遠い夜明け
- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2012/05/09
- メディア: DVD
若い人はしらないだろうが,昔こんな映画がありました.
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%A0%E3%81%84%E5%A4%9C%E6%98%8E%E3%81%91ビコの次は、ビコと懇意だったウッズの番だった。警察は十分な証拠も無いままウッズを危険人物と認定、自宅に軟禁して生前のビコと同じように自由な行動を制限した。このまま南アフリカ共和国にいたのでは、アパルトヘイト問題を放置することになると考えたウッズは警察からの監視下でビコの死とアパルトヘイトの現状を本に書き、家族と共に密かに亡命についての計画を練った。ウッズに提案された方法は、まず最初に神父に変装し、最も近い隣国のレソト王国まで逃げ込み、そしてそこから飛行機でボツワナまで亡命する計画だった。
ゴーンさんの事件って,これと同等の話なんだよね.
日本政府はアパルトヘイト時代の南アと,どれほど違うというのだろう.
- https://news.yahoo.co.jp/byline/abekasumi/20200101-00157327/
- https://www.nytimes.com/2019/12/30/business/carlos-ghosn-left-japan.html
- https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/ex-nissan-boss-carlos-ghosn-flees-to-lebanon-slams-japans-justice-system/2019/12/30/61e89258-2b7c-11ea-bffe-020c88b3f120_story.html
- https://www.wsj.com/articles/carlos-ghosn-arrives-in-lebanon-after-fleeing-japan-11577741238
- 「ゴーン被告、ネットフリックスと独占契約」 https://www.asahi.com/articles/ASN136QRYN13UHBI01Q.html
「日本の刑事司法は、国際的な批判に耐えられるのか~ゴーン氏出国は「単なる刑事事件」の被告人逃亡ではない」
ゴーン氏の事件をめぐる経過を、改めて振り返ってみれば、それは明らかであろう。
逮捕直後は、検察が金融商品取引法違反の容疑事実とされた「役員報酬の過少申告」の内容を全く明らかにしなかったため、隠蔽された報酬は「海外での自宅の提供」だとか、SAR(株価連動型報酬)だとか、それによって日本で税を免れていたとか、マスコミが勝手な憶測報道を続けていた。そして、逮捕から5日後になって、その逮捕容疑が実際に支払われた役員報酬ではなく、退任後の支払い予定の「未払い報酬」に過ぎなかったという衝撃の事実が明らかになった(【ゴーン氏事件についての“衝撃の事実” ~“隠蔽役員報酬”は支払われていなかった】)。勾留満期には逮捕事実の「2015年までの5年間」の有価証券報告書虚偽記載で起訴し、その逮捕事実と同じ「直近3年分」で再逮捕するという、従来の検察の常識からも逸脱したやり方で身柄拘束を継続しようとしたが、東京地裁が、それまでの特捜事件ではあり得なかった勾留延長請求の却下を決定(【ゴーン氏勾留延長却下決定が検察に与える衝撃 ~根本原因は“不当な再逮捕”にある】)。それに対して、延長請求却下の翌日に、当初は「形式犯」だけの立件しか予定していなかった検察は無理やりサウジアラビア・ルートを含む特別背任を立件して再逮捕した(【ゴーン氏「特別背任」での司法取引に関する “重大な疑問”】)。
まさに、「衝撃」の連続だったゴーン氏の事件の経過を見るだけでも、この事件がいかに異常なものだったのかはわかるであろう。
検察としては、保釈を請求した弁護人や、保釈を許可した裁判所を批判したり、恨んだりしている場合ではない。検察が起訴した被告人が海外に逃亡し、レバノンに所在することが明らかになっているのであるから、そのレバノンに対して、外務省当局の協力の下に、被告人のゴーン氏の引き渡しをとことん求めるべきであろう。犯罪人引渡し条約が締結されていなくも、本当に、ゴーン氏を起訴した罪状が悪質・重大なものであり、ゴーン氏に対する日本での扱いが不当なものではないと「確信を持って」言えるのであれば、国際社会に対してそれを堂々と主張し、犯罪者を匿うレバノンを批判すればよいはずだ。国際世論に訴えて、レバノンに身柄の引き渡しへの協力を求めることは不可能ではないであろう。
問題は、「ゴーン氏事件」が、日本政府が逃亡犯罪人を匿う国に対する「当然の要請」として行えるような事件なのかどうか、である。
ゴーン氏のレバノンへの国外逃亡の件、弁護人、裁判所を責めているけど、犯罪捜査規範によれば、保釈者の監視(視察)の責任は、検察官から通知を受けたゴーン氏の住所を所轄する警察にあることを忘れてはいけない(犯罪捜査規範 253条~256条参照)。https://t.co/8Xeaovb1Sa
— 山口貴士 aka無駄に感じが悪いヤマベン (@otakulawyer) January 1, 2020
PC遠隔操作事件を思い出そう。保釈中に被告人が自作自演のメールを送ったのがばれたのは警察が被告人を監視していたからでした。警察がゴーン氏の時に同様の監視が出来ない筈はない。まさか、検察官が警察署長に通知していないというミスはないよね...?
