「あるソフトウェア工学者の失敗 日本のITは何故弱いか」
http://www.shayashi.jp/myfailures.pdf
なんか話題になってたから読んだけど,うーん,周回遅れ?
林晋 京都大学文学研究科
最初に思ったのは「なんで文学?」。
現在の私は人文学者だが、もともとは数学者だった。学位研究の分野は、構成的数学というもので、チューリング計算可能関数と関係が深い。しかし、学位を取得したものの職がなく、ソフトウェア工学の形式的技法、特に形式的検証というものに分野を変えた。
こっちを読んでも,あー数学者かー.
べつに数学者をバカにする気は無いけど*1,ことプログラミングにおける形式的仕様記述や検証については,最初から望み薄だったと思う.「仕様変更」や「ちゃぶ台返し」,「機能追加」を経験したことがある人なら常識レベル.*2完璧な仕様書が完成するころには,プロダクトの寿命が尽きている.*3
他についてもソフトウエア工学に関して幾つか誤りが見られるし,産業的構造的問題についても特に目新しいものはないと思う.
この辺りを読んでた方が参考になりそう.
- 作者: 湯之上隆
- 出版社/メーカー: メディアタブレット
- 発売日: 2013/07/08
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (13件) を見る
また「半導体なんて装置を買って並べれば誰でもできる」と断言する人々にも多数であった.社会科学者だけでなく,政府関係者やマスコミの方からも同じ事を言われた.これが間違っていることを示すために,「半導体は装置を買って並べただけではできない」ことを証明する論文を書くことにもなった.
- 作者: 湯之上隆
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2009/08/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 16人 クリック: 316回
- この商品を含むブログ (55件) を見る
これは笑い事ではすまされない.「わかっちゃいない」社会科学の論文や,「半導体なんて装置を買えば誰でもできる」ことが書いてある本や記事が,経済産業省などの官僚が政策立案する際の参考にされていたりするからである.その結果,まったく日本半導体の実情に合わないようなコンソーシアムや国家プロジェクトができてしまう.さらに,ここに多額の税金が投入される.まったく笑い事ではない.
http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20091207/p1
コンピュータの業界のオキテ!!―腹をかかえて笑ってしまうが、笑ってばかりもいられない本当の話
- 作者: 藤原博文
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 1995/11
- メディア: 単行本
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (18件) を見る
- 作者: 夏海公司,Ixy
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2012/12/27
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (47件) を見る
- 作者: リーベルG
- 出版社/メーカー: アイティメディア株式会社
- 発売日: 2013/09/13
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (9件) を見る
- 作者: リーベルG
- 出版社/メーカー: アイティメディア株式会社
- 発売日: 2013/08/30
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (11件) を見る
- 作者: リーベルG
- 出版社/メーカー: アイティメディア株式会社
- 発売日: 2015/10/23
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (1件) を見る
- 作者: ジェームズ A ウィテカー;ジェーソンアーボン;ジェフキャローロ
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2014/02/12
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (8件) を見る
- 作者: ジェラルド M ワインバーグ
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2013/08/28
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (11件) を見る
リーン・スタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす
- 作者: エリックリース
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2013/09/11
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (12件) を見る
イノベーションのジレンマ 増補改訂版 Harvard business school press
- 作者: Clayton M. Christensen
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2012/09/01
- メディア: Kindle版
- 購入: 1人 クリック: 2回
- この商品を含むブログ (16件) を見る
http://mssi.blog29.fc2.com/blog-entry-830.html
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.shayashi.jp/myfailures.pdf
- id:non_117 失敗に不寛容な社会が悪であるというどうしようもない結論。しかし、なんでこんなに感想が二分されてるのだろう。
ソフトウエアを知らない人には「目から鱗」でも,ソフトウエアに詳しい人なら「なにを今更」「間違いだらけ」だから.
- id:FantasyZone3 偉い先生なんだろうが上から目線で反論してやる。文化・社会の問題というより経営の問題では。経営に技術的コンセプトが無く来た仕事を受けるだけで技術的資産が意味をなさず技術的見通しも無い。この近視眼性ね。
- id:masatomo-m 現場はアジャイルの必要性を分かるけど、上司や会社の決まり事が理解を拒否する(検討すらしない)ことが多いのよね。それでもそれなりにパイが大きいから生き残っているあたり、ガラケーみたいな滅び方をするのかも
それは勇気じゃなくて経営の問題.ハイリスク・ハイリターンなシリコンバレーなら挑戦する人も出る.ハイリスク・ローリターンな日本では,頭の良い人ほどリスクを取らない.ブラックIT企業なら,へたするとマジに死ぬ.
- id:motowota ソフトウェアで成果出せずに思想史転校した奴の駄文なぞ無意味
*1:数値演算ライブラリとか暗号とか金融工学だと主役だし. Numerical Recipes 3rd Edition: The Art of Scientific Computing
*2:恐怖の合言葉「行間を読め」もあったか.