れていて、ここ4−5年のSIの失敗率は、個人的に見ている限りは異常と言わざるを得ません。人員の確保ができないため、もう猿だか、猫だかわからないような人員ですらSIの現場に突っ込まれていることが日常茶飯事になっています。というか、そうでない現場の方が少ないように思えます。
クラウドのインパクトは関係ありません。SIの現場を見ればわかりますが、もうなんだこれは?という恐慌状態も多々見受けられます。
偉い人「代わりはいないのか?」
PM「居ませんよ。」
偉い人「いや、エースの代わりじゃなくて、普通でいいんだけど。
設計出来て、そこそこ実装できて、普通にテストかければいい。
インフラはもう知らなくてもいいから」
PM「・・・それエースって言うんですよ。知ってます?」
偉い人「まじで?」
PM「まじで。」
偉い人「いないの?」
PM「絶無・皆無(目線は遠くへ。かなり遠く。」...これが現実ですね。クラウドでSIが変わる?いや変わるべきSIがもう成立していません。
そですねー.
エライ人は「代わりはいくらでもいる」という態度をとってきたけど,本当にいたことはまれでしたね.単に「なんとかしろ」というだけで.
これは計算リソースが、予想以上に潤沢になったことにより、「やるべき事が増えた」ということです。ポイントは「やれることが増えた」ということではないです。(この勘違いは、ことSIにおいては大きいです)
ライト兄弟の頃の「飛行機」と,今のジャンボジェットが同じ「飛行機」でも全然違うような物かな.当然のように求められるスキルや技術も桁違いになる.
さらに具合が悪いのが、かっちりモノをつくるという風潮が駄目よ、という流れも加速していることです。本来アジャイルや、Web系、Rubyを含めたLL系・スクリプト系は、勝手気ままに思いつきで作るということとは違うはずです。残念ながら同じコンテクストになってしまっていますね。そろそろSIのコンテクストではそのやり方は違うんじゃないか?ということは気づいても良い頃です。
プログラミング経験の浅い/ないエライ人はこういう人が多いですね.本当に何にも分かってない.
とはいえ、積み残しの先送り老朽化システムは、まさに使用済み核燃料のように積上っています。先送りでコストがあがる、ということは先送る人はあまり考えないので、完全にモラル・ハザードですが、現実になってしまっています。
関連:
- 「ゲーム専門学校からみた風景」http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20111225/p2
若年層の減少と若者のSIビジネス離れ.学力崩壊が叫ばれる中で,その中でも最底辺の人たちの吹きだまりがIT業界なら,そりゃあこんな人たちばかりになるだろうし,失敗も増えるよね.
- 「消滅つつある日本のCAD開発史」http://d.hatena.ne.jp/u_1roh/20090505/1241531975
日本製CADが消滅したのも,実態は似たようなものだったのではないかと思ってる.
無駄な独自カスタマイズという負の遺産.でも技術者は足りない.金も出さない.リソースが足りないので,レガシーシステムのリプレースは常に先送りされる.先送りすればするほど,その技術的負債も大きく膨らみ,現場の人間がどれほど頑張っても利息の支払いさえままならなくなっていく.しかし技術力の無い上の人間には何が起こっているか分からないから,それでも危機感はない.
そして増え続けた技術的負債に耐えきれなくなって,ある日突然臨界点を超えて,次々と崩壊していく.そうなって初めて上の人間にも分かるようになるけど,もはや手遅れ.
http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/okachimachiorz/20120311/1331467375
- id:totttte 労働集約型のSIerが若者の労働人口減少で質が悪くなっているというお話。 この記事によると、人が足りないのなら、エンジニアの報酬が良くなってハッピーというわけではないのかな。
ならないでしょう.
むしろここ数年はリーマンショックの影響もあって求人も報酬も激減してるし,今後何年も上がりそうな気配は無い.そして,その間もこの業界の崩壊は進んでいく.*1 *2 気がついた頃にはぺんぺん草も生えないどころか砂漠化している.その後になって西瓜を作ろうと思っても実現は不可能でしょう.
- 人が減ってるという認識が顧客企業はおろか,SIビジネスのエライ人たちにもない.
- 「重要なのは一山いくらの人手ではなく,一騎当千の優秀な人材」という認識が,この業界全体,或いは日本企業にない.
- 中途採用の習慣が日本企業には無く,優秀な人材を引き抜くノウハウが人事部にはない.
- 優秀な人間をマネジメントできるマネージャーがいない.いるのは一山いくらの管理職だけ.
- 利益率が低い.万が一優秀な人材を雇おうと思っても先立つものが無い.
- リストラする時は,技術力に関係なく給与/年齢の高い方から順番に首を斬っていく.
等々.
だから当分のあいだは,
大抵のエンドユーザーの上役は、SIの事業構造なぞ知りませんから、「なんでできないのか?契約解除して、訴えろ!」という運びになります。
のようになるだけでしょう.トラブルが増えるのだから,むしろ売り上げも下がるし,それに比例して報酬も下がる.*3
むしろ単純にこのまま崩壊が進んで,気がついたらどうにもならなくなってて,エライ人たちが「困った,困った.」とひたすら右往左往して,最後は政府に「なんとかしてくれ」と泣きつくのが,伝統的な日本的経営というものではないでしょうか.たとえばJALや東電のように.
- 作者: 湯之上隆
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- id:Sean_SF エースが自分をもっと高く売るべきなのでは?市場に少ないのならば高く売れるはず。それを見てエースになろうと努力する人が増える。まともなシステムはめちゃ高くなるのでエンドユーザーは他の方法も真剣に考える
- id:katzchang 解決策は「俺を雇え」とかでいいんじゃない?
