「開発プロセスの功罪」

http://blog.uzushio.org/?date=20050611#p03

開発プロセスにより低レベル開発者でも高い生産性と品質が得られる」という幻想は、現場では結構盲目的に信じられていることなんじゃないかな

いや,信じているのは経営陣と,経営陣などからそう言われ続けた初心者開発者だと思う.

「高い技術を持った開発者を前提とした場合に、さらに開発プロセスというものがあることにより、高い生産性と品質が得られる」という話なんじゃないか。

これには賛同しかねます.いわゆる「開発プロセス」というものを策定したからと言って,生産性や品質が向上するという根拠もなければ,経験的に言っても向上するとは考え難い.少なくとも開発者の足を引っ張る「開発プロセス」の方が多いのは事実です.
有効な対策としては,むしろ優秀な技術者のベストプラクティスを広めることだろうが,これについては評価制度との関係もあって,実現は遙かに困難でしょう.なによりも「何がベストであるか?」を判断するのが,素人にはできない.

しかし、今の業界では「開発プロセスでなんとかしよーぜ」という話よりも先に、「技術力のある技術者をちゃんと育てようぜ」の方が優先度が高いんとちゃうか?

これは正にその通り.しかし残念なことに技術者を育てるには非常に時間と手間が −つまりはコストが− かかる.それだけのコストを負担するよりは,遙かに簡単で安上がりな方法 −「開発プロセス標準化」という名の幻想− に騙されたと思って飛びついてしまう方が多いようだ.*1
そうでない場合もあるけれど,これは即戦力に期待する中途採用の増大という形で,水面下で進められてます.中途採用を増やす企業としては,できるなら自社に求められる経験豊富で優秀な人材を他社に先んじて確保したいから,あまりおおっぴらに宣伝するのは避けたいわけだ.

*1:そして本当に騙されていれば世話ない.