天津大爆発

いろいろとメモ.

あれだけでかい事件の割に,原因や経緯と言った情報はほとんど入ってこない.
噂レベルだと

  1. コンテナから出火.(原因は不明.化学物質の水濡れとか?)*1
  2. 消防署に通報.ただし通常の火災であって,危険な化学物質が大量に貯蔵されてることも,消火に水が使えないこともしらされなかった.
  3. 通常通りに水で消火.
  4. 一度目の爆発(化学物質の一部が水に反応したせい?)
  5. 二度目の爆発(その熱で他の可燃性物質が気化して付近に充満して引火したとか?)
  • 死者数は少なくとも100名以上.まだ90人以上の行方不明者がいて,それには85人の消防士が含まれる.
  • コンテナには危険な化学物質の保管庫として利用されていたが,それようの消火装置とかは装備されていなかったらしい.

という感じか.





これ予備知識無しで見たら,核攻撃でもされたのかと思う気持ちも分かるなあ.コンテナ火災のレベルじゃないよ...

消防士によると、最初に受けた通報では「コンテナから出火」という内容で、何が燃えているのか理解していなかった。ポンプ車など4台で現場に到着すると、問題のコンテナからパチパチと発火音がしていた。

 コンテナ内に人がいないのを確認して「消火のためポンプ車から2〜5分間放水」した。次第に燃えているのは化学物質かもしれないとの疑念が湧いたが、化学物質の消火に用いる砂を準備していなかった。火勢が強くなり逃げたが、最初の爆発で倒れているうちに2度目の爆発が起きた。消火作業開始から約30分間の出来事だった。

 これまで中国メディアに複数の消防士が放水の事実を認めているほか、現場に行った警官も何が燃えているのか知らされていなかったと明かしている。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG15H5N_V10C15A8000000/

中国天津市の爆発事故は、きっかけとなった火災の原因や、爆発した化学物質の種類が特定されず、原因究明が進んでいない。

 初期の消火活動での放水が爆発の原因になったとの指摘も出ており、被害の拡大は人災との見方が強まっている。

 天津市の当局者は14日の記者会見で、「爆発した倉庫は臨時のもので、どんな化学物質が保管されていたかが不明確」と述べ、爆発した物質の特定が遅れていると釈明した。

http://www.yomiuri.co.jp/world/20150815-OYT1T50014.html

当局の検査を受けたのは、倉庫会社が所有するコンテナ4325個で、そのうち5個が基準を満たしていなかったとされる。2014年1月に当局のウェブサイトに掲載された情報によると、同社を含む5社が所有するコンテナ1万4000個以上が検査を受けたが、そのうち29個が安全基準を満たしていなかった。

http://jp.reuters.com/article/2015/08/14/china-blast-packaging-idJPKCN0QJ08Q20150814

個々のコンテナは良いとしても,

  • 一カ所に大量の爆発物をまとめておいてもいいのか.横並びや縦積みに制限はないのか.
  • どこにどんなタイプの危険物が,どれだけあるか把握してなくて良いのか.
  • コンテナの内外に,保管されてる化学物質に合わせた消火設備は不要なのか.特に消火に水が使えない場合,水が厳禁である旨の表示は不要なのか.
  • コンテナの周りに耐火壁や耐爆壁(?)は不要なのか.対爆シェルターの整備は必要ないのか.
  • 最寄りの消防署への届け出は不要なのか.

といった疑問が.

市当局者は16日の記者会見で、事故が起きた現場には、数百トンの有毒なシアン化合物が保管されていたとみられることを確認した。また「生存者が見つかる可能性は大きくない」と指摘し有害物質に阻まれ、救援や消火活動が極めて難航していることを示唆した。

http://www.nikkei.com/article/DGXLAS0040007_W5A810C1I00000/

NHK「天津爆発 危険物の保管方法に問題か」

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150815/k10010191311000.html

中国沿海部の天津で起きた大規模な爆発の原因について、国営の新華社通信は危険物の保管方法に問題があったと15日、伝えました。

新華社通信は、天津市当局が爆発のあった倉庫の危険物の量について調べたところ税関が保管している申告書から推計できる量と、倉庫の会社の責任者の話に大きな食い違いがあったと伝えています。

調査では、具体的な危険物の種類だけでなく保管されていた具体的な場所も分からないため、消火活動にも支障が出ているということです。

また、中国政府の規制では、危険な化学薬品を扱う倉庫は、市街地や住居、それに公共の施設から1キロ以上離れた場所に設置しなければなりませんが、今回、爆発した倉庫から住宅との距離は僅か500メートル余りしかなかったということです。

新華社通信は、規制が守られていない理由として現場の倉庫がおととし、危険な化学薬品のコンテナ集積場に改造されたためだとしています。新華社通信は「倉庫のコンテナの設置に不合理な点があるのは確かで、そうでなければ連続爆発は起こりえない」という専門家のコメントを伝え、現場の危険物の保管方法に問題があったとの見方を示しています。

改造は構わないけど,実際には改造なんてしてなかったってことだよね.コンテナを積み上げただけの単なる倉庫に,何の対策もせずにそのまま大量の危険物を保管した.この爆発は起こるべくして起こった事故で,人災だったと.これ責任者は死刑や懲役千年レベルだなあ.

東洋経済ONLINE「天津大爆発、加害者も犠牲者も消防士だった 放水したことで化学反応を招いた可能性」

http://toyokeizai.net/articles/-/80681

これはひどいタイトル.このタイトルを付けた責任者は,ただちに消防隊員たちに謝罪すべき.内容はタイトルと関係無いし真っ当なようなので,この冒涜的なタイトルは日本の編集部のボンクラが勝手に付けたんじゃないだろうか.



放水が爆発の引き金となったのは事実だろうが,原因はそこに危険な化学物質が(違法に)蓄積されていて,そんことを全く知らされていなかったから.

そもそも化学物質が大量に且つ危険な形で置かれてない限り,放水ではどうやったってあれほどの爆発は起こせないのだ.

痛いニュース「【画像】 天津の爆発跡に巨大な穴が出現」

http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1850466.html
http://news.163.com/15/0815/15/B12PU7R500011229.html

読売オンライン「爆風で新車や窓ガラス破損…日本企業の重要拠点」

http://www.yomiuri.co.jp/economy/20150814-OYT1T50062.html
珍しく周辺の略図が載ってる.これによると2km圏のマンションでも,衝撃波でガラスが割れてるのか.

NHK「天津爆発 現場の倉庫に約700トンの毒物」

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150817/k10010193431000.html

このほか、天津市は現場の倉庫で保管されていた毒物のシアン化ナトリウムは、およそ700トンに上ることや、現場周辺の水たまりなどからシアン化合物が検出されたことを明らかにしました。シアン化ナトリウムは水に溶けやすく、酸と反応すると有毒で引火しやすい青酸ガスが発生する性質を持っています。

中国のメディアは700トンという量は認められた量の数十倍の多さだと指摘していて、17日の記者会見でも質問が出ましたが、市は「調査中だ」と答えるにとどめました。

今回の爆発では検察当局が職務怠慢などの犯罪行為がなかったかどうか捜査を始めていて、危険物のずさんな管理や、それを見逃した行政と企業との癒着が大惨事の背景にあったのではないかという見方が広がっています。

*1:もともとのコンテナ/倉庫がどんなだったかの写真は出てないと思う.消防士からすればごく普通の消火活動だったわけだし,仮に定常業務で消火対象の写真を撮影していたとしても,初期消火にあたった人の多くが爆発で死亡,もしくは行方不明となっているので,写真もその時に消失した可能性が高い.
なら市や消防署に届けられた図面とか設計図とかを出してきても良さそうな物だが,その手の情報は中国政府が握りつぶしてるんだろうなあ.