- id:gelegele 一人のプログラマとして個の実力をつけていけば光はありそう。
気持ちは分かるけど,買う人がいないのでその売買は成立しない.
希少だからと言って値段が上がるとは限らない.今あるのは
- 不景気を理由に顧客企業がSIにさらなるコストダウンを要求
- 「顧客の要望」に応えて,SIが人件費を圧縮する( = リストラする)
- 高コストな高年齢(30歳超,含む高スキル)人材のクビを切って,低コストな若い(低スキル/未経験)人材にすげかえる.
- 「なぜか」トラブルが増える.
- 若者のIT業界離れが進み,優秀な人材はますます来なくなる
の一方通行では.この買い叩き競争は,SI会社が潰れるまで続きます.
- id:cos31 そのぶん内製が進んでたりはしないもんかねぇ
してないと思います.もししてたら,その傾向は求人,特にその要求されるスキルではっきり出てくるので.それがないということは,ほとんど進んでない.*4
また内製とSIビジネスではやり方が根本から異なるので,その変化に対応できる人は少数派だと思われます.
- id:mikage014 業務を知る人が居なくなるとき、SIとは残されたシステムから意図を読み解く考古学みたいなものになるのかもしれない。
いや,それ既にとっても既視感が...orz
距離が遠くなるだけでもコミュニケーションコストは増大する.仕様書が杜撰で穴だらけならなおさら.それに言葉の壁だけで無く,文化の壁も大きい.
曖昧で実現不可能な仕様,日常茶飯事のちゃぶ台返し,そして行間を読むスキル.しかも追加料金はなし.
そりゃあ誰も引き受けてくれないって.
関連:
- http://el.jibun.atmarkit.co.jp/pressenter/2012/02/7-9fcb.html
- http://el.jibun.atmarkit.co.jp/pressenter/2012/03/8-4118.html
- http://el.jibun.atmarkit.co.jp/pressenter/2012/03/9-47ee.html
ここまでヒドイのは,さすがに珍しいとは思うけどね.
- id:FunnyBunnyDizzy 頭数は飽和してるけど、戦闘力+530000から-5300000までの人材が跳梁跋扈。プラス側の戦闘力を持ってる人は常時不足してる。スカウターはない。みんな戦闘力が100なことになってるのでスカウターは作られない。
- id:pratto システム運用は言うに及ばず、すでにとんでもないことになっとるがな…一言でいえば、「介護施設」。ま、もともと底辺ではあったけどね。
- id:Nagise 頭数は足りてるけど人材は足りてないねえ…。
- id:Jinmen 人口構成の変化で現場の層が薄くなると同時に、管理職だらけになってて数少ない現場リソースがダメ管理職の相手をすることで浪費されてる感もある
- id:xlc 技術をないがしろにし、管理ばかりに重きをおいてきた結果だと思うな。
- id:yocchi24 業務系はほぼ同意。キャリアパスも教育体制もいい加減すぎ。Web系はバブル崩壊して数年後に使えないエンジニアは市場に溢れると思う。
- id:terurou SIerを傍から見てて思うのは、上から下までみんなシステムを作ることよりも、どうやって責任逃れするかが全ての行動原則になっているなぁと感じますね。悪循環ですね。
- id:and_hyphen うーむ...多分簡単に変えられるものでもなく負荷だけが増えていく...
- id:Nachbar ユーザー企業側からするとシステム部門は間接部門なのになんでこんなオカネかかるのと言われてアレ/内製した方が安いという方向性にどうやって持っていくかかなあ
- id:sirobu 現場はこんな状況なのに一次受けとか、エンドユーザは結構「工数の分、人数揃えればシステムは出来上がる」って認識のままだったりしそうなのが恐ろしい。自分の所だけかもしれませんが。
- id:napsucks なんでだろうね。代わりはいないぐらいに貴重な人材のはずなのに、レベニューは大して恵まれない。結局リプレーサブルな使い捨てだってのが事実で、代わりはいないってのはリップサービスなんじゃないかと疑う。
それはあなたが経済を理解していないから.希少であったとしても,値段が上がらない理由はごまんとあるよ.
たとえば希少性や価値を判断する能力が,管理職や人事部や経営者の側になければ,適正価格による取引は成立しない.あなたもそういう価値を判断する能力の無い人間の一人なのだから,これについては良く理解できるはずではないか.
- id:ebibibi はっはっは。/逆に言えば全部出来る人にはいくらでも仕事があるってことでもある。(内容はあれだけど)
ただし仕事の負担は十倍,でもギャラはおんなじ.
http://www.mars.dti.ne.jp/~hirok/xp/col/031.html
それって奴隷って言わないか.「頑張ったら負け」とは良く言ったもんだ.
*1:http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20110313/p1
*2:リーマンショックが無くても崩壊は進んだと思うけど,リーマンショックによってそれが一気に加速されたんじゃないかな.新規採用の停止,熟練者の首切り.そして残された,何も知らないエライ人だけが社内の大勢を占めるようになる.
*3:まあだからといって,仮にSIerに払う金額を増やしても途中のピンハネ率が上がるだけで,現場の技術者の待遇が良くなることは絶対にないけどね.だからSIビジネスが崩壊しても現場技術者的にはあんまり困らない.というか,これ以上悪くなりようが無い. http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20100727/p1
*4:「内製をできる技術者を企業ごと買収」も有りだけど,そっちの方がニュースになるよね.