Bloggerの離職率

http://blogs.itmedia.co.jp/speedfeed/2005/08/_1_cf93.html

こっそりと、真実を言ってしまうと、Bloggerの転職率は異常に高い。 (中略)
もちろん複合的な要素が絡むわけであるが、僕は、社内での評価と社外での評価に大きなギャップが生まれるせいであると考える。

それはこの業界共通の特徴で,別にBloggerに限らないのでは?

「まあまて。君はまだ若いんだし」
こんな言葉でしか報いることが出来ない上司や企業に耐える人は、例えば米国やアジア企業ならまずいない。彼らはキャリアパスを真剣に考えるから、スタートアップからの数年間を地道に送るなんていうムダをしないのである。

これは日本でもそうした方がいいよ.どうせ上司も会社もあてにはならない.

日本は終身雇用というシステムによって、生涯にわたる保証をもってこのムダへの償いをしてきた。

日本でも,そろそろ古典的終身雇用は崩壊しつつある.それにそんなもので償えるほど,人間一人の人生は安いものじゃない.また,それが理解できない人の元で人生を浪費したくはない.

企業はヒトである。強力なリーダー、優秀な社員がいる企業は当然競争力を増す。だから企業は良い人材を得ようと必死になる。

いずれにしても家族経営でない限り、企業は成長しなくてはならず、そのためには良い人材が必要だ。人材を確保するためのコストは安くないので、定着させる努力も必要だ。それには、個人のキャリアパスと企業の成長を同期させるための方策が必要になるのである。

本来はそうあるべきだろう.ところがことIT業界では事情が異なる.

護送船団方式で手厚く保護されてきたがために厳しい市場原理が働かず,「競争力」という概念がない.そこでは品質や優れた製品で競争することはなく,あるのは価格競争だけだ.コストダウンのためのより安上がりな(即ち低レベルな)労働力,丸投げする手配師たるプロマネプロマネを脅迫して突き動かす「管理職」.必要なのはそういった類のもので,優秀な開発者も強力なリーダーも求めてこなかった.

もちろんその結果として品質の低下,トラブルの増大,保守コストの増大,短命なシステム等の「見えないコスト」*1は増えるのだが,それについてはお客様に全部押し付ければいい.そもそもコスト削減のインセンティブがないのだから,コスト削減のための努力も技術開発もするはずがない.

低コストが最優先されるので個人のキャリアパスは無視するし,そも定着させる努力自体が全くなされていない.

あくまで個人的な意見、であるが、大企業なら、やはり安定した雇用、だろう。将来を心配せずに働けるというメリットは大きい。

だったらいいけどね.大企業で且つ不安定な雇用では,大企業に一体なんの魅力があろう.*2

若いうちはいいが、家族を持ってなお保守的にならないヒトはある意味特殊である。

というわけで,そういうものは二の次になっている.*3

要は、寄らば大樹、ではなく、大きな組織のトップに上り詰めるまでの過程を楽しめるような人材に対して、資金力や組織力をベースに長い期間にわたって事業に取り組める素地があるよ、とアピールするべきだと思う。

あ,そういう企業は最悪

技術者に「管理職」になることを求めるなんて精神を疑うね.だいたい今更部下の数を競う時代でもなかろうに.「部下が多いから偉い」なんて時代はそろそろ終わりにしないと日本が持たない.特にこっちの業界は人によって生産性に10倍以上の差があるので,「5人の精鋭」が「100人の烏合の衆」「数万の素人*4」を越える成果を出せるのが普通だ.

*1:もちろん見えないのは管理職などの技術を知らない素人の話であって,見る人が見れば一目瞭然.

*2:http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20051110#p1

*3:というか,既に手遅れ.だてに大学院を出てはいない.

*4:0は,1万をかけても1億をかけても,やはり0は0です.ひどい時にはマイナスの場合もある.

やっぱりBloggerは転職する?

http://blogs.itmedia.co.jp/speedfeed/2006/03/5_blogger_32bd.html
メモ.

