koboメモ(その2)
自分はkoboについては「そんなに大したことないなあ」と思ってます.
koboは電子書籍リーダーとしては及第点だし,今までAndroid端末とかiPadとかで読んでいた人にとっては「悪くない新製品」だけど,ハードウエア単体ではKindle Touchと互角かやや劣るくらいで運用やサーバーやサポートで数段劣る感じ.*2価格面でも大差ない.今後のコンテンツ次第では巻き返しもありえるが,自分としてはこれも望み薄だと思う.出版社としては楽天にのみ出す必要性があまりないので「楽天にある本はAmazonにもある」ということになり,差別化できないと思うから.
楽天がなにかすごく良い条件を出版社に提示すれば,楽天にのみある本も増えるだろう.しかしAmazonがよほど理不尽な要求をしていない限りは,そのような過度な譲歩は楽天自体のクビを絞める結果になる.だから最終的にはコンテンツでの差別化はかなり難しいと思う.*3
そうはいっても今まで電子ブックリーダーに(特にKindleに)触れてこなかった大多数の日本人からすると,「安くて,軽くて,バッテリーの持ちがすごく良くて,必要な機能が一通り揃っている優れた電子ブックリーダー」であって,画期的な製品と言っても良いのだろうね.*4
電子ペーパーを使った(小型)電子ブックリーダーの長所短所.
一応Amazon Kindleを想定しているけど,楽天koboでもほとんど同じだと思う.
基本的なことばかりだけど,だいたい以下の通り.
長所
- 軽い.電車の中で片手で立ち読みが楽勝なレベル.iPadで立ち読みはかなり辛い.
- 極めて消費電力が少なく,電池が長持ち.普通に毎日使っていて余裕で一週間以上.電池が残り少ない表示が出てからでも半日以上もつくらい.*5
- 多くの書物を常時持ち歩ける.電子書籍で優に千冊以上
- リーダー専用機の他に,Win,Mac,iPad,iPhone,Android端末用アプリが存在し,それらの間で共有できる.http://www.amazon.com/gp/feature.html?docId=1000493771 *6
- ブックマーク,マーカーやコメントが気軽に書き込み,消去できる.
- ブックマーク,マーカー,コメントが複数のリーダー,PC間で同期,共有できる.
- 全文検索できる:必ずしも早くはないので注意.大量に検索する場合はPCからの方が楽.
- 知らない単語はその場で辞書が引ける.特に外国語の書籍を読んでいる場合は大きなメリットになる.
- 文書内に埋め込まれたリンクを行ったり来たりするのは簡単.たとえば「10章の『ウォーターフォールの欠点』で説明したように」の「ウォーターフォールの欠点」が当該部分へのリンクになっていれば,そこをクリックして説明を読んで,戻るボタンで元のページに戻れる.
- 字が拡大/縮小できる.歳を取るとこれが大きなメリットになる.*7
- 直射日光でもハッキリ見える.南の島でのバカンスには最適.
- 視野角は非常に広い.おそらく上下左右90度までOK.
- インターネットがあれば,どこでも書籍を即購入できる.家でも職場でもバカンスで外国に出かけている合間でも.
- 対応コンテンツでは音声読み上げ機能が利用できる.サウンドノベルも数多く発売されている.
短所,制限事項
- ページ送りの時に一瞬黒く反転する.慣れればどうということはないが,液晶と同じと思ってる人の中には欠陥だと騒ぐ人もいる.
- 描画が遅い.画面送りもモッサリだし,スクロールは我慢できないレベルで動画は論外.よってスライダーやスクロールバーのようなUIとの相性は最悪.*8 *9
- ページをパラパラと連続してめくるのも無理.連打しても,遅れてかろうじて反応する程度.*10
- UIに慣れが必要.上記の理由でUIが一新されている.
- ブラウザに至っては,あくまで実験的機能と割り切ること.Wikipediaで単語を調べるくらいならともかく,普通のブラウザと同じような使い方はできない.*11
- 現時点では暗いところでは見えない:これは液晶と同じで,ライト無しだとそうなる.最近の液晶が暗いところでも見えるのはバックライト付きが多くなったためであって,本来の液晶は透過光を遮断するもの.電子ペーパーでもオプションのフロントライトを付ければ可能.フロントライト内蔵Kindleも近いうちに出る可能性アリ.
- モノクロ.電子ペーパーのカラー化も研究されてはいるだろうが,
まだ搭載端末は実用化されてない.*12
訂正:コメントによると,一応製品化はされていたらしい. http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1207/13/news019.html - 長いコメントを入力するのが面倒(PCからならば,かなり楽になる)
- コメントに図を書き込むことができない.(将来的には可能性はあるかも.)
- 同様に,図にコメントを書き込んだり,図に注釈を付けたりもできない.
- 複数ページ間に指を挟んで行ったり来たりするのは不可能.たとえば「38pと112pと410pに指を挟んで前後に移動しながら比較して読む」みたいなことはできない.「メニュー→go→ ページ→ 112→ 決定」みたいな形での移動はできるが,頻繁な移動は手間がかかる.
