「その「エンジニア採用」が不幸を生む ~良い人材を見つけ、活躍してもらうには何が必要か?」

とりあえずメモ.

あーうー.技術評論社なのに,Kindle版はその予定さえないのか.
いや,あるのか.

目次を眺めただけでも目眩がしてくる.


斜め読みしたが,参考になる部分もある一方で,なんかすごくもやもやする.ウォーターフォールとかSIerであることが大前提だったり,プログラマー30歳定年説大好き人間だったり,人事部の無謬性を暗黙のうちに仮定してたり.またエンジニア採用で重要なのはコーディング面接だけど,どんな問題を何問くらいだして何分で解いて評価基準はどうするとか,そういう視点からの議論は一切なされてなかったりする.*1

それにこれ技術者に対する偏見が酷くないか?文系の人が人事部御用達の色眼鏡ごしに技術者を見ると,こんな感じになるのだろうか.

エンジニアで生きていくのと、エンジニアを活かす企業組織を作ることは、すごく難しいことはでないか。それが本書の隠れたメッセージのように感じます。

不幸なすれ違いを防ぐ為にどうしたらいいか。ド正論は、その企業のエンジニア採用力を上げることです。良いご縁があっても、採用の質が悪ければ意味がない。

エンジニア採用の難しい点は、エンジニアの評価はエンジニアにしか出来ないことにあるのではないでしょうか。数値化出来る要素があまりない上に、経歴ではなく姿勢が問われることが多い。C#の職務経験はないけどAndroidアプリを作れる人だしUnityも慣れたらいけるよね、みたいな判断は素人にはできない。職務経験の向こう側がね、なかなかね。

でも日本企業は今も人事部が出しゃばるんだな.なぜか.

彼らは過去に生きているので,未来を創る人の評価には最も適さない人たちだと思うんだけどな.



2番目にまずい面接者はクイズショー面接者だ。このタイプの人は頭がいいというのは「たくさんの事実を知っていること」だと思っている。彼らはただひたすらプログラミングに関する雑学問題を出し、正解に対してポイントを与える。面白半分に、地上で最悪の面接質問を挙げておこう。「Oracle 8iのvarcharとvarchar2の違いは何か?」 これはひどい質問だ。この特定の雑学について知っている人と、あなたが採用したいと思う人との間には、想像しうるどのような相関もない。そんな違いを誰が気にするの? 15秒もあればオンラインで調べられるというのに! 頭がいいというのは「雑学問題の答えを知っている」ことではないというのを覚えておこう。

http://local.joelonsoftware.com/wiki/%E6%8E%A1%E7%94%A8%E9%9D%A2%E6%8E%A5%E3%82%B2%E3%83%AA%E3%83%A9%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%28version_3.0%29

こんなのも出てたなあ.どうせ日本人には関係無いけど.

ソフトウェア開発者採用ガイド

ソフトウェア開発者採用ガイド

http://b.hatena.ne.jp/entry/gothedistance.hatenadiary.jp/entry/2016/12/07/100000

  • id:hush_puppy 現場離れたら戻れないってマジ? 自転車に乗れるスキル程度にしか考えてなかった。怖い。

たとえばIT業界に限って言えば「前に乗った時はガソリンエンジンマニュアル車で最高速度100km/hだったんだけど,3年ぶりに乗ったら自動運転の電気自動車で最高速度500km/hだった.」くらいの違いがあったりするから.昔の常識がいつまでも通用しない.*2 *3

http://kawaguti.hateblo.jp/entry/2016/12/10/161836

追記

この章の最初の事例はなかなか衝撃的で、現場部門が書いたJD(募集要項)にある必要要件(Javaがどうとかそういうやつ)のうち、人事部門にとってわかりにくいものを勝手に削除して公開したという話でした。この例だと「LAMP」「Web・サービス系」という文字。うーん、そこ外しちゃまずいでしょ。

他に、とにかく現場で人が足りないので数を追ってしまうダメな採用担当の話、人材紹介会社に依存しすぎる危険性について語られています。

zzzz11’s blog

http://zzzz11.hatenablog.com/entry/2016/12/06/150437

経営陣 => ITに関しての無知さ
人事担当 => エンジニアの採用方法がわかってない(例えば募集要項が書けない)

個人的にへー、と思ったのが、エンジニアはエンジニアとしてではなく、別の職種を希望する人が半分ぐらいいる、
とのことで、ほんとかなあと思いつつ、へーと思いました。
(なぜ、別の職種を希望するかは、退職前の職場環境が劣悪なこと)

個人的な経験でいえば、結局発信をしても、そもそものビジネス内容が面白くないと見向きもしないなあと。

身も蓋もない...

*1:http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20151013/p1

*2:その一方で,すでに部品も入手不可能な旧式クラシックカーを,高い金を払って後生大事に乗ってる方達もいたりして.

*3:一方で人事部自身は,自分の経験のブランク期間について一切無頓着なんだな.
新卒採用は最短でも1年周期でしか行われないし,酷い場合には何年も新卒採用なんて経験しなかったりする.その担当者に変わってはじめてだということも珍しくないだろう.にもかかわらず「新卒採用のブランク期間が1年以上もある」ことが問題にされることはまずないと思う.ダブルスタンダードすぎないか?