AlphaGoが4勝1敗で勝ち越し
イ・セドル vs AlphaGo,世紀の一戦 Google DeepMind Challenge MatchはAlphaGoの4勝1敗で幕を閉じた.
良くも悪くもAlphaGo「名誉プロ9段」は人間らしくない手を打つため,人間側を混乱させることも多かったようだ.実は単なる悪手を打っただけの場合も少なくないかもしれない.しかし仮にそうだとしても「天才」とまで呼ばれる世界チャンピオンを下したのは,ゲームプログラミングは飛躍的な進歩を遂げたと言って良いだろう.
ゲームプログラミングを少しでも囓ったことがある人ならば,これが歴史的事件であることに異論はないものと思う.
- http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20160131/p1
- http://antibayesian.hateblo.jp/entry/2016/03/10/041739
- 「AlphaGo の論文をざっくり紹介」http://technocrat.hatenablog.com/entry/2016/03/14/011152
- 「コンピュータ囲碁における モンテカルロ法 ~ 理論編~」 http://minerva.cs.uec.ac.jp/~ito/entcog/contents/lecture/date/5-yoshizoe.pdf
nitro15
http://nitro15.ldblog.jp/tag/AlphaGo
「【AlphaGo】イ・セドルvsAlphaGo Googleディープマインドチャレンジマッチ第5局速報」
http://nitro15.ldblog.jp/archives/47095977.html
去る4局からだ。 混戦でイ・セドルの妙手(78)はAlphaGoの力量に限界を見せた。 製作会社Googleディープマインドのデミス・ハサビスは公式記者会見でこれを確認してくれた。 開発者が犯した失敗を意味する‘バグ’とは違い、ただプログラムが限界を見せたのだ。
デミス・ハサビス博士はKBSとあるインタビューでもう少し詳しくこの内容を説明した。 “イ・セドル9段の手 78をAlphaGoのPolicy networkは1万分の1の確率で見た。 予測する事が難しい手だったので他のラインに入った。 Value networkもポジション評価で行ったり来たりした。”と話した。Policy networkとValue networkで対応しにくくしたということだ。
https://www.facebook.com/nihonkiin/posts/1080618011980171
「【AlphaGo】イ・セドルvsAlphaGo Googleディープマインドチャレンジマッチ第5局 イ・セドル、AlphaGoに中押し負け '世紀の対決'1勝4敗で終了」
http://nitro15.ldblog.jp/archives/47098790.html
イ・セドルの黒番はもう1つの挑戦だ。 "白番で勝ったので黒番でも勝ってみたい"と話した。 その中にはAlphaGoが自ら局面の流れを導いていく黒番よりついて行くパターンの白番の方がさらに強いと判断し、そのAlphaGoに勝ちたいという意味も込められた。
"徐々に追撃してきました。 今はどちらが良いと話しにくいようです。" (キム・ヨンサム解説者)
"思ったより侮れないですね。 イ・セドル9段が引き続きうまくいく図と見えたが形勢が意外に類似したことを見るのでAlphaGoの実力が本当にすごいです。" (ペク・ホンソク解説者)
「【AlphaGo】韓国棋院、AlphaGoに史上初めて名誉プロ9段証授与」
http://nitro15.ldblog.jp/archives/47099155.html
AlphaGoが'入神(九段)'の隊列に上った。 韓国棋院は囲碁人工知能AlphaGoに名誉プロ9段を授けた。
記者会見後開かれた閉幕式でホン・ソッヒョン韓国棋院総裁が手がないAlphaGoに代わって デービッド シルバーGoogleディープマインド チームリーダーに名誉9段証を伝達した。
名誉アマ段証ではなく名誉プロ9段証を授けたことは今回が初めてだ。
「【AlphaGo】「さらに発展したイ・セドルの姿をお見せする!」イ・セドルvsAlphaGo第5局記者懇談会」
http://nitro15.ldblog.jp/archives/47099273.html
デミス:
今日はすごい対局を見守ることができた。最も手に汗を握ったひと勝負だった。対局序盤でAlphaGoがかなり大きい失敗を犯した。解説者の話に耳を傾けた。脈をよくつかめなくて序盤失敗があって、以後AlphaGoが回復をし非常に微細な接戦を広げた。したがって興味深くて驚くべきゲームだった。事実今何を申したらいいのかわからない。 本当にすごい対局を見守った。
私どもはプロではないのでAlphaGoが対局するのを見守って解説者の話に耳を傾けた。 先にAlphaGoが脈をよくつかめなくて序盤に失敗をしたものと見える。 以後微細な接戦を繋げていけるほど追撃戦を展開して形勢を回復した。 AlphaGoが興味深い試合を広げた。
イ・セドル:
終わって残念だ。有終の美をおさめたかったが惜しかった。今回の対局は序盤優勢なのではないかと思ったがそれでも敗れたということは私の不足することが再びあらわれたのではないかと思う。
五番戦ってAlphaGoとプロ棋士の差をどのように感じたのか、再び機会があるならば戦う意向があるのか?