複数の電子ブックリーダー,PC,iPhoneのように,複数端末を並べてそれぞれ別のページを開いて比較することならば可能. - 対応書籍が少ない:Kindleは膨大な書籍があるように思われてるかもしれないが,それでさえも欲しい書籍が電子化されてない場合は少なくない.楽天ストアだともっとなようだ.
- 画面サイズが小さいので,自炊したPDFや画像データの閲覧には向かない.可能としてもせいぜい文庫や新書サイズ程度までだと思う.*13 *14
気がついたら追記するかも.
マイナビニュース「楽天が提案する「kobo Touchの楽しみ方」は本当に可能か確かめてみた」
http://news.mynavi.jp/articles/2012/07/23/kobo_touch_review/index.html
kobo Touch」を手に持ち、片手でつり革をつかむ。電車内でのスタンダードな読書スタイルではないだろうか。手に持った「kobo Touch」の重さは先ほども書いた通り185g。平均的な文庫本1冊程度に収められているため、それなりの時間持ち続けていてもまったく負担に感じることはない。つり革をつかむ場合、片手で楽々キープできる重さなのも高ポイントだ。
ただし、大きさが文庫本よりも少し大きく、また紙のように曲がるわけではないので、片手で持った場合のホールド感にはやや不安が残る。筆者の場合、持った手の親指で画面をタッチし、小指を本体下部に当ててホールドするというスタイルなのだが、長時間その態勢を続けるのは小指的に辛かった。
たぶん持ち方が良くない.下端をつまむのは文庫本の持ち方であって,電子ブックリーダーの持ち方ではないと思う.裏から鷲づかみにするか,さらに上にズラして上端を親指でつまむくらいが楽だろう.
というか,次の写真ではいきなり持ち方変えてるし.
なおKindleだと次のような製品も出ている.
Amazon【Tocuh】&【Kindle】専用 レザーケース ホールドタイプ
- 出版社/メーカー: minisuit
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
一冊1MBというファイルサイズは、白黒でそれほど長くない小説なら、まぁそんなものかなという印象だ。
すくなくともKindleストアだと各書籍に容量が明記してあるので,参考にしてみると良いだろう.一般に画像が多い本ほど容量も多くなる.
一方で課題なのは、初期設定の難しさとコンテンツ不足だ。特に初期設定に関しては説明書の不十分さもあり、この手のガジェットに慣れていない人は途中で投げ出してしまうかもしれない。ショップで使える状態になってから渡される携帯電話並に、手取り足取りサポートすべきだろう。そうでないと、一部で盛り上がるだけで終わってしまいかねない。
また、今はまだ仕方ないとはいえ、コンテンツ不足の感も否めない。これについては日本の出版社の意識が変わらないと難しいかもしれないが、大急ぎで増やして読者のニーズに応えてくれればと思う。
ヘルプ「本をダウンロードしたら、本のデータが壊れています」
http://kobo.faq.rakuten.ne.jp/app/answers/detail/a_id/18357/
Q,本をダウンロードしたら、本のデータが壊れています(ページが多数欠けている、画面が欠けている、など)
A,本のデータが正しくダウンロードできなかった可能性があります。
大変恐れ入りますが、以下のいずれかの手順に沿ってご対応いただくことをお願いいたします。
うーん,koboだと壊れたままでもダウンロードが完了しちゃうんだ.
Kindleだとダウンロード途中でWi-FiをOFFにしても,後で続きから再開されたような気がするけどな.壊れてダウンロードされたことって一度もない気がする.
それにWi-Fiにしろインターネットにしろ接続が途切れることはありえるのだから,途中でエラーが発生しようが物理的に切断しようが,続きからダウンロードするなり最初からダウンロードするなりする機能がなければ,それはバグということだぞ.
「楽天 Kobo Touch のセットアップでとても苦労した顛末 」
http://wildhawkfield.blogspot.jp/2012/07/kobo-touch.html
なぜこんな細かい部分まで気にしているかというと、使い勝手が良ければ親にプレゼントしようと思っていたんですね。でもボクの親世代には、URLを手入力してダウンロードサイトへ接続するという時点で、既にハードルが少々高いのです。
さて問題はここからです。KoboSetup.exeをダウンロードして開いたら、いきなりエラーが表示されました。
以下,初歩的だけど鬱陶しい様々なトラブルがこれでもかと.
たしかに機械音痴な人にはこの設定はムリだわ.*15
ボク:「すいません、Kobo Desktopがインストールできないのですが……」
サポ:「あ、まだ正式オープン前なので、15時以降に再度お試し下さい」
これはオープンが遅すぎる気がするなあ.koboが発送される前日くらいにはサーバーが動いていて,お客様の所に一台目が配達される頃には使えることが保証できていないと.単にデスマーチでサーバーのデバッグがオープン当日になっても完了していなかったとか?
都合の悪いレビュー消去
http://item