会計士不足が深刻...本当に?

公認会計士には詳しくないが,どう見ても変な記事だな.

公認会計士って,有効期限一年で毎年受験しなければならないような資格なの?*1

グラフを見れば,2008年,09年,10年と最低でも毎年千人近い合格者が仕事を得られず失業者になっているはず.その後も12年まで合格者数が採用枠を上回っているので,有資格者の人余り状態は悪化の一途を辿る.13年と14年は合格者数より採用枠が上回っているが僅差であり,資格があっても仕事が得られないままって人は千人単位で残ってるはず.

逆に監査法人の採用枠以外にも大量の採用枠があって,そっちが会計士の求人の中心だというのなら,このグラフ自体に全く意味がなくなる.

結局,会計士はまだまだ(それこそ何千人も)余ってて,「新卒とか今年合格した若い人を格安で欲しい」ってだけの話なんじゃないの?*2


やっぱそういうことなのかね.さて真相やいかに.

http://b.hatena.ne.jp/entry/www.nikkei.com/article/DGXLASGD26H7W_S5A200C1AM1000/

  • id:fujichu_yufu185 一年遊んで大手行くのが正解だったと思う中小職員 /過年度合格者ならリクルーターやらコネやら使ってすでに取り合いになった後

んー,すくなくともこの記事からは,そうは読めない.

  • id:doko 大量採用した会計士が根付いていないってことです。業務自体、当該組織の仕組み、その背景としての強化され続ける規制の問題。自動化可能と思われてしまう期待のギャップは、IFRSになると余計にひどくなるかな
  • id:jmea 会計士試験に合格したのに警備会社に警備員として就職した人思い出した。http://kabumatome.doorblog.jp/archives/65655465.html これ2011年の話。
  • id:issai1010 数年前は受かりすぎて溢れてるって聞いてたけど、変な業界だな
  • id:QJV97FCr ちょっと前まで合格者増やし過ぎて余りまくってるって聞いてたけどどこに消えたんだ
  • id:nanoha3 え、前まで溢れてただろ・・・
  • id:qittu ついこの前まで合格しても職に就けないみたいな感じだったのに,あぶれた人たちどこにいったの.
  • id:fumifumi43 最近まで合格しても会計士の職に就けないって言われてたのはなんだったんだ。
  • id:K-Ono 去年は「資格を取ると貧乏になります」だったのに?
  • id:t_trad 人手不足なんです助けて!(厚遇するとは言ってない)
  • id:houyhnhm 逆に言うと、中小だろうが監査法人にしか就職口がないので、やたら景気に影響される。
  • id:niam で、要らなくなったら手の平クルーっとクビにするんでしょ?もう信じないよ。
  • id:whkr 景気で採用が大きく左右されるなんて、公認会計士は非正規雇用だった…?
  • id:TM2501 会計士に限らず、あらゆる資格職に言えることだけど、資格は取れなくはないんだよ…。問題は資格を取れるほど有能だとしても、経験年数とか採用枠とかどうしようもない壁にぶつかるから有能な人は資格取らなくなる

「何故、余っていたはずの会計士が足りないのか。」

http://anond.hatelabo.jp/20150203104909
こっちの方が説得力がある.

さて、翌2006年の合格者は何人になったか。3108人。一気に1800人増。前年比238%。2007年は?4,041人。2008年は?3,625人。もうね。何というか。誰が見てもオカシイ。こんなの持続可能なわけないだろ。

2005−7年が人材需要のピークだった。2008年から四半期決算制度の導入と内部統制報告制度が上場企業に義務化され、さらにその2年前くらいから準備支援業務で人手が膨大に必要となったためだ。

果たして、2008年のリーマンショックが起きた。まず監査以外のコンサルティング業務の収入が大きく落ち込んだ。次に企業業績の低迷による監査の報酬の落ち込みである。(中略)
大手監査法人は大手企業の契約をひとつふたつ切られてもビクともしないが、内部の個々の会計士にとっては事情が違う。担当する大手企業から契約を切られれば、出世の終わりを意味する。ファームはup or outであるため、出世の終わりはリストラの対象となる可能性を意味する。リーマン後の状況である。企業だって必死である。報酬の減額は飲まざるを得ない。そして監査法人も赤字になった。監査法人はパートナーシップであるため内部留保が薄い。経営環境に即応しなければすぐに債務超過になってしまう。

こうして過激なリストラが始まった。どこの企業でも業績下降期に行うことは一緒である。まずは新規採用者の絞込み。本音ではゼロにしたかったとも聞いたが、金融庁の要請や社会的責任もあり大手3監査法人は200人くらいずつは採用していた気がする。2009年の合格者数は2000人以上。。。次にリストラ。まず対象となったのは需要の最盛期に無資格で採用され、その後試験に合格していない人たち。次に06−08の質の低い合格者。シニアという入所3年経過時での昇格階段でストップさせられ、退職に追い込まれた。何度も面接が行われ、君の将来のために早めの転進をお勧めするいうことが繰り返し告げられ、多くの人(雰囲気に嫌気がさした優秀な人含む)が辞めて行ったが、まだ風化していないためこれ以上語るのはやめよう。

2006年くらいまでの会計士は、総合商社でもグローバルメーカーでも大手メディアでも比較的容易に転職できていた(部署が経理とか経営企画とかでよければだけど)。2008年までに一流企業の需要がほぼほぼ埋まり、リーマン後は、会計士を求めた企業は東証2部や地方上場企業の経理まで会計士があふれた。金融庁の理想は早々達成に近いところまで来てしまった。2009年の採用市場は悲惨だった。2292人の合格者に対して監査法人(中小含む)からの求人は1000人に欠けていただろう。金融庁は、企業に会計士の需要はあるとして合格者数を減少させる動きが鈍く、2010年も2000人以上を合格させた(2041人)。前年からの待機合格者が数百人もいたにも関わらずである。泥沼である。合格者に民間企業の需要があると言うが、企業の定期採用と全く異なる時期に、試験合格しただけで実務経験のない会計士を雇いたい企業が多くあるだろうか。この時代である。会計士合格者がパチンコ店やコンビニでバイトしかできず問題になったのは。アメリカの公認会計士数は30万人(2009年で34万人)、日本は3万人(2014年で3万4千人)、だから日本の公認会計士は少ないとよく言われる。しかしアメリカの公認会計士は日本で言う税理士も包含した資格である。日本には税理士が2014年で7万4千人いる。経済規模が3.6:1(2014)であることを考えれば、むしろ会計プロフェッションの人数に既に差はない(むしろ日本のほうがやや多い)のだ。

まあとすると,有資格者は今でも余っている.一度合格した資格者は,人身事故を起こしたりしない限りはそうそう減少しないはずだ.新卒偏重の日本企業にとって人が不足しているというのは,「若手の新人に限れば」という話でしかないのだ.

*1:もしそうなら記事中で明記すべきだよなあ.

*2:そしてもしそうなら,それでこんな糞記事を書くなら「日本経済新聞」を名乗るのを止めた方がいいと思う.