「日本で電子書籍が普及するために克服すべき6つの課題と1つの解決策を考えてみた。」

http://d.hatena.ne.jp/fly-higher/20130112/1357981105
読んでみた.糞つまんなかった.アホか.

1,電子書籍は本の全文を試し読みすることができない

紙の本だってできないよ.全文を読んじゃったら,それは既に「試し読み」ではない.*1

2 電子書籍は「だいたいこのへんを読む」ことができない

電子書籍はページ番号を指定したりスライドすることでページを飛ばしたりできますが,紙の書籍と比べて「このような内容はこの辺に書いてあるはずだからその辺をぱっと開きたい」ということができません。

いやできてるけど.むしろ全文検索できる分だけ,そういう用途では上.

ここでいう「できない」とは一体どういう意味で「できない」のだろう.

3 電子書籍は「ざっと読む」ことができない

電子書籍は全ページをざっと読もうとすると,1回1回ページをスライドしていくしかありません。これで全ページを読むのはとても時間がかかるし,ページの表示にもタイムラグがあるし,何より指が痛いです。

うーん,これは電子ペーパー端末ならそうだね.

それにしても「指が痛い」ってのは,たぶん的外れ.いったいどういう端末を使ってるんだ.*2

4 電子書籍は「自分はどれくらい読んだか」という満足感を得にくい
5 電子書籍は書籍を所有できない
6 電子書籍は紙の書籍の背表紙・表紙・裏表紙から得られる情報を得にくい

この辺りまでくると単なる言いがかり.老害ここにきわまれりという感じだね.


こういう人は全部ハードカバーで,保管用と鑑賞用とを別々に二冊以上購入してるんだろうなあ.それは紙の書籍と電子書籍を比較してるんじゃ無いだろ.そもそも二冊持ってるなら読書用に三冊目を電子書籍で揃えることになんの問題があろうか.

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/fly-higher/20130112/1357981105

  • id:denden-cafe こういう人はずっと紙の本を読んでればいいと思うよ。LPからCDに移行する時も同じようなことをいう人はいたし、CDからiTunesに移行するときにも抵抗があった。いまどきLPがよかったとか言うのは少数の好事家だけですが。

なんかスッキリした.

紙の本の愛好家は勝手に自分の世界に引きこもっていればいいだけの話であって,それと電子書籍の欠点とは別の話なんだよね.

  • id:takeda25 本型電子書籍はぼくもずっと前から欲しいと思ってた。でも技術的に難しいんだろうなぁ。
  • id:kmyken1 末尾で提案されているアイデアがぶっ飛んでるけど、とても面白い。でもまず実現しないだろうな。

技術的に難しいのと,それ以上にメリットが無い.


「ページをめくる」というUIは,操作性/利便性において,電子書籍を紙の書籍並みに「使いにくく」して「退化させる」ことに他ならない.

電車のつり革に捕まりながら,片手でページめくりしてれば気付くはずだろうに.*3


こういうのもあるようだけど,はっきり言って読み難いし操作性も悪いし鬱陶しいことこの上ない.


とても薄い電子ペーパーを300枚束ねて紙の書籍のようにした電子書籍端末です。

だいたい300ページで一冊の本を再現できると思ってるのか.技術書なら600ページくらいザラだし,千ページ超えも珍しくない.また文字サイズが変更されれば物理的なページ数も変わってしまう.それに紙サイズが変わった場合はどうするのか.たとえばA4サイズの電子ペーパーに文庫本サイズのままで表示するの?


ほとんどSFの世界だけど*4,たとえば仮に極薄超軽量で安価且つ高性能な電子書籍端末ができたとして,三百ページの端末を「一冊」の書籍のメタファを忠実に再現するだけに使うのはもったいない.

  • 20〜100ページくらいの極薄端末を用意する.大きさは2〜3種類あっても良い.(例:文庫本×8,A4×16〜32)
  • 移動時は束ねて持ち運ぶ
  • 一冊の小説を読む時は一番上の画面に表示させる.(今のKindleと同程度)
  • 各一枚ごとにそれぞれ別の書籍(もちろん同じ書籍内も可)の別のページを表示し,机上に並べて比較検討することも可.*5
  • Bluetoothのような無線通信で各端末は相互に通信し,書き込み内容やマーカーなどは自動的に同期される.
  • 複数枚端末の端同士を上下左右に繋いで,A0サイズを超える一枚の大きな画面を表示させることも可能.さらにその画面内で拡大縮小,回転,一部のみ拡大なども可能.

みたいなのを想像する.

なんで紙のメタファをそのまま再現しなければならない.紙のメタファで紙をそのまま使うことは,紙の制約に縛られることでもあるのだぞ.

  • id:Rouble 最後の想像はみんなするものだと思ってたけど、巻物型のほうがまだ実現可能性がありそう。

A4とかB5とか文庫本サイズというサイズ縛り自体が紙の制約によるものであって,(オーバーテクノロジーベースの)電子端末では「画面サイズ固定」である必要は必ずしもない.巻物であったり伸縮自在だったり超横長or縦長で画面分割して別の書籍を表示させるという物の方が,まだしも面白いアイデアだと思う.*6


ちなみに電子辞書でも画面を上下二分割して,上下で別の辞書の別ページを表示させて比較できる機能は,けっこう前からあったりする.これも紙のメタファからは出てこない機能だ.

*1:日本のKindleストアの日本語書籍では,試し読みできるページ数がすごく少ないのが多いが,これは電子書籍というより日本の出版社の問題だね.米Amazon.comでは,かなり多くのページの試し読みできる本が少なくない.どの本を何ページくらい試し読みできるかは様々.
書店店頭での立ち読みについては,あくまで限定的に多めにみてるだけ.マンガやラノベだと立ち読み解禁したら購入するまでもなく全ページ読み終わることが可能.それだけにその手の本を中心にビニールでラップするされるのが多くなった.

*2:こういうことを書く人にありがちなんだけど,「自分の使ってるこういうある特定の端末では,たまたまそういう実装になっていた」というだけの話を,「全ての電子書籍は同じ実装のはずだ.だから悪いのは電子書籍だ」と言っちゃってることが多い.その二つはきちんと区別しなくちゃ.
他にも「技術的理論的には可能だけど,コスト面で実現されてない」「日本のXXという電子書籍アプリではやってないけどKindleならやってる」「日本のXX出版社ではやってないけど,米Amazon.comなら普通」「今の電子ペーパーだと無理だけど,PCベースなら可能」とかいろいろある.それらも全部まとめて「電子書籍のせい」と言っちゃうのは,ほとんどFUDだ.

*3:「ページをめくる」というのはとても細かい作業.たとえば事故の後遺症で手が微かに震えたり,或いは単に手袋をはめた状態でページをめくろうとしても上手くできないだろう.普通は両手が必要だし,片手でめくろうとすると机の上に置くなどの補助が必要になる.
普段は日常的にそのような細かい作業をするのに慣れている,補助器具があるのが当然,不便を受け入れるのが当然と思っているので気にしていないだけ.

*4:言い変えると「僕の考えた最強のなんとか」的,註二病的なアイデア.コンセプトカーとかの実現可能性を度外視して純粋なアイデアを競う場じゃなければ,恥ずかしくて口にするのもはばかられるレベル.

*5:複数のkindleを持ってると,こういうことも既に実際にやってる.

*6:ハードウエア的に実現可能かどうはさておいて.