納期を守るための裏技術、あなたもやってますか?

http://slashdot.jp/askslashdot/05/12/22/1033227.shtml
メモ

裏技術と言うよりは,これこそがSIの無能な上司の下で「生き残る」ためのコアコンピタンスなのでは.これができなきゃ潰されるだけ.*1

俺の場合は鬱になって、休職。
その後、結局、復帰する事無く退職した。
(中略)
逃亡(退職)したことは全く後悔してません。
後悔があるとすれば、鬱になる前に逃亡するべきでした。
おかげで、今は少しトラウマがあって、同じような仕事の企業に再就職する気が起きません。
かと言って、前職の経験が生かせないような企業に再就職するのも難しいですし。

うわあ...よく理解できる.

今の職場の体制に無理があるなら、上司に相談、改善要求を出して、改善する気が全く感じられ無いようでしたら、辞めちゃったほうが傷口が広がらずに済みますよ。

「傷口が広がる」というのは,

時間が経てばたつほど歳をとり,持っている技術は陳腐化し,そして「年齢に見合う経験や技術力がない」ということで時間が経ったことが転職に決定的に不利に働くようになる.
http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20051110#p1

ということかな?
これも正にその通りです.若い内ならやり直しが効きます.歳を取ると,もう二度とその泥沼から抜け出せません.この世界から足を洗うのに早すぎるということはありません.

一般人から見れば些細なことに見えるような小さなきっかけからこれからの惨状を予見できたような凄い人かもしれない
連戦連勝の報が国民を沸かせていたにも関わらずミッドウェー海戦の敗戦だけで日本の太平洋戦争敗戦を予見するようにね

予見だけできても嬉しくないぞ.*2

それにしても,本来ならばこの能力は経営者やマネージャーには必須の基本的なものだと思うのだが....書類弄りと現場の脅迫だけが「管理職」の仕事じゃない.

戦力の逐次投入をやってはいけない最大の分野がソフトウェアだと思う。

ブルックスの法則」かな?

不勉強で現場認識の甘い脳天気な経営者と管理職の連中は知らないが、現場で修羅場を経験したことのある人間なら誰しも知っている、「遅れているソフトウェアプロジェクトへの要員追加はさらに遅らせるだけ」という至極当たり前のことを述べたもの。
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley/5634/t82D3_0010.html

会社の中枢に 人事とか総務とか経理、営業など技術の現場を知らない人間が巣食っているせいです。彼らには 技術的な能力を測ることができません。
彼らが持ち出すのは「やる気」とか「責任感」といった オカルトな精神論で、その実証形態は「会社への忠誠心の発露」です。残業であれ、サービス残業であれ、会社に時間や精神を費やす行動でのみ測るのです。
最近、ちょっと小賢しい人事関係者はこうしたオカルト精神論では突っ込まれてしまうので、スキルの顕在化などと称して、社内でしか通用しない資格や研修を並べ立て、それら無意味な作業をこなすコトを「スキル証明」として強制しはじめています。
こういう人間を会社から排斥できないかぎり、技術者は消耗材として消費されるだけです。

で,結局これらを排斥できるのはCEO,最高経営責任者しかありえない.しかし下手をするとCEO自らが「技術の現場を知らない人間」の一人だったりする*3.それでも経営できるつもりなんだから恐れ入る.

でもいいんじゃないですか? 子供たちは理科離れするというマトモな判断をしているんですから、次世代で日本が衰退すればいいんです。

次世代まで持つかなあ?現場の感覚からすると既に待ったなし,或いは手遅れじゃないかという感じがしている.

ソフトウェアの生産性は、個人差が10倍は有ると感じています。

マイナスの分を除去しても最低でも10倍以上が定説.実際には「マイナス」があるのでそれ以上の差がある.

つまり、優秀なプログラマが1日で済ますことのできる仕事を、そうでないプログラマに任せると最悪の場合には約1ヶ月の期間を要するということである。(中略)つまり、できないプログラマの生産性は、実験であればゼロなのだが、現実のプロジェクトでは他のメンバーの仕事を増やしてしまうためマイナスになるのである。もし、できないプログラマの存在確率を10%と仮定すると、7名のプロジェクトチームに生産性がマイナスのプログラマが1人以上含まれる確率は半分以上(52%)になってしまう。
http://hotwired.goo.ne.jp/original/maegawa/050118/

でこの改善に、巷で(ちょっと前に)流行りの「能力主義成果主義」考課がまるで役に立たないのが現実です。(中略)
2 「能力」は客観(数値)化が難しいので実質「成果」だけが評価されるが、それが公正(実質的に能力が反映される)になる前提としての適材適所が為されず、結果上司や業務(や顧客)等の運(当たり外れ)に依存した恣意的な評価しかできない。そもそも従業員のキャリアを組織的に掌握(管理)していないので、マクロ的にも適材適所は不可能。

もっと言えば,上司の機嫌を損ねると赤字案件に『左遷』されて,予定通りに赤字が出たら成果主義の名の下に合法的に給与削減が実行される.
実際にはそこまで計画していなかったとしても,技術の現場ではどの案件がヤバイとかは概ね予想がつくものだ.運良くその案件から逃げられた人は能力が低くても『成果』が出るし,運悪くその案件に回された人は能力が高くても『成果』が出ない.*4しかも能力が高い人ほど,一般に困難な案件に回される率が高くなるから,『成果』がますます出し難くなる.
結局,技術の現場を知らない管理職には成果主義の運用など不可能だということだ.そうするための能力が決定的に欠けている.

*1:200%の成果を出せば上司の成果.過重労働で潰される分には本人の責任.これじゃ誰も200%の仕事はやらんわな.
赤字案件を取れば営業の成果.赤字が出れば開発の責任.一体誰が....

*2:船長が「大船に乗ったつもりでいたまえ」と自信満々な時に,「氷山とぶつかった以上,この船が沈むのは時間の問題で,その時には救命ボートに乗れなかった約半数の人間が氷の海に沈んで凍死する.自分もその中の一人だ.」ということが予測できて,一体何が嬉しいか.どうせなら船に乗る前に知りたかったよ.

*3:経営幹部を指して「経営患部」と言われたりする.

*4:同様のことは営業の現場でもあるだろう.金払いのいい顧客を担当すれば売上は上がり,今まで手がけたことのない分野の新規顧客の獲得は成果が出にくい.それで売上のみで一律評価すれば,運悪く新規顧客開拓に回された人が馬鹿を見る.