PC遠隔操作ウイルス事件の容疑者逮捕(その13)

いろいろメモ.
下書き作ってるうちに古くなっちゃいました.

「【PC遠隔操作事件】報じられてきた「決定的証拠」はなかった」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20130711-00026343/

「やっぱりな」としか思えない.*1

元日に警察が山に上った時には、凍っていたうえ、斜めに掘ったので見つからなかったが、5月16日に再度上って発見した。ただ、なぜ元日には斜めに掘ったのか、なぜ5月に再び探しに行ったのかなどは、明らかにされていない。

彼の携帯を使って「警察 作文」「調書 作文」という言葉が、1月2日にも携帯から「江ノ島」「猫、首輪」という言葉の検索履歴がある、という。さらに、昨年10月には、脅迫メールを送られた幼稚園のサイトや、やはり脅迫の対象となったコミケ関連の掲示板を閲覧した履歴がある、という。

こうした履歴は、いかにも怪しげに見えるが、果たしてそれがメール作成の根拠たりえるのだろうか…。

江の島に良く言ってた猫好きが,「猫 首輪」とか「猫 トイレ」とか検索しても普通だと思うが.

「片山さんが、派遣先で仕事とは別のプログラミングをやるとしたら、一日細切れにせいぜい1時間程度しか作業はできない。しかも、他の人にも見られる環境だ。彼の勤務はカレンダー通りで、土日は丸々休みだ。犯人であれば、土日に自宅でじっくり作業するのが普通ではないか。検察側の主張は、あまりに不自然だ」

こういう主張になったのも、片山氏の自宅PCからはウィルス作成の痕跡すら見つからなかったからだろう。その結果、彼はたっぷり時間のある土日に自宅では何もせず、平日の昼間に勤務先で、仕事の片手間に、多くの人から見られうる環境で、1からウイルスを作成した、との主張せざるを得なくなったようだ。

また、捜査段階にかなり報じられた、米国のサーバーに派遣先PCでアクセスした”痕跡”をFBIが突き止めた、とされる情報についても、検察側の主張や証拠では何ら明らかにされておらず、「英語の証拠は一切なかった」とのことだ。

佐藤弁護士は、事件と片山氏を結びつける決定的物証があるかのような報道がされたことについて、「報道機関は、よく手を胸に当てて考えてもらいたい」と訴えた。

「派遣先PCに仮想ドライブの痕跡…遠隔操作事件」

http://www.yomiuri.co.jp/net/news0/national/20130714-OYT1T00336.htm

パソコン遠隔操作事件で、威力業務妨害罪などで起訴された元IT関連会社社員・片山祐輔被告(31)の派遣先のパソコンに、「仮想ドライブ」の痕跡が残っていたことがわかった。

 遠隔操作されたパソコンなどに残されたウイルスから、暗号化された仮想ドライブで保管されたことを示す情報が検出されており、検察側は片山被告が外部から見えないようにしてウイルスを保管、使用したとみている。

 捜査関係者の話や弁護側の説明によると、遠隔操作されたパソコンと、このパソコンが接続した米国のサーバー内に残っていた15種類の遠隔操作型ウイルス「iesys(アイシス).exe」のうち13種類から、片山被告の派遣先のパソコン内にあった仮想ドライブで保管されていたことを示す情報が検出された。

 押収されたこのパソコンに仮想ドライブはなかったが、仮想ドライブが設定され、後に消去されたことを示す跡は残っていた。また、別のドライブのフォルダー内からは、試作途中とみられるウイルスも見つかったという。

 検察側は、片山被告が仕事場の同僚ら外部から見つからないよう問題のウイルスを保管、使用していたことを示す重要な証拠になると位置づけている。

情報を整理してみよう.

  • 残されたウイルスから、暗号化された仮想ドライブで保管されたことを示す情報が検出されている.しかしその「痕跡」が捏造不可能なものだとは主張していない
  • 派遣先のパソコンに「仮想ドライブ」が入っていた痕跡があった.ここでいう「仮想ドライブ」が何を指すにせよ,開発者がその手のツールの一つや二つは使っていて当然.
  • 仮に一時的に保存されていたことが事実だったとしても,それをK被告がやったという証拠はない.*2
  • 同じく仮に保存されていたとしても,K被告がどこでどうやってウイルスを作成したか,検察は何一つ主張していない.

……検察ってバカ?