— 山口貴士 aka無駄に感じが悪いヤマベン (@otakulawyer) January 1, 2020
刑事訴訟法96条1項に保釈の取消し事由が書いてあるけど、検察官にも裁判所にも保釈中の被告人を監視する人員も予算もないから、法制上は、保釈者の監視は、検察から通知を受けた所轄の警察署長に監視責任があることにされている。
— 山口貴士 aka無駄に感じが悪いヤマベン (@otakulawyer) January 1, 2020
犯罪捜査規範
— 山口貴士 aka無駄に感じが悪いヤマベン (@otakulawyer) January 1, 2020
253条1項 警察署長は、検察官から、その管轄区域内に居住する者について、保釈し、又は勾留の執行を停止した者の通知を受けたときは、その者に係る事件の捜査に従事した警察官その他適当な警察官を指定して、その行動を視察させなければならない。
253条2項 前項に規定する視察は、一月につき、少なくとも一回行うものとする。
— 山口貴士 aka無駄に感じが悪いヤマベン (@otakulawyer) January 1, 2020
254条 前条に規定する視察に当たり、その者について次の各号の一に該当する理由があるときは、これを前条に規定する通知をした検察官に速やかに通知しなければならない。
一 逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
— 山口貴士 aka無駄に感じが悪いヤマベン (@otakulawyer) January 1, 2020
二 (略)
三 (略)
四 住居、旅行、治療等に関する制限その他保釈又は勾留の執行停止について裁判所又は裁判官の定めた条件に違反したとき。
五 その他特に検察官に通知する必要があると認められる理由があるとき。
「オリンパス元社長「日本の裁判、不公正」 ゴーン被告を擁護」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020010200374
ウッドフォード氏はタイムズ紙の取材に、ゴーン被告の逃亡に関して「公正な裁判を受けられるかに強い疑念があり、深く同情する」と述べた。さらに「もし私が65歳で、資産などを持っていて、日本の刑務所で何年も過ごすことを考えれば、失うものはあまりない。なぜ彼がそう(逃亡)したか、私は完全に理解できる」と話した。
ウッドフォード氏はさらに、99%超の被告が有罪となる日本の司法制度を「本質的に間違っている」と非難。「日本は裁判前に自白に追い込むために何百日も人々を拘束し、家族や弁護士との接見を制限している」とも語った。
これは同意せざるを得ない.
外国の人たちは,極東の島国の裁判制度なんて興味ないだろうからな.彼等が事実を知ったら,一体どう思うことだろう.
それでもボクはやってない スタンダード・エディション [DVD]
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2007/08/10
- メディア: DVD
「ゴーン被告、監視中止当日に逃亡 日産手配の業者に告訴警告」
https://www.sankei.com/affairs/news/200104/afr2001040002-n1.html
弁護人の弘中惇一郎弁護士は昨年7月、ゴーン被告が同4月に保釈されて以降、保釈条件で指定された東京都内の住宅周辺を何者かに見張られたり、外出先まで尾行されたりしていると明らかにし、「重大な人権問題」と訴えた。
ふむふむ
関係者によると、警備会社は日産が依頼したもので、ゴーン被告が日産社員ら事件関係者に接触して口裏合わせなどの証拠隠滅を図ることを防ぐ目的だったという。
ちょっと待てや.
なんで日産がそんな依頼を出したんだ?その必要がある?文句があるなら警察や裁判所に言うべきであって,勝手にやっていいものじゃないだろ.
しかも日産は調査に協力的なはずだし,今まで時間もタップリあったから既に必要な証拠は全て集め終わってるはず.いまさら証拠隠滅の可能性など皆無だろう.*1
*1:むしろ警察としては遠隔操作ウイルスの時みたいに,ゴーン氏をわざと泳がせてボロを出すのを待つというのが取り得る戦略の一つ.過剰な尾行はその足を引っ張る可能性もあるのだぞ.