転職活動の必需品

  1. スーツ

というのがオーソドックスな答えかな?
コレに加えて,今だと

  1. パソコン
  2. インターネット:定額常時接続で,最低でもADSLくらいは欲しい.E-mailとブラウザなしに転職活動はできない.
  3. プリンタ:履歴書や職務経歴書*1のプリントアウト用.テキストデータが出力できれば十分なので,動きさえすれば時代遅れのモノクロプリンタでも構わない.
  4. ブラウザにAdobe Reader:情報収集用.
  5. オフィスソフト(それもMS Office!):スキルシートなど各種のドキュメントの雛形がMS Office形式で送られてくるので,使わざるを得ない.

というものが必要になる.他のものはともかく,MS Officeなんてものは持ってない.仕方がないのでOpenOfficeを入れた.
Word(みたいなもん)が使いにくいので,例によってemacsライクなキーバインドに変更.設定もエクスポート/インポートできるようなので,バージョンアップや再インストールとかしても設定は移行できそう.でもここまでできるなら,どこかにemacsキーバインドの設定ファイルくらい落ちててもよさそうなものなのだが?

*1:実はコレの書き方についても色々とノウハウがあるようだ.ただ単に経歴をズラズラと書き並べればいいというものでもなく,売り込みたいスキルを主軸としてそれに肉付けしていかなければならない.よって本来なら提出する企業や業種ごとに書き直すくらいの方が良い.このテクニックは基本的にはセールスマンが客先で行うプレゼン資料と同種のものだろう.問題なのはセールスマンならばそれは基本テクニックだが,技術者にとっては専門外であるということ.また技術的に優れた人が,同時にプレゼンにおいても秀でているということが極めて希であること.よってプレゼン資料だけで判断する限り,本当に優秀な技術者を採用することは難しい.見つけられるのは技術者の皮をかぶった優秀なセールスマン,或いはペテン師だけだ.

「オーバードクター就職支援のための調査結果報告」

ちなみに私としては,とるべき支援策は「民間の転職支援会社がオーバードクター/博士中退者に関しても,仲介を行う」だと思う.それも卒業一年以上前から登録し,必要なら卒業後半年〜一年くらいゆっくりと時間をかけてマッチングする企業を探すべきだ*1.専門性が高ければ高いほどキャリアとのマッチングが難しくなり,マッチングが第一の障害となる.この問題は転職者が抱える問題と本質的に類似しているが,これを各研究室レベルはもちろん,各大学レベルででも行うのは難しいだろう.*2
転職支援会社は既にそのためのノウハウと人脈を供えているので,技術的な問題は少ないと思う.ただおそらくは転職者の年収の何%という形で報酬が決まっているだろうから,オーバードクターなどは「良い商品」とは言えず,やはり敬遠されるのは同じかもしれない.このあたりは税制面で優遇したり,仕事の一部を大学側で担当することで転職支援会社の負担を減らすなどの対応が欲しいところだ.

専門性が高いのは事実だが「専門バカ」というのは偏見だろう.ある技術を追求していくと,それに関連した様々な知識も得る必要がある.

「傲慢で,自分は何でも知っていると思っている.」そういう人もいるのかなあ?普通はドクターを出るまでには審査論文を落とされたり,学会でちょっとした質問にも答えられず冷や汗書いたりということの十や二十はあるだろうから,滅多なことではそんな傲慢にはならないと思うのだが*3.それこそ単に色眼鏡を通してみているだけなんじゃないかと思う.
もちろん全く知識のない人については,その間違いを指摘することもあるだろう.知識のない人には漠然とした疑問しか持てなくても,その分野における最新技術を網羅していれば根本的な間違いに気付くこともある.その時,まったく間違った知識に基づいた人を野放しにして会社に被害をもたらすよりは,それを指摘する方が会社のためだから.それをさして傲慢と呼ぶのは筋違いではないか?*4

「生活能力に欠ける云々」というのは半ば当たってるかも.学部時代にアルバイトに明け暮れたりせず,延々と大学で講義に出ていればおのずとできる仕事の幅も狭くなる.また「ドクターだから偉い」というものでもない.所詮は「専門知識のある新人」でしかない.*5(これは「大学卒」でも同じ.)専門家は高い品質を誇り希少価値があるから専門家なのであって,粗製濫造して品質が低下すれば一山いくらで叩き売られるのもしかたない.

実際に専門知識に限れば優れている人も多いだろう.と同時に即戦力が期待できないのもまた事実だ*6.だからこそ専門知識が求められる職場でなければ就職は極めて不利になる.専門知識が必要ないのであれば,より若い学部新卒などに比べて高コストなだけに敬遠されるのも無理はない.この辺りは中途採用と全く同じ理屈だ.
専門知識を持ってなければ....奨学金という名の借金を抱えた無職の中年です*7.貯金なし,借金あり,実務経験なし,仕事なし.おまけに若ささえもない.将来に絶望して自殺するのも無理はない.その気持ちはよく理解できる.*8

*1:転職活動から考えて,専門性をマッチングさせるにはそのくらいの手間がかかる

*2:実際に名前を聞いたことさえない会社を紹介されることも珍しくない.ほんと,よくこんな会社を知ってるよなー.まあ前職だって似たようなもんだったけど.

*3:それ以前に博士号を取れない人も多いことを考えれば,ドクターに進んだ人間が皆「自分は万能だ」なんて思うとは考え難い.万能だったらそんなに苦労しないはずだが,実際には様々な苦労もするし挫折も感じる.研究室によるのかなあ?ひょっとして大学に行ったことのない人は,同じ大学でも学部学科はおろか,研究室が異なるだけでもやってることがてんでバラバラだということを知らないのだろうか?もちろんこれに加えて個人差もあるので,「博士号を持っている人はこういうタイプだ.」などというステレオタイプな物の見方はほとんどあてにならない.

*4:まして一年以上我慢した挙げ句だとすればなおさら.

*5:「生活能力に欠ける専門家」ならプロ野球選手なども同じだな.たとえ10億円プレーヤーでも事故で指一本失っただけで生活力0の無職に転落することだってある.だからこそ,そういう一流プレーヤーなら指やら足やらにも何億という保険をかけてると言われている.

*6:実は「即戦力」と言う単語も結構怪しいものだ.たとえどれだけ有能なソフトウエア技術者でも,他人の書いたコードを理解してメンテできるようになるにはそれなりの時間がかかる.まして他人の書いたスパゲティプログラムを解読し,行間ならぬBUG間に隠された意図を読みとり,その中から本来の意図に沿うものだけをより分け,それを元にプログラムを書き直すには一から作るよりも時間がかかる.それでもなお「即戦力」なのだろうか?

*7:専門知識を持ってても同じかな.

*8:しばらく前はそういう状態だったからな.はっきり言って経験者.