繰り返しになるが、Bloggerが会社を辞めやすいのは、
1) Blogを通じて己の見識や志を多くの人に知らしめることができるようになった。
2) 社外での評価と、社内の評価に落差が出て、それが不満を募らせる。
3) 転職者が多くなったことで、世間の給与レベルが分かり始めて彼我の差を知る。
というファンダメンタルな変化があるからである。

うーん...微妙にズレているような気がする.

2と3はBloggerでなくても同じだし,1についてはそれをもって,さほど転職に有利に働くとも思えない.むしろ雑誌記事の一つも書いた方がアピールできるが,雑誌記事一つで転職先がすんなり決まるわけでもない.

そもそもそういう面でのフットワークが軽い、組織に対する帰属意識が高くない/縛られたくない人でブログを書いてる人が多いということはないでしょうか。

どちらかというと,こっちが正解じゃないかな.別にBlogを書いてない人でも転職する人は転職します.

続・深刻なシステムの引き継ぎ問題

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/OPINION/20060324/233161/

ツールや手法,方法論は整備されてきたし,今の若手/中堅技術者はそれを学ぼうという意欲が旺盛だ。

システム資産は「要件」と「技術」をコンピュータを使って具現化したものと言える。

ダウト.突っ込む気力も失せる.*1 *2

むしろ問題になるのは,ベテラン技術者が持つ“スキルの継承”よりも,ベテラン技術者が時間をかけて作り上げてきた“システム資産の継承”の方である。

継承しやすいシステムを作るのも技術力のうちです.それも基本的且つ極めて重要な.スパゲッティプログラムしか作れないのは技術力が低い証拠.*3

システムの引き継ぎに起因するシステム障害や失敗プロジェクトは少なくない。地味だがもっと注目されてよい問題と考える。

そこだけは賛成.
だがこれも無駄だろう.「核燃料をバケツで再処理して効率化」「鉄筋を減らしてコストダウン」「一日24時間労働で納期短縮」「クラス数を減らして工数削減」なんて馬鹿なことを奨励する上司の下では,まともなシステムが作られるわけがあるまい?*4

「引き継げないシステム」になったのは今までの責任者が責任を先送りにしたツケが溜まっただけです*5.ならば責任者がその責任を取るのが筋というものだ.定年退職や辞任して無罪放免なんて無責任なことは許されるものではない.*6

*1:「方法論」ってどの方法論の話かなあ?まさかUMLモデリングとかオブジェクト指向設計とか言わないよね.

*2:「XXXと言える」.言えたからってどうだっていうのかな?システム開発の「本質的な複雑さ」が減るわけでもないし,問題の本質を理解する助けになるわけでもない.「銀の弾丸」はやはり存在しないのだ.

*3:ちなみに,ここでいう「ベテラン」というのは,おそらくは単に「経験年数が長い」だけで,技術力が高いことは意味しない.

*4:「偉大な提案」http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20060221/230096/

*5:いずれ引き継ぐつもりなら/引き継がなければならないなら「引き継げないスパゲティ=システム」でなく「引き継げるシステム」を作らなければならない.スパゲティ=システムを作った時点で既にそれは失敗プロジェクトなのだ.一度こうなると取れる選択肢は限られてくる.
これも「竹槍でB29」のパターンの一つだ.いずれB29を相手にするつもりなら竹槍でなく戦闘機を用意しなければならない.竹槍しか用意できなかった時点で,それは既に敗北なのだ.あとは即時無条件降伏か,徹底抗戦した後に無条件降伏するかの二者択一.

*6:よく「管理職の給料が高いのは,重い責任を背負っているからだ」と言われる.ならば最後まで,その責任をきっちり果たしてもらいたい.単に「動きました」「動いていました」では何も責任を果たしていないに等しい.計画的に引き継げるシステムを作ってトラブルなしに引き継ぐのも責任範囲内で,「知りませんでした」では済まされない問題だ.