TrueCryptかDropBoxがしらんけど,開発者ならそのくらい使ってても不思議でも何でもないぞ.*3仕事で必要だったら調べて分かった限りの全種ソフトをインストールすることだってある.

http://b.hatena.ne.jp/entry/www.yomiuri.co.jp/net/news0/national/20130714-OYT1T00336.htm
  • id:murasakihukurou ホントか?なぜ今?こういうタイミングだと捏造の可能性も検証しないとだし。証拠たりうるのかも微妙だし。考えること多いな。
  • id:ranobe 派遣先の誰でもアクセスが出来たであろうPCに仮想ドライブの痕跡がありましたと証拠開示で頑張りたくはないものです。
  • id:muchonov なーんでこんな話がこのタイミングでバラバラ出てくるのかっつう。読売はお先棒かつぎすぎ。他ブコメにあるように本当にこれがDropboxのことだったら、同じ境遇に陥ったはてブユーザーの相当数がクロ疑惑持たれそう。
  • ootori3966 派遣先のパソコンのパスワードは片山容疑者以外も知っていたらしいので、どうあがいても片山容疑者の犯行とすることはできないのだけど…。このような状況証拠の積み重ねでも、日本だと確実に有罪になるよなぁ。
  • id:agathon 俺、数えてみたらdropbox、skydrive、googledriveなど半ダースほど仮想ドライブのアカウント作ってたわ。ほぼ勝手に作られたに等しいのを含めて。
  • id:blue1st はいはい、Dropboxぐらい今時は皆入れてますよって
  • id:netcraft 「仮想ドライブってよく分からんが、すごい!プロの手口」と思っちゃったんだろうな。記者は。
  • id:Kou_RYU こういう記事を見てて思うのは、裁判官にITの技術や知識ってなさそうだし、特に年増が多い高裁、最高裁になればなるほど疎くなるんだろ? 事実も分からず検察の意見を鵜呑みで罪なき罪な判決をされるんじゃいか?
  • id:tpro 相変わらず新聞のIT記事は意味不明だなぁ。どこに何が入っていたのか、具体的に書けばいいだけなのに。謎用語を発明したら素人から専門家まで誰にもわからない記事になる。

「PC遠隔操作事件 検察の証明予定事実に裁判長「異常な書面」」

http://www.news-postseven.com/archives/20130716_199612.html

「捜査終結」(産経新聞6月28日付)報道に接する限り、4人の誤認逮捕者を出したPC遠隔操作事件は収束したかに見える。しかし改めて検証すると、検察の“暴走”とそれに加担するマスメディアの問題が、この事件に凝縮していることがわかる。

 まず指摘しておかねばならないのは、捜査手法そのものの問題点だ。

 片山祐輔被告はこれまで、計10事件で起訴されている。対して片山被告は一貫して無実を主張。同被告の弁護人を務める元裁判官の木谷明氏は、「この事件は“見込み起訴”されている」と批判する。

「公判前整理手続きでは、検察官が『証明予定事実』(公判で、証拠により証明しようとする事実のこと)を書面提示し、あらかじめ証拠などを明らかにした上で裁判の争点を詰める。

 ところが5月22日に行なわれた第1回の整理手続きの書面には事件の事実関係以外、被告の関与を示す証拠も手口も、犯人性を示す主張も書かれていなかった。これでは論点整理できない。それについて検察は『捜査中』という驚くべき発言をした。捜査を尽くしてもいないのに起訴したのです」

 同じく片山被告の弁護人である佐藤博史氏によれば、書面を見た裁判長も「異常な書面」と指摘したという。

 強引な捜査はまだある。片山被告は可視化すれば取り調べに応じるとしたが、検察が拒否、取り調べは行なわれていなかった。そこで検察はある手段に出たという。

「起訴前の3月、業を煮やした検察は『弁解録取』をすると片山被告に持ちかけた。我々としても弁解録取なら応じてもいいと判断した。しかし、そこで検察官は3時間半にわたって実質的な取り調べを行なったのです。これは容疑者の権利を侵害する行為で、違法性がある」(木谷弁護士)

 また、多くの事件をバラバラに逮捕・起訴して100日以上も勾留したことも異常である。その間に強引に自白を引き出そうとしたと見られても仕方ない。多くの冤罪事件で繰り返された、精神的に追い込んで「自白」をとる危険な手法である。

 メディアはどう報じたか。象徴的なのは第1回公判前整理手続きを報じた翌23日の朝刊である。日経、読売、産経はほぼ手続き開始の事実を伝えるだけのベタ記事扱い。

 弁護側が問題視した検察の“見込み起訴”について見出しを含めて報じたのは、毎日の「公判前整理 弁護側、公訴棄却求める『犯行場所特定ない』」と東京の「検察 被告関与言及せず 公判前手続き 裁判長『異常』と指摘」という報道くらいだった。

