「逃げ恥」の経済学って

このたび、この疑問をスッキリ解消するとともに、結婚するかしないかを含めて人生の戦略を構築する上で大いに参考となる書籍「『逃げ恥』にみる結婚の経済学」(白河桃子、是枝俊悟著、毎日新聞出版)に出合った。

「逃げ恥」にみる結婚の経済学

「逃げ恥」にみる結婚の経済学

(中略)
是枝氏の分析によると、TBSドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」にも登場した家事労働の価格「月額19.4万円」は、機会費用法から計算した「子どものいない専業主婦世帯において主婦が貰うべきフェアな対価」であり、夫がこの対価を支払うためには月の手取り収入がその2倍(38.8万円)は必要で、この年額465.6万円を手取り収入として得るためには、2017年現在、590.5万円の税引き前年収が必要なのだという。なるほど約600万円だ。

 ちなみに、2013年版の政府の報告書によると、日本の女性全体の1時間当たりの賃金が1383円だという。ドラマでは、これに1日7時間の家事労働に20日間(合計140時間)を掛けた数字から19.4万円が導かれている。

これって原作では旦那がSEで,就職浪人中の元上司の娘に家事手伝いを依頼する話.


それで19.4万円って,ドラマ版の設定じゃん.原作から改悪された最たる物.他の数値もかなりコジツケに近い.まさに理屈と膏薬はどこへでも付く.

たとえばこの手の計算で「女性全体の平均賃金」を基準にするのはおかしいし,1日の労働時間7時間も何を基準にはじき出した数字なのか.男性側が必用とする給与がその2倍だというが,「2倍」の根拠は一体なんなのか.すくなくとも「逃げ恥」原作ではそんな話はしていなかった.

こんな説明でスッキリ納得するなど頭おかしい.

原作確認すると「週1で毎回三時間.留守中に掃除して1回6千円」「月に4〜5回じゃ生活してはいけない」だ.偽装結婚して住み込みになった分,口止め料を含め若干は増えてるだろうが,それにしても一人暮らしできるほどの金は出してないと思う.

http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20161129/p2

原作だとSEの男の「家事手伝い」で月あたり3万かそこらという,現実的な数字だった.


またこれが偽装結婚に至る理由でもある.SEの家事手伝いだけでは一人暮らしできなかったのだ.19万出してれば,一人暮らしすればいいだけの話で,偽装結婚してまで「住み込み家事手伝い」をする必要がなくなる.

偽装結婚後は「家賃食費光熱費は折半で」「冠婚葬祭で夫婦として出席しなければいけない時は時間外手当を付けると言うことで」計算しているらしい。多少仕事が増えたところで,家賃と食費,光熱費払ったら,ほとんど残らないんじゃないだろうか.

http://b.hatena.ne.jp/entry/diamond.jp/articles/-/146893

  • id:onasussu ドラマ見てないんだけど、一日8時間も家事する事ある?実働だよ?

原作設定だと,週3時間.偽装結婚して炊事洗濯等もうちょい増えたにしろ半分は自分のためだ.いずれにせよフルタイムの計算ではないし,途中で同僚の家(独身男性)にもバイトで行くようになるから,ますますフルタイムではなくなった.

  • id:arrack 既にブコメにあるが一人暮らしの家事労働は自己負担なのだから専業主婦でも相手に求めれるのは家事分のざっくり二分の一だろ。そしてそこから家賃飲食費光熱水費が引かれる
  • id:taruhachi 一人暮らしであっても発生する家事の労働対価が結婚した途端に結婚相手に請求する対象になるという理屈が一切理解できない。

少なくとも原作だと家賃食費光熱費は折半なんだよねえ.

  • id:masudamaster 主婦の年収600万円論者は、じゃあ専業「主夫」の年収も600万円であるべきだと思う?もしそう思うのなら、あなたは筋の通った立派な人だ。けれども、「専業主婦は600万だが専業主夫は600万だとは思わない」と言うのなら、
  • id:primedesignworks 記事を読んで、男女平等と叫ばれて久しいが、一体どこの誰が男女平等を望んでいるんだ?と思った。
  • id:homarara すると独身一人暮らしで家事を全部自分でやってる俺は、フルタイムの労働に加えて月19.4万円分の家事もやってるのか。偉いな俺。
  • id:SaYa 結婚と経済を紐解き、若者に共働き事実婚をオススメする山崎先生。ちなみに、就職氷河期世代は40代になり、その平均年収は400万円台とのこと。少子化に歯止めかからず。