安易な開発者の追加は自殺行為

歴史は繰り返す

http://ameblo.jp/shibuya/entry-10012321060.html
http://d.hatena.ne.jp/yad-EL/20060511/1147332189

「一番は技術者の頭数が明らかに不足していることです」(中略)
(3)6月末までに即戦力の技術者を20名採用します。(意地でも)

これが発端らしい.


サイバーエージェントのこの問題って,これと同じじゃないかなあ?

信じられないことに,最初は数十人ほどだったVAIOの組織は,最終的には1000人に達するまでに肥大化した.(中略)
それは実のところ,無用な人員の増加であり,一言で言えばVAIOの発展に役立たないような人間を頭数だけ揃える人事の連鎖とも言えた.(中略)
かくして職場にはパソコンのプロとパソコンに対する志もない人間が共存する.そうなれば自ずと仕事は停滞する.
ところが困ったことに,マネジメントは仕事の停滞の理由を人数が少ないせいだと錯覚して,さらに人を増やしていったのだ.それが全く意味のない増員であることは考えなくても分かるだろう.それはラーメン屋が,ラーメンの麺が不足したからといって蕎麦を混ぜて出すようなものだ.つまり,そうした判断を下すほどその頃のマネジメントは質が低下したのである.ちなみにブヨブヨにふくれあがったVAIOではマネジメントも山のようにいた.(中略)おそらくVAIOだけで100人はマネジメントがいたのではないか.
(技術空洞 Lost Technical Capabilities (光文社ペーパーバックス))

よくあることと言えば,それまでだ.

・給与面を含む待遇面を見直し、優遇します。

そういうのは改善してから言ってくれ.「改善します」という口約束なら詐欺師でもできる.

コメントより

「即戦力のエンジニアを入れればなんとかなる」
と言うのは、技術畑ではない、営業畑出身の社長ならではの意見だなぁ〜
・・・と言うのが率直な感想です。
あ、私は元アプリケーションSEで、上記のような社長の会社出身でした。
今は別分野です。(エンジニアでもありません。)
技術職を何でも屋と勘違いしている、前職のような環境に三行半つきつけて辞めました。

私も似たようなもんです.

ゆえに、この分野で技術者として生きていこうと考えている人たちは休日や帰宅後の時間を未修得の技術の学習に利用するのです。しかし、徹夜休日出勤当たり前の職場ではこれができない。徹夜休日出勤を当たり前のように強要された場合、技術者は「こいつらは自分を使い捨ての道具としか見ていない」と考えてしまう。高い技術力を持った方々は、自分の選んだ分野で生きていこうと思っているわけですから、使い捨ての道具として扱われるような職場では働こうとは思いません。

これも同感.勉強する時間も取れず数年で使い捨てにされる場合は,それに見合うくらい高い給与が必要です.勉強しない管理職にはそれが理解できないのでしょうね.

http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20060511

技術者を頭数で数える奴が報酬を弾むかな

同感.

報酬はどうやれば増えるかと考えた場合,まず真っ先にすべきことは人を減らすことです*1.会社の利益が鰻登りで,湯水のごとく金を注ぎ込んでも無くならないというのでない限り,良くも悪くも同じ会社の仲間同士で同じパイを奪いあっているのです.安易に人を増やせば奪い合うライバルの数が増え,一人あたりの手取りは減ります.*2

もっと大きな問題は,前述したように問題の本質を取り違えている可能性があることです.その場合は,この会社は既にかなり危険な段階に来ているのかもしれません.

だいたい採用力とか何とかいいながら,オフィスのデザインとかマッサージチェアがどうとか,全く技術者に響く議論をしてないしさ.

これも同感だな.技術者のことを分かってない人が技術者を適切に評価できるとは考えにくい.

http://d.hatena.ne.jp/pingoo/20060511

いきなり20人も増えたら、コミュニケーション量の増大や、フォローアップで半年くらいは現在いるエンジニアの生産性が半分くらいになりそうな気が。

その通り.*3

すっげーしょぼいシステム使っててどうしようもなくなってるのに、再構築の許可が下りない、とかいう状況だったら、人増やす前にそこをなんとかするって判断を下さないと、先に進まないですよね。

これもあった.しょぼいというか,単によくある『開発者の悪夢』スパゲッティ=プログラムなんだが,それでも管理職やPMの理解できる範囲は超えているようだ.*4

結局、(言い方悪いけど)使い捨てみたいな使い方をしてるから、産業全体で使えるエンジニアがどんどん減っているんじゃないかな、という気もしつつ。この辺は、エンジニアそれぞれの責任も当然ありますけどね。

うーん,そうは言っても「開発者辞めますか.それとも人生諦めますか.」と言われて,開発者の道を選択するのは,人間として何か間違ってると思うぞ.*5

*1:もちろん人を減らしてもきちんと機能する効率の良い組織作りが大前提ですよ.

*2:もちろん利益が鰻登りで増えている場合は別ですよ.でもそんな会社は滅多にないですよね.

*3:感覚的にはこんな感じ.
人数は倍増.仕事量も倍増.人件費も倍増.量的な生産性は5割減.それに加えて品質も5割減.さらに半年ほど経過すると酷使された主要メンバーから離脱者が出始める.そうなると新規メンバーの補充が死活問題になるが,優秀な人材などそうそう見つかるはずもなく,質より量で採用するようになり生産性と品質がさらに悪化し,悪循環に入る.一度そうなると「今月中に20人必ず採用します」というのが最も重要な経営課題になるのも時間の問題.ここまで来ると末期状態です.合掌.

*4:だから私はUMLモデラーが嫌いなんだ.ブツブツ...

*5:しかも,そういう選択肢を提示する人間のモラルが問題になることはない.

私とマイクロプロセッサ(2)---「ああ,これがアメリカだ!」

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20060510/237457/
メモ.嶋正利さんのIntel時代のエピソード

宿舎は,マウンテンビュー市のミドルフィールド・ロード(Middlefield Rd)とモフェット・ブルバード(Moffett Blvd)の交差点にあった。建物を見て驚いた。アパートは独身者専用で,日本では見たことのない,今のマンションのような建物だった。部屋に入ると,3 つの寝室,リビング・ルーム,ダイニング・スペース,シャワー付きタブ,電化製品が完備した台所があった。電気ヒーターは3つもあり,電気オーブン,自動食器洗い機,ディスポーザなどは見たことも聞いたこともなかった。
 ほかにもアパートには,自動洗濯機,乾燥機,プール,サウナ,ジム,ビリヤード,談話室などがあった。おかげで,ビリヤードの腕は一人前と言えるほどになった。日曜日になると無料でサンデー・ブランチが食べられたのもびっくりした。

電話が掛かってきて,すぐ部屋へ来いと言う。部屋に行くと,ロッキングチェアがあり,座ってみろと言う。何がなんだか分からないが座ってみると,IEEEで表彰されてもらってきたから最初に座らせたと言う。これには参ってしまった。

こういうふうに技術者の心を掴む経営者って日本にはいないだろうね.