三菱重工の客船事業撤退に見るシステム開発
- Togetter「三菱重工の客船事業撤退に関する事業報告書の内容が吐きそうな程酷い…」 http://togetter.com/li/1038490
- 三菱重工「客船事業評価委員会の報告に関する説明会について」https://www.mhi.co.jp/notice/notice_20161018.html
メモ.
既視感すげー.
- 「インド洋で商船三井のコンテナ船"MOL COMFORT"が嵐で真っ二つ」 http://blog.goo.ne.jp/yokohama_mountains/e/0ed0e6a9cf342824a32f4568ff58919e
- 「日本のコンテナ船“MOL COMFORT”沈没原因調査の最終報告書」 http://blog.goo.ne.jp/yokohama_mountains/e/7b9e0c33c7cab809134d9e9b15daa8de
「三菱重工が大型客船事業から撤退へ 中小型に絞り込み、商船は分社化や提携を模索」
http://www.sankei.com/economy/news/161018/ecn1610180029-n1.html
三菱重工の客船事業をめぐっては、米クルーズ船大手から豪華客船2隻を受注したものの、納期が遅れて計2375億円の巨額損失を計上していた。4月に立ち上げた事業評価委員会は大型客船について、「中国市場の成長で一定の需要が続く一方、将来的には建造能力に余剰が発生する」と指摘。コスト面でも「欧州メーカーに対し不利」な点を指摘し、事業継続は得策でないとした。
この件に対する報告会だったのだろう.
余剰能力云々以上に,コスト面で不利ってやばくないか.どこかで見た図式だ.
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東洋経済ONLINE「客船でまた巨額損、三菱重工がはまった泥沼」
http://toyokeizai.net/articles/-/52567
今期の特損に計上するのは、新たに発生が見込まれる追加費用分。「アイーダ社と最終的な仕様を確認していく中で、パブリックエリアやホテル部分に関して、再び設計のやり直しが大量に生じてしまった」(野島龍彦CFO)という
やーめーてー (#`Д´)ノノ┻┻
だが、そのもくろみは完全に外れた。問題となっている客船の受注金額について三菱重工は公表していないが、2隻合計で総額1000億円前後と見られる。1000億円で受注した客船2隻を作るために1000億円以上の損が出るのだから、開いた口がふさがらない。
ここで経験不足が露呈した。これまで三菱重工が手掛けてきた客船は、すでに同じ設計の船が存在し、あらかじめ仕様が決まっているものだった。今回、アイーダ社から受注したのは新型客船の「1番船」。初の船型となるため、仕様を含めて一から協議して設計を決めていく必要があった。
当然、1番船は相手側の意向で仕様が変わる可能性があり、追加費用が発生するリスクも大きい。本来なら、そうした費用負担の扱いについて契約書の中で細かく明記しておく必要があるが、三菱重工のリスク認識が甘く、契約書の中で十分なリスクヘッジが行われていなかったと見られる。
日経新聞「赤字2300億円 三菱重工の大型客船に乗ってみた」
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO01967040W6A500C1000000/
船内ではあらゆる機器がデジタル制御され、Wi―Fiも使えるという。ここが三菱重工の約10年のブランクの間に変わった部分の一つといえる。デジタル化に伴い、内部に張り巡らされる配線の数が膨大、かつ複雑になったのは容易に想像できる。例えば、セレモニーに使った3層吹き抜けの多目的シアターの天井にぶらさがる照明。直径3メートル、重さ900キログラムの照明には50万個の発光ダイオード(LED)が埋めてある。ショーの内容にあわせて電子制御する仕組みだ。
50万個全部を個別制御するわけじゃないにしても,従来よりは配線長も複雑さも桁違いになりそうだ.
そしてテストとデバッグも...配線が終わってからバグが見つかったら,デバッグは地獄だ.*1
広さ3100平方メートルもあるスパにはゆったり海を眺めながら休めるスペースもある。内部には5つのサウナがあり、フィンランドから大量に取り寄せた木のサウナまであった。
プリマは主にドイツ、英国、ベルギーなど北部欧州で旅する。「当然乗客にはビール好きの客が多い。タンクからドイツ製で完結している」。バイエルン地方の衣装に身をまとったアイーダの社員セバスチャン氏が説明してくれた。ビールタンクもありその場で醸造したドイツ著名ブランドのビールが楽しめる。
欧州ブランドは各所で見かける。コーヒーメーカーは高級ブランドの独WMF製。さらにトイレの便器は独デュラビット製。残念ながら欧州流のため、海外暮らしの日本人に恋しい温水シャワーはついていない。
豪華客船なのでサウナが充実してる一方,豪華客船なのに温水シャワーがないというのは,日本人では予想外だったのではないか.
ドイツ製のビールタンクの据え付けとか,その度に細部の仕様変更が発生したりすると,そら赤字も膨れあがるわな.
朝日新聞「三菱重工の客船建造、岐路に 客室デジタル化遅れ大赤字」
http://www.asahi.com/articles/ASJ8V44R1J8VULFA00D.html
次の受注は11年。ドイツのアイーダ・クルーズに納入する大型客船2隻を受注した。ところが、客船造りを休んでいた10年近くの間に世の中はデジタル化が進み、客室すべてにネット設備を設けるのが当たり前に。ノウハウがない三菱重工は手間取り、設計遅れや建設やり直しで大赤字になった。
*1:「これが本当のスパゲッティ・コード」ってか.放火したくなる気持ちも分かるなあ.