※SAPIO2013年8月号

「【PC遠隔操作事件】雲取山USBメモリの謎」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20130718-00026520/

一方、片山氏が上った昨年12月1日は、最低がマイナス10.6度、最高はマイナス0.9度だった。
12月1日の雲取山は雪も降る寒さだった(ヤマレコより)12月1日の雲取山は雪も降る寒さだった(ヤマレコより)

「山頂は、これより1度低いとされている。片山さんが上った日は一日氷点下で、地面は同じように凍っていたはずだ。埋めることは物理的に不可能」佐藤博史弁護士。公判前整理手続きでは、検察官に「まさか、片山さんがツルハシを持って登ったと主張するつもりか」と問い詰めた、という。

さらに、佐藤弁護士は、こんな仮説を提起する。

「犯人からのメールにあった山頂の写真は、山好きの人たちが自分の登山記録を書き込むサイトからダウンロードして使われていた。つまり、犯人は山に登らないでメールを送ることができた。実際には埋めておらず、その後の江ノ島の猫の写真をつけた『延長戦メール』を送ることまで計画して『謹賀新年メール』を送った可能性がある。そして、温かくなってから、犯人が埋めに行ったのではないか」

それは、片山氏が逮捕された2月10日より後のはずだ、というのが佐藤弁護士の推理だ。

前回の記者会見で明らかにされた1月2日に「猫、首輪」という言葉を検索していた問題については、片山氏本人は、「覚えていない」と述べている、という。

猫好きが「猫 首輪」とか「ネコ キャットフード」とか「猫 写真」とかで検索かけたとして,それの一体なにが問題なのだろう?


大阪府警が誤認逮捕 証拠の映像、設定時刻にずれ」

http://www.asahi.com/national/update/0720/OSK201307200004.html
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130803/waf13080307000002-n1.htm
極めて杜撰な操作(もしくは証拠捏造)による,遠隔操作ウイルスとは別の誤認逮捕事件.

堺市内で1月に起きた窃盗事件で、大阪府警北堺署が逮捕した男性会社員(42)を、大阪地検支部が事件に無関係だったとして釈放したことがわかった。犯行を裏付ける有力な物証とした防犯カメラの時刻が正しく設定されていなかったといい、男性のアリバイが確認されたという。

 男性は85日間、勾留された。検察側は今後、起訴を取り消すか、公判で無罪判決を求めるか検討する。府警幹部は「時刻について標準時とすりあわせる基本が欠けた、きわめてずさんな捜査といわざるをえない」と話し、誤認逮捕の原因を調査するとともに、改めて窃盗の捜査を続けている。

ビデオデッキでも目覚まし時計でも,時刻がズレるのは普通の話だよね?

むしろ推理小説のアリバイトリックの一つが時計の時刻をずらして勘違いさせるというものなんだが,これは警察主導でアリバイ(破壊)工作をしたと考えた方が良いのではなかろうか.

「入室時から録音・録画 取り調べ可視化へ 警察庁

http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000009401.html
これも遠隔操作ウイルス事件とは直接の関係はないが,にしてもケーサツは国民を嘗めてますなあ.

全国の警察で試行されている取り調べの可視化を巡り、警察庁は9月から、容疑者が取調室に入る段階から録音・録画することを決めました。

 取り調べの録音・録画は、去年から裁判員裁判対象の否認事件や知的障害のある容疑者の事件にも範囲が拡大されました。警察庁によりますと、去年4月からの1年間で、対象事件の約8割、2637件で録音・録画が実施されました。一方、録音・録画の拒否は、前の年から4倍以上増え、178件でした。警察庁は、本人の意思で拒否しているかどうかを客観的に記録するために、容疑者が取調室に入る段階から録音・録画することを決めました。9月から全国の警察で実施されます。取り調べをした警察官約940人のアンケート調査では、「事件ごとに判断したうえで、部分的に録音・録画をすべきだ」とする意見が全体の7割近くを占めました。

  • 警察「が」記録する話のみで,容疑者,およびその弁護士側が記録することには触れてない.
  • 警察が記録した内容を,容疑者/弁護士,裁判所/裁判官/陪審員に対して公開するとは一言も言ってない.
  • また記録の保存期間や公開する条件も明示してない.*4
  • 容疑者を脅迫して「記録に反対する」と言わせれば,警察にとって不都合な真実はなかったことにできる.

