その書評,書く前にちゃんと読んでますか? -「幼年期の終り」
- 読書ギーク記「突然現れた宇宙船。彼らは見事に地球を統治した『幼年期の終り』【小説感想】」 http://www.dokusyo-geek-ki.com/entry/2016/05/04/084859
- 作者: クラーク
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2014/08/08
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- 作者: アーサー C クラーク,福島正実
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/12/21
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http://b.hatena.ne.jp/entry/www.dokusyo-geek-ki.com/entry/2016/05/04/084859
- id:confusion8 あらすじ書いてアフィ貼って書評でござい、でそれを互助会経由でホッテントリってか。SFナメんじゃねーよ。みたいな罵倒コメがその筋から飛んできてるだろうなあと思ったらそうでもなかったので、僭越ながら私めより
- id:laislanopira 最初の三分の一のあらすじを載せただけか。小学生の読書感想文にも劣るエントリだ。最初の方のブクマコメ、「メモメモ」とか「それな」とか言ってんじゃねーーーよ
- id:filinion (この人、ほんとに最後まで読んだのか…?)
激しく同意.
とくに「幼年期の終り」は1部と2部と3部で雰囲気がガラリと変わる作品だから,1部の粗筋だけ書いて「統治した」で終わりって,たしかに全然読んでなさそう.
ネタバレを避けるためだとしても,
- カレルレンの姿
- なぜ人類の記憶にその姿が刻まれていたか?
- 彼らが人類の前に姿を現した真の理由
- 彼らの母星の秘密.
- 人類最後の男の選択
等々,たぶん読んでないから,そういう印象に残る部分さえ引用してないし,臭わせることもできない.
時にはそういう紹介もアリだけど,読書ギークを語るなら読みおえて面白かったかどうか書くべきじゃね.*1
「石女」なんて単語も良く覚えてる.ここ以外じゃどこで見たか覚えがない.
ここに,偉大にして高貴な,ほとんどすべての点で人類を凌駕する種族がいる.だが,彼らに未来は無い.そして彼らはそれを知っているのだ.この悲劇を前にして,ジョージ自身の問題は,突如として吹けば飛ぶような些細な物に思われてきた.
- id:nagaichi 俺的にはキモいSFナンバーワンに挙げてもいいくらいの後味な名作ですよ。これ読んだ後に、エヴァ旧劇とか見ると、思うものがあるわけですよ。
- id:go-ryu-fu サラシ巻いたリツコさんが太鼓叩いて終わるんでしたっけ。
あははははは.
- 作者: グレッグベア
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2015/10/15
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- id:akira2013web 異星人に統治されて、破壊ではなくてユートピアになるのは興味深い作品ですね(´・ω・`)ゞ
これは,分かっててやってるだろ.
http://b.hatena.ne.jp/entry/synodos.jp/info/7583
- id:DameKinoko カレルレン閣下が「恒星は人類のものにはならない」とおっしゃった時から、状況はそんなにかわってないと思うけどな
Childhood's End (S.F. MASTERWORKS) (English Edition)
- 作者: Arthur C. Clarke
- 出版社/メーカー: Gateway
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映像作品
ぐぐってたら,映像作品になってたことを初めて知った.
Childhood's End/ [Blu-ray] [Import]
- 出版社/メーカー: Universal Studios Home Entertainment
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http://www.cinematoday.jp/page/N0069186
http://igcn.hateblo.jp/entry/2015/01/11/132414
他にでっかい円盤ものだと,「V」*2とかインディペンスデイとかエイリアンネイションなんかもあったっけ.
特に「V」は一応無関係なはずだけど,「幼年期の終り」を原作にして侵略物B級SFに焼き直したリメイク作品と言っても良いようなでき.それこそ「アイ,ロボット」をアシモフ原作と詐称することに比べれば遙かにマシだ.
ただ、本の前書きで、クラーク氏が米国のTVシリーズ「Ⅴ」にふれていたのにはビックリでした。
「Ⅴ」というのは、今から30年くらい前(齢がばれるが今さらいいか)、レンタルビデオで大人気だったアメリカのシリーズもので、5本あったと思います。親戚のお兄さんが「やっと借りられた」と言って、私にも回してくれたので観てみました。
ひと口に言ってしまうと「侵略もの」のSFなのですが、1巻で「ビジター」(タイトルのVの意味のひとつ)と呼ばれる異星人が宇宙船で都市の上空に現れるシーンを見たとき、幼年期の終わりの映像化か!?とマジで思いました。 https://www.youtube.com/watch?v=0fDOdzY18XE
なので、船から降りてくるのは「カレレンのような姿をした者」だと待ち構えていました。
…ちがったけど。
私みたいなかけだしのSFファンですら「すわ、幼年期─?!」と思ったくらいですから、当時のSF好きの皆さんの反応は言うまでもないかと。
クラーク氏自身が、新版の前書きの中で「もし登場人物たちが会話の中で私の作品に触れていなかったら、『V』の初回を見るなり私は怒りで爆発していたに違いない」と書いているのです。もっとも、この宇宙船シーンはシオドア・スタージョンが先駆者であると付け加えられていますが。
「V」の中に「幼年期─」に触れているセリフがあったというのは憶えていません。その後の映画「インディペンデンス・デイ」の例のシーンも、前にならえという感じで。さすがにこれはダマされませんでした。いや、タイトルからしてそれはないし。(この映画の最後のほうの戦闘はほとんど少年漫画(;^ω^)…)
http://blog.goo.ne.jp/65724910jk/e/e38436f54a2123bf4c5e227ca30c5991
- 作者: クラーク
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ハリウッドから最近伝えられた情報によれば,「幼年期の終り」の映画化権の現在の提示価格は,私が1956年に何の不満もなく受け取った額の200倍に達しているそうだ.このまま永遠に映画化が実現しないとしても,大人気テレビシリーズ「V(ヴィジター)」のチャプター2で,「幼年期の終り」のよくできたバリエーションをすでに数百万人が見ている.
正直に認めよう.もし登場人物たちが会話のなかで私の作品に触れていなかったら,「V」の初回を見るなり私は怒りで爆発していたに違いない.だが,そこで思い出したのだ.シオドア・スタージョンが私より前にそのシーンを書いていたことを.1947年に ー そう,なんと47年だ!ー スタージョンは忘れがたいタイトル ー と結びの一文 ー を持つ作品を発表した.「空は船でいっぱい」.*3
空は船でいっぱい―SFマガジン・ベスト2 (ハヤカワ文庫SF)
- 作者: シオドア・スタージョン他,浅倉久志,伊藤典夫
- 出版社/メーカー: 早川書房
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あれは1941年の美しい夕暮れ時だった(中略)何十もの ー いや,何百もの鈍い輝きを帯びた銀色の防空気球がロンドン上空に浮かんでいた.その寸詰まりの魚雷を思わせる物体は夕日の最後の光を跳ね返してきらめき,その様はさながらロンドン上空で待機する宇宙船団だった.長い一瞬が過ぎた.その間に,私たちは遠い未来を夢見た.空似鋼鉄のフェンスを設けさせた戦争のことなど,そのときは頭からきれいに消えていた.ひょっとしたら,「幼年期の終り」のアイデアはあの瞬間に生まれたのかもしれない.
*1:たとえば「今年発売された技術書 人気ベスト10」みたいなのなら読まないで紹介だけでもいいと思う.
これが(紹介ではなく)「【小説感想】」とまでタイトルに書いておきながら,中身は全く読んでません」じゃタイトルに偽りありだ.
*2:"V ビジター"などと書かれることもある.なにせ"V"の一文字だと激しく検索し難いから.検索しにくさが此ノ木よしるの「SE」以下なのはこれくらいじゃね.
*3:"The Sky Was Full of Ships" http://ameqlist.com/sfs/sturgeon.htm