「基盤系プログラマの実践的教育」ではなく,単にプログラマを育てる方法じゃないかな
http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20090429#p1
基盤系プログラマの実践的教育が必要だ
何かズレてる気がする.
PostgreSQLの開発者になるには、C言語の知識が必要だ。だけど、例えば大学のクラスルームで教えているようなC言語の文法を15回に渡って教えるような講座でPostgreSQLの開発者になれるか、あるいは即戦力的なスキルが身につくかというとほとんど身につかないし絶望的なまでに実践的ではない*1。C言語を操って大規模なソフトウェアに立ち向かうには、デバッグの仕方、テストの仕方、ソースコードの書き方ではなく読み方、ビルドの仕方、コミュニティとの付き合い方、質問の仕方、問題解決の方法などなど、総合的な実践力が必要なわけではあるが、そーゆー観点からC言語を道具としてとらえ教えているという話は寡聞にして知らない。あったらぜひ教えてほしい。
んなもんは独学で学んだけどな−.特に卒論修論を書くためには,バリバリコードを書かねばならんわけで.*1講義でやるのなんて,本当に触りだけ.ある意味で本当のプログラミング演習は卒研に入ってからじゃないかな.
snaga 2009/04/29 14:57 You should think education on computer science and engineering separately.
A good developer must be good at computer science and engineering. Computer science and engineering are different. DBMS theory is computer science, and PostgreSQL/MySQL are engineering (Computer science is theory, and engineering is practice).
A good developer can integrate them.
サイエンスとエンジニアの区別はよくわからんけど,おそらくその通りだよね.*2
大学くらいになると,自ら学ぶ姿勢のない奴は落ちぶれるのよ.大学は理論を学ぶには最高の場所だけど,プログラミングの大半はそうではない.そもそもセンスの無い奴はポインタと再帰も満足に使えないそうだし.*3 *4
id:viver
基盤系プログラマで食っていけるのかという不安があります。新卒の求人にPostgreSQLの開発で給料が貰える仕事があれば良いですが、それよりもSIerやISPの方が雇用が保証されていて、両親を安心させられるのではないかと思います。これでは「OSS利用者教育プログラムをやったところで開発者にはなれない」のではないしょうか。
うん,まったくその通り.*5
最近はSIerなんかも,とってもヤバイけどね♪
プログラマーにとっては,どの道も茨の道ばかりなので何を選択するかは完全に自己責任だけど,今の日本で基盤系プログラマを選ぶのは高リスクということは覚悟しておいて欲しい.*6
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20090429%23p1
- id:vierger You can participate the event of the OSS community and make friends with the hackers there. They would be willing to educate you.
- id:shinfukui 「基盤系の技術を学びたい」と思わせる何かがその前に必要だと思う。スタンフォード大学とかのシラバス見てると、そもそも興味ある人しか対象にしてないように思う。http://cs.stanford.edu/ 海外と何が違うのだろう。
- id:u_1roh うーん。問題の根は基盤系技術で成功している企業が日本にないことでは?じゃあどうすりゃいいんだ、と訊かれると返答に詰まるけど。
- id:thesecret3 問題は、現状のシステムは、そんな教育を受けた人が作ったわけじゃないという歴史的な現実について。普通にプログラマーの社会的地位を向上させるというのが一番かと。
要するにね,一番の問題は日本ではプログラミングは産業として成立していないので,日本に住んでいる限りはプログラマーじゃ飯は食えないってことなんですよ.*7
解答はこれ? → http://www.chikawatanabe.com/blog/2009/03/fukuzawa.html
- id:yuzuhara 学生の意見からすると,開発コミュニティにコミットするには「バイトにかける時間」ぐらいが必要で,しかし現実バイトしないとMac買えないので無理です.
そういえば,Linus氏も奨学金で食ってる頃に,奨学金で買ったPCを弄り倒してLinuxを創ったんだっけ?そういうことができるのも,才能に加え,金と暇と若さ*8が揃っていたからでは.日本みたいに理系狙い打ちで授業料の値上げを考えてる時点で負けの気がするね.
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その他
- 「高度なIT技術者の育成急げ 経団連が危機感抱き提言」http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20050620/p1
- 「情報処理技術者が不足?」http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20070401/p3
- 「IT人材派遣料、技術者不足で4割上昇」http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20070208/p2
- 「労働力不足の虚実」http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20070916/p3
- 「ハイテク技術者、米国人ならいらない」http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20071024/p1
*1:しかも本当に使う言語が何になるかは,研究内容が決まるまで分からないわけで.C言語の人もいればJavaの人もLISPやPrologやMLなんて人もいるし.もっともっとマイナーな言語の場合だってある.
*2:「○○社のXX社長は『MBAなど現場では役に立たない』と発言されていますが,これについてはどのようにお考えですか?」「トップがそういうのなら,彼の会社にはその程度の仕事しかないのでしょう.ちなみに我が社では,それなりのポジションにつこうと思えば必須ですがね.」(たった1%の賃下げが99%を幸せにする)
「技術など要らない.コミュニケーション能力が重要」と言ってる会社のなんと多いことか.
*3:http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20061203/p1
*4:ちなみに再帰は重要テクニックだけど乱用はあんましよくない.
*5:新人どころか中途採用でもないと思うぞ.そんな求人は見たことない.その手の開発は「日本国内ではやってない」というのが決まり文句だ.ユーザーサポートやプリセールスやローカライズくらいならありそうだけど,開発そのものは日本には最初から存在しない.だから,もし本気でその手の開発がしたければ,米国留学してシリコンバレーで就職というのが,最短コースなんではないだろうか.
もちろんとっても大変だとは思うけど,国内で探すよりはまだ可能性は高いと思う.
*6:安全ネットも命綱もなしでの綱渡り状態.少しでも踏み外せばあの世行き.
*7:まるで兼業農家のようにね.
「もちろん死なない程度には,補助金で食わせて貰える。だがそれは、結果的に自由社会で生きる上でもっとも必要な、自助の精神を確実に奪ってしまう。取り上げられそうになると熱心に反対するが、まるで明るい未来の見えない状態。それが当時からすでに、町全体に腐臭のように漂っていたのを覚えている。町を飛び出した連中は皆、そんな空気を嫌っていたのだ。」「右のような事実は、実際に農村部に住んだ経験のある人間なら誰だって理解している話だ。バラマキさえすれば農業は維持できると信じている人間も一部にいるが、そんなもので喜ぶのは、補助金目当てに片手間に田んぼを弄っている連中だけだ。」
あなたなら,補助金目当てで片手間にソースコードを弄くっている連中をプログラマーと認めますか?私なら認めないし,そんな風にだけはなりたくない.
*8:青臭いまでのね.これは情熱と言い換えてもいいかも.