PC遠隔操作ウイルス事件の容疑者逮捕(その9)

「【PC遠隔操作事件】猫の首輪は付けかえられていた!」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20130406-00024266/

まずは、この写真を見ていただきたい。

これは、PC遠隔操作事件の「真犯人」が1月5日未明に報道機関などに送ってきた挑発的なメールに示されたクイズを解いて出てきた映像。「真犯人」は、この猫の首輪に、遠隔操作ウイルスのデータを保存した記憶媒体をつけた、としていた。

マスメディアでも、何度も報じられたこの写真だが、注目していただきたいのは、首輪の状態。折り返しの部分から、裏返しの状態で首にまかれていることが分かる。

猫に興味の無い自分には首輪の表と裏の見分けもつかないが,(気にしないが,)もし首輪を付けたのが猫好きなK容疑者だとしたら,猫の首輪の裏表を間違えるような基本的ミスをするだろうか?

おそらく犯人は,犯行前に首輪の付け方を何度も何度も確認したはずだ.にもかかわらず犯人が裏表を間違えたのであれば,真犯人は猫の首輪なんて興味のない人間である可能性が高い.*1 さもなくば裏をかいて用意周到に工作した猫好きか.しかし後者なら,そもそも観光地の猫に首輪を巻いた理由が説明つかない.警察の釈明を聞きたい所だ.

猫から首輪が回収される直前の猫の写真がこれだ。ここでは、外側のステッチがはっきり見え、首輪は表を外に向けた普通の形で巻かれている。

この写真が掲載されているロケットニュース24の記事を読むと、撮影時刻は1月5日午前9時30分から10時の間と分かる。

首に巻いたままの首輪が、人が猫をなでたり首のあたりをかいたりしただけでひっくり返るとは考えられない。猫が自分でひっくり返すこともありえない。誰かが、人為的に(おそらくは首輪をつけ直すという形で)直したのだ。

いったい、いつ?誰が?何のために?

可能性は幾つか考えられる.

  1. 一度首輪を外した後に,写真撮影のためにロケットニュースが付け直した(ブコメでも指摘されてる)
  2. 1と同じことを警察がやった
  3. 関係の無い第三者が,裏返っていたので気を利かせて直してくれた.
  4. 犯人が裏返しになっていることを気づき,あとで直した.

1はあり得なくはないが,警察が証拠を確保する前に第三者が証拠を(不正に)操作することを許したということになり,証拠の信頼性を失わせた警察の重大な失敗と言える.*2

2だったら警察主導による証拠の捏造.*3

3はあり得るが,その場合は直した人間を警察が責任を持って見つけてくる必要がある.*4


4は警察による合理的な説明が必要.おそらく犯人が自分で付け直したのであれば写真も撮り直すはず.それをしなかったのは非常に不自然だ.そもそも首輪を付けるのを失敗したのであれば,犯人としては場所を変えて他の猫や他の動物でやり直したっていいのだ.同じ猫に拘る必要は無い.

もちろんK容疑者以外に真犯人がいて,江ノ島の猫に首輪を付けたのがK容疑者に容疑をなすり付けて誤認逮捕させるための工作であるならば,江の島のその猫でなければならないのかもしれないのだが.

*1:刑事コロンボでもあったな.「犠牲者の女性の下着が前後逆になっていた.だから犠牲者が自分で履いたものではなく,死後に犯人が履かせたものだ.そして前後逆に間違えたのは犯人が男だったからであって,他全ての条件を満たす男性はあなたしかいない.だからあなたが犯人です.」 http://mystery.co.jp/program/columbo/explanation/055/trivia/ , http://kirohapinku.blog.eonet.jp/kiirohapinku/2009/04/post-3732.html

*2:最悪ではメモリカードや首輪自体をすり替えることだって可能だ.

*3:外したのが警察であれば,外す前に何枚も証拠の写真撮影をしてから外すだろう.犯人が付けた時の位置や長さや裏表等々を後で確認できるようにするために,証拠写真は絶対に必要.

*4:通常は容疑者を逮捕する前に.