続・エイプリルフールは終わったんだが...

http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20070403/p2の続き.*1

http://blog.so-net.ne.jp/seiho_tandoku/2007-04-05

深読みして差し障りを感じるとすれば、それは単なる邪推かと思われます。

別に深読みなんてしているつもりはないですよ.

それに,そのままの意味で理解して誤解を与える文章を書くようでは研究者失格です.

とりわけ、「そもそも何を作るか」というソフトウエアの目的追求に力を入れることが重要だ。猿性によって、変化する目的を追いかけることも大事だが、やはり最初にできる限りぶれない目的を明確にしないとまずい。そのための技術もある。最近のソフトウエア工学で注目されている「要求工学」がそれである。

にて「まずい」や「すべきである」という、やや押し付けがましい表現で述べていながら、

極端思考を排除する
(以下略)

臨機応変性で結んでいる点。勿論、論点の是非は定かではないのですが。

まあまさにこの部分が一番の問題ですね.


ここでいきなり論理が飛躍してます.或いは論理が破綻していると言ってもいい.

要求工学なんて全然注目されていないのに,まるでそれが注目を集めていて重要なものであるかのように思わせています.この部分にはまるで素人を騙そうとしているかのようにしか思えない不自然さがあるのです.*2

またXP自体も従来の技術の延長にあるごく自然な進歩で,従来手法の否定が目的ではありません.数十年に渡るソフトウエア分野の技術進歩により,従来では正しいとされてることが時代に合わなくなったことが,その背景にあります.*3この辺りも元の文章では一切触れられていません.

日本人が極端思考に陥るのは、理想主義者の強制とそれに追従するメディアが引き起こすものだと思っていますが、なんとなく、全体として言わんとすることは結びの「極端思考を排除する」でありながらも、「日本が取り組むべきこと」の限定性がそれを誘発する記事に思えてなりません。

あえて邪推というのなら,
「この記事は「XPは悪だ.アジャイルは悪だ.」「『要求工学』最高!『要求工学』バンザイ!」「ウォーターフォールCOBOLerも,まだ生き残れるぞ」という極端思想を,読者に植え付けるためだけに書かれたのではないか,中庸云々という結論さえも,その悪意を包み隠すためのオブラートに過ぎない.」
とさえ思える.或いはそうとしか思えないのが,この記事の問題なのです.

http://www.igda.jp/modules/xeblog/?action_xeblog_details=1&blog_id=434

アジャイル法が登場すると、あたかもそれを公理と受け止め「アジャイル法さえ身に付ければそれでよい」「従来手法は不要」と言い出す。あるいは「アジャイルなど使えない」と一方的に無視ないし反発する。(以下略)

あたりが重要なのではないでしょうか?

ある意味でその通りです.


元の文章全体を要約すると

  • 要求工学が注目されている.要求工学は重要だ.
  • アジャイルが出てくると「それが最高だ」という意見が占めるのは,「極端だから」良くない.
  • エクストリームプログラミングは「極端指向」だ.*4
  • それについての根拠は何も述べていない.この部分でいきなり論理が飛躍する.

というところでしょうか.

上記引用部分こそ,この文章の悪意そのものです.

林先生は、数学、計算機科学、数学史を専門とする研究者です。文学研究科にいるのは、近年、数学史研究に比重を置いているためです。

まるで熱力学の専門家が,自動車業界や航空機業界に口出しするようなものではないですか.


何を考えて畑違いの分野に口出しして墓穴を掘ったのであろう?

*1:まさか続くとは思わなかった

*2:そも「要求工学」などとご大層な名前を付けてはいるが,それは要するに旧態依然のカビの生えたウォーターフォールにおける上流工程や要求分析の焼き直しに過ぎない.ウォーターフォールの持つ致命的欠陥を補完してくれる,銀の弾丸ではありません.

*3:数十年前から一歩も進歩しない旧態依然のままの人の目には,XPは全てを否定しているように見えるかもしれない.なにしろ彼らの知識は太古のものなのだから.蒸気機関が全てと思っている設計技術者にとっては,ジェット機ガスタービンの設計技術は彼らの持つ知識を全て否定しているようにさえ思えるだろう.

*4:あえて邪推すれば,「XPは日本には合わない」という誤解を与えるのが目的.