AlphaGo vs 柯潔 第二,三戦メモ

AlphaGoは柯潔九段に三連勝した.

WIRED

囲碁AI「AlphaGo」2連勝、人類最強の先に見えたもの:現地レポート」

http://wired.jp/2017/05/25/future-of-go-summit-day3/

果たして、AlphaGoは負けそうと「思って」いたのか。DeepMindのデミス・ハサビスは、このように説明する。「コントロールルームの表示では、50手の段階まで柯潔の手は完璧だったと分析されていました。そして、その後の100手までは新しいAlphaGoと、これまでのどの対戦相手よりも競り合っていました。本当に接戦だったのです」。若干19歳の柯は、その言葉に「お世辞だと思います」と、はにかんでいた。

また同じ会見で、柯は「AlphaGoとの対戦を通して、自分が碁の50%しか理解していないことがわかりました」と語った。これに対してハサビスは、「自分たちは柯潔のような伝説的ともいえる棋士とコラボレーションをすることで、囲碁の100%を超えていきたい」と返した。

またハサビスによれば、AlphaGoが互いに対戦することで学習を行ったとしても、自動的に強くなっていくわけではない。学習の途中で、開発者が理解できない予想や結果が出た場合などには、囲碁の専門的な知識が必要になる。そんなときは、開発チームにいる棋士、ファン・フイに何が起きているのかを分析してもらうという。世界一の棋士を超えたとしても、AlphaGoは人間である棋士の力を必要としているのだ。

「「AlphaGo」という“神”の引退と、人類最強の19歳が見せた涙の意味:現地レポート」

http://wired.jp/2017/05/28/future-of-go-summit-day5/

そして「人類最強」を超えたAlphaGoは、そのまま囲碁から「引退」することになった。

AlphaGoとしてはしかたないかな.当初の目的は達成したし,研究としては次の段階に移る.*1


ただしディープラーニング囲碁に有効であることが既に示されていて,基本的なアイデアも論文を通じて公開されてる以上は,希望者がいれば第二第三の囲碁AIが登場するだけだろう.プロ級の囲碁ゲームがパソコンやスマホで楽しめるようになるのも,そう遠くない話かもしれない.

ただ、発表の場にいた棋士のなかには、学習のために行われたAlphaGo同士の膨大な対局から50局分の棋譜しか公開されないことに、不信感をもつ棋士もいた。少なくとも100局以上の棋譜を分析しなければ、AlphaGoへの理解を深めることは難しいという。発表後すぐDeepMindのサイト上には10局分のデータが公開され、会場の棋士たちはスマートフォンを凝視し議論を始めていた。

nitro15

http://nitro15.ldblog.jp/tag/AlphaGo

柯潔「3局は白番にしてほしい」2局が終わった後の記者会見

http://nitro15.ldblog.jp/archives/50107871.html

-少し前デミス・ハサビス博士がコ・ジェ9段が完ぺきだったとおっしゃったがどんな意味だったか?

(デミス・ハサビス) “私は調整室で価値網を見ていた。 50手までAlphaGo価値網はコ・ジェがとてもよくやり遂げていると評価した。 完ぺきだったし素晴らしかった。 100手付近までは薄氷の勝負であった。 両方すべて勝つ確率があった。”

-右上隅に初手を打つのが普通だ。ところが右下に打った。

(デミス・ハサビス)“AlphaGoは上辺と下辺を区分できない。 申し訳ないと考える。 (一座拍手して笑い)
(コ・ジェ) “人間ならば意図が気になるがAlphaGoとして見たら平安なだけだ。”

2ch名人

三村囲碁JP

http://mimura15.jp/archives/category/ai

The Future of Go Summit2感想

http://mimura15.jp/archives/2084

The Future of Go Summit3感想

http://mimura15.jp/archives/2090

Wired 「囲碁AI「AlphaGo」と中国棋士の対戦は、「グーグルと中国」の闘いでもある」

http://wired.jp/2017/05/25/google-unleashes-alphago-china-good-luck-watching/

しかし、この対局は限られた人しか観戦できなかった。イヴェント関係者によれば、中国の国営テレビは数日前に、この対局の生放送を行わないことに決めたという。中国当局との関係が深い地元のインターネットサーヴィスプロバイダー(ISP)は、対局中の約30分間、国営放送以外の中国語による放送を停止した。地元の報道機関はこの対局を取り上げたが、多くの読者はニュースで「グーグル」という名前が使われていないことに気づいている。もちろん中国当局の圧力によるものだ。烏鎮からの英語放送については、この影響を受けなかった。

しかし、そのインターネットでさえ、対局の様子を現地の人々に配信することはできなかった。

Techcrunch

「トップ棋士に3連勝したAlphaGo、引退を表明」

http://jp.techcrunch.com/2017/05/28/20170527googles-alphago-ai-is-retiring/

囲碁発祥の地とされる中国で、世界トップレベルの棋士と連戦することは、AlphaGoにとっても進化のための最高の機会となりました。このような最高の機会を経験し、AlphaGoは引退させることといたしました。

今後、AlphaGoの開発チームは「次のレベル」のための開発に注力することとなります。アルゴリズムをより汎用的なものに改造し、この世の中に存在する複雑な問題を解決するためのお手伝いができるようになればと考えています。想定しているのは、病気の治療方法の発見や、消費エネルギーの劇的削減、革新的な新素材の開発などです。

「医療分野においても、AIが新たな知識や問題の解決法をもたらすことができれば、これは大きなブレイクスルーとなるわけです。はやくそうした場での活躍を実現したいと考えているのです」とHassabisは述べている。

そのようなわけでAlphaGoは囲碁から離れることになる。但し、ただちに完全に手が切れるというわけではない。DeepMindは、イ・セドル戦からのAlphaGoの進化過程を報告書としてまとめる予定なのだという。また、囲碁初心者が囲碁の魅力を知り、また経験者がより高いレベルになるための学習ツールの開発も行なっているのだとのこと。

GoogleがAIスタートアップ育成専門のVCを立ち上げたらしい」

http://jp.techcrunch.com/2017/05/27/20170526google-has-reportedly-launched-a-new-ai-focused-venture-capital-program/

Axiosの記事によると、Google人工知能にフォーカスした新しいベンチャーキャピタル事業を立ち上げたようだ。

Googleがコメントを拒否したその記事は、新しいVCの立ち上げは長年Googleのエンジニアリング担当VPだったAnna Pattersonが指揮し、Alphabet Inc.のVC部門GVで仕事をしているベンチャー投資家ではなく、エンジニアたちの輪番制で起業にあたった、という。

GoogleのCEO Sundar Pichaiが先日のI/Oカンファレンスで“モバイルファースト”から“AIファーストへ”、と宣言したぐらいだから、同社がAI専門の投資部門を立ち上げても不思議ではない。

AlphaGo同士が対戦した棋譜を公開

http://b.hatena.ne.jp/entry/s/deepmind.com/research/alphago/alphago-vs-alphago-self-play-games/
  • id:keloinwell AlphaGo vs AlphaGoの棋譜。序盤は初心者っぽい。中盤から訳が分からなくなる。定石という局所最適化を無視して、全体最適化を選んでいるのだと思う。
http://b.hatena.ne.jp/entry/blog.livedoor.jp/itsoku/archives/51379216.html
  • id:fb001870 囲碁自体分からんのが悔しいなぁ。でもなんとなく、常に全体を見るからストーリー性がなくて意味不明っていう評価、分かる気がする
  • id:ookitasaburou すでに20局分が公開されているが、AI同士の棋譜は人間の理解では追いつかない部分が多く、困惑している囲碁ファンが多いもよう。

その他AI関連ニュース

同時期のAI関連ニュース.イセドル戦以降は,AIや深層学習はバズワードの一つとなった.

進化を続けるアルファ碁 最強囲碁AIの全貌 (囲碁人ブックス)

進化を続けるアルファ碁 最強囲碁AIの全貌 (囲碁人ブックス)

*1:チェスマシンのDeepBlueもそうだった.カスパロフに勝利したのを最後にプロジェクトを終了した.