「プロマネ残酷物語」を終わらせるために

http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20050712/164418/

コメントより

プロマネ残酷物語と言うけれど、IT業界ではあたり前のことでは。日本人のプロマネのなり手がいなくなれば、むしろ海外(インド人、中国人)の人をプロマネにするなどが考えられる。(中略)プロジェクトの共通語は英語になり、ついていけないエンジニアには退場願いたい。(40代,その他,経営者 )

たしかに当たり前だ.「プロマネ残酷物語」「技術者残酷物語」いつものことだ.しかしそれを「失敗確実なプロジェクトの責任を取らされるのがプロマネの仕事だ.それに文句があるプロマネなど不要だ.」或いは「社員が働かないから赤字なんだ」と言わんばかりの経営者には呆れ果てる.「責任者」という言葉の重みを理解していない.
外国人技術者をひっぱってくればいいというのは机上の空論.そういう人材がいないとは限らないが,日本語を含むバイリンガルマルチリンガルな言語力に加えて一流の技術力まで兼ね備えた人材を雇うとなると,それに見合った待遇を用意しなければなるまい.しかしそれができる企業が多いなら「プロマネ残酷物語」が日本の常識となることもなかっただろう.

プロジェクトの共通語が英語というのは違うだろ.たしかに技術者たるもの英語くらいはマスターすべきだが,残念ながらプロジェクトの大半は顧客折衝その他諸々を含め日本語にならざるを得ない.お客の側の共通語が英語だというのなら話は別なのだがね...

若い技術者が「プロマネになりたくない。コンサルタントやアーキテクトになりたい。」ということは「ドロドロした現実の実務はしたくなく、新技術の紹介や用件定義や設計などの上流工程での理想論を述べて逃げてしまうほうが楽である。」ということではないだろうか。

まず第一に,「IT技術者」と呼ばれる者の多くは技術者ではない.技術者ではないため,ドロドロとした生の技術に触れるとあっさりその化けの皮が剥がれる.ゆえに開発者やプロマネにはなるのは無理がある.そういう者達は要件定義やUMLモデリングなどの『上流行程』という名の机上の空論の世界に逃げるしかなくなる.
第二に,今の日本で本物のIT技術者には生きる道は多くはない.そういう人達もいることはいるが,縁の下の力持ちか或いは日陰者であるため,スポットライトを浴びることはまずないだろう.
本来プロマネとはIT技術者とマネジメント力を兼ね備えた者がなるべき職業だ,それゆえに元々なり手が少なく,それなりの待遇を用意しなければ後継者不足になるのは当然の結果だろう.その少ないなり手をあの手この手で潰すのが経営者だというのなら,そんな企業は潰れた方が世のためだ.


ちなみにPMBOKCMMについては,情報処理技術者試験と同程度には役立つ代物だと思っている.*1

*1:言い換えればほとんど役に立たない.所詮PMBOKなどはペーパードライバーの持つ運転免許に過ぎない.