イ・セドル:違うということはとても当然の話だ(笑)。 基本的に人ではないではないか。 打つスタイル、なじみがうすい環境など全てのものがとても違った。適応するのに時間がかかったことも事実だ。 心理的に揺れないで果てしなく集中する、そうですね再び対局しても勝つことができるかどうか疑問は入る。 確かに実力的な部分よりは心理的な部分、集中力のような部分では人間がついて行くことができないので人間が勝つことは大変な相手であるようだ。
AlphaGoの今後の計画は?
デミス:対局を優先して焦点を合わせた。 この時までも対局に焦点を合わせたのでまだ今後の状況に対する具体的な計画を立てていない。 しかし先立って申し上げたようにAlphaGoを発展させることができる方案を申し上げた。まず英国に戻ってAlphaGoの棋譜を綿密に分析してみて計画を立てなければならないようだ。 検討後で一般にAlphaGoの技術を公開するのか、追加で囲碁試合を継続するのかを決めることになるようだ。
「【AlphaGo】イ・セドルvsAlphaGoチャレンジマッチ今日大詰め 人類の声援受けてもう一度限界に挑戦」
「【AlphaGo】イ・セドル、AlphaGoの勝率を50%未満に下げろ!第5局午後1時から開始、イ・セドル必勝戦略は?」
http://nitro15.ldblog.jp/archives/47096060.html
一つ変数はイ・セドルが4局が終わった後、記者懇談会で話したようにAlphaGoが白番の方がさらに強いという点だ。 AlphaGoが白番でさらによく打つ理由はまさに7目半のコミのため。 勝率期待値を計算して着手するAlphaGoは黒と白の差を認識する事はできない。
黒で打つ時はAlphaGoのモニターに-7.5が出てくるという点がとても大きい差だ。 '先着の効果'を認知するのでなくただ勝利確率、勝率期待値だけで着手するAlphaGoは先着の効果が具体化される前までは黒でとても強力な囲碁を駆使する。 囲碁の理論を変えたというほどの手も黒で打つ時たびたび登場した。
反面白で打つ時は+7.5を認識したAlphaGoが安定的に盤面運営をする。 イ・セドルが仕掛けてくる戦闘を拒むことはないけれど、なかなか勝率期待値が50%の下に降りて行かないために勝利に最適化された手をずっと駆使できてさらに安定的で強力に感じられる。
ここまでは,まあわかる.面白い観点だ.
果たしてイ・セドルはAlphaGoの勝率期待値を50%未満に下げることができるだろうか。 多くが必要なことではない。 一度ないしは二回程度だけAlphaGoの勝利の可能性を50%未満に落とすならばその時は'AlphaGoのエラー'と呼ばれる失敗が出てくる可能性が大きい。
そこまで甘くはないんじゃないかな.彼らだってテストプレイくらい何度も繰り返してるんだもの.
三村囲碁jp「Google DeepMind Challenge Matchの感想5」
負けた4局の中で最も悔やまれる痛い敗戦がこの最終局だと、イ・セドルさんのコメントにあった。
実は私も最終戦でセドルさんが勝つ確率が高いのではと期待していたが、予想は外れた。
3局目の終盤に見られたAlphaGoの部分的な読みのミスと4局での中盤の乱れからAlphaGoには明確な弱点があり、そこを衝く勝ち方のコツを徐々にセドル九段が掴んで来ていると感じていたからだ。
この5局で見せたAlphaGoの強さは何と言っても後半の収束にある。
難しい中央のヨセの手順を見通して形勢を判断し、危険無く勝つ手順を見極める。かつて李昌鎬九段が得意としていた能力が、この人工知能棋士の最大の武器だと思う。
Wired「DeepMind:AlphaGoをつくった「4億ドルの超知能」はいかにして生まれたのか?」
Searchina「AlphaGo、中国で思わぬ事態が進行中 日本に「してやられた」現実」
http://news.searchina.net/id/1604838
微笑ましい話.
中国語で囲碁は「囲棋(ウェイチー)」と呼ばれる。「碁」はもともと「棋」の異体字(同じ意味の文字だが形が異なる)だった。日本では「碁」と「棋」が別の文字として扱われるようになったが、中国では「碁」の文字がすたれ「棋」に統一された。しかも、発音は「Go」とは大きく違う。そのため、「Go」が「囲碁」を指すとは気づかず、発音がほぼ一致する「狗(ゴウ)」で表記したようだ。
中国起源、あるいは中国で基本が完成された文化が、日本経由で西洋社会に伝わった例はかなり多い。
その他.
- http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1603/15/news143.html
- http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1603/15/news154.html
- http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/15/2016031500764.html
- http://wired.jp/2016/03/15/the-mystery-of-go/
- http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/346926/031500477/
nature [Japan] January 28, 2016 Vol. 529 No. 7587 (単号)
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- 発売日: 2016/02/05
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