保管する主体が誰なのか,改竄,捏造,削除する可能性とか,気にし始めたら切りが無い.

あくまで警察にとって都合の良い記録の話だけですね.これでは6人目の誤認逮捕は防げそうにないな.

http://b.hatena.ne.jp/entry/news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000009401.html
  • id:ibisyouta 「公開する」とは言ってないところがミソかな
  • id:fmbf2 全事件/入室時から記録を徹底しないと意味がないだろうが。連中「例外、例外」でかわす気満々だぞ。まぁ、記録してももみ消されたら意味がないが。
  • id:zhy 部分的録音は弊害しかない事を知って欲しいです。「自白を強要した部分をカットして、『自発的に自白しているぽい部分』だけ見せる」事を認めれば、むしろ冤罪が増える。
  • id:kniphofia 「ここは取調室ではない!だから録(
  • id:send で、容疑者に要求されたけど警察が拒否したケースどれぐらいあんの?
  • id:na23 全部録画だと、どっちが凶悪犯なのかわからなくなったりするのかも。
  • id:dekaino 記録の保存期限をきっちり法律で規定しておかないと、都合が悪いものだけさっさと捨てそうだ。
  • id:lenore 警察は「徹子の部屋」が何故ノーカットなのか学べ。それか弁護側、検察側の双方にノーカット版を渡せ。
  • id:take1117 編集次第でいくらでも♪・・検察とかが管理すれば・・
  • id:sima_pan 警察官「事件ごとに判断したうえで、部分的に録音・録画をすべきだ」7割を占めたか。どういう場合にしたくないのか具体例を出してほしいね
  • id:NOV1975 いい話かと思ったら…「警察庁は、本人の意思で拒否しているかどうかを客観的に記録するために」目的が違うだろ!

「痴漢で「検挙」された警視庁の元スゴ腕刑事」

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36554
http://hamusoku.com/archives/7983622.html

遠隔操作ウイルスとは直接の関係はない.
警察は身内が起こした犯罪については,とことん甘いという話.

ここまでは、一般的な痴漢事件の展開と、何ら変わらない。普通であれば、こうして取り押さえられた痴漢の容疑者は、駅事務所を経て所轄の警察署に身柄を引き渡され、ほぼ間違いなく逮捕される。

 男側の言い分が通る可能性はまずない。女性が痴漢の被害を明確に訴えたら、それでアウト。築き上げてきた地位も名誉も、最悪の場合は家族や財産も失うことになる。

 しかし、今回のケースは違った。被害者の女子高生は、所轄である警視庁高島平署の捜査員にこう告げられたという。

「事情聴取は後日、行います。今日のところはこのままお帰りください」

さらに驚くことに、捕まった痴漢男も逮捕されず、その日のうちに帰宅が許されたというのである。

これがいかに異常なことか、痴漢事件に詳しい清水勉弁護士が解説する。

「一般の方は誤解していることが多いですが、痴漢事件の場合、被害者の女性や目撃者も逮捕権を持っているのです。いわゆる私人による現行犯逮捕ですね。警察はそれを追認する形で、身柄を引き取る。

 ですから今回の場合、女子高生によって『逮捕』された容疑者を警察が釈放するには、痴漢被害がデタラメだという確証がなければならない。ところが当の女子高生にも事情聴取をしていないわけだから、高島平署の判断はまったくわけがわからない」

 なぜこのような事態になったのか。謎を解く鍵はこの男の素性にある。男は、捜査員たちの先輩に当たる人物だった。そう、彼は警視庁の元スゴ腕刑事だったのである。

遠隔操作ウイルスでは一介のプログラマを,なんの証拠無しに逮捕して何ヶ月も拘束.警察の身内が起こした痴漢については,現行犯逮捕されても組織ぐるみで揉み消してその場で釈放.腐ってますなあ.

*1:「防犯カメラで猫に首輪を付ける所が写っていた」みたいな記事を見た時点で,99%嘘だと思っていたもの.防犯カメラ程度の解像度だと,望遠レンズでも付けて大写しにしないと見えるわけがない.

*2:会社の同僚や上司が触れる状態になっていた.同僚はともかく,上司がログインできるようになってるのは普通じゃないかと思う.

*3:だから「死亡した人間の90%以上が死亡する前の24時間以内にDHMOを摂取していた」が水が有毒である証拠にならんとあれほど.

*4:これは他で決められてる可能性もあるけど,そのくらい記事に書いてもいいと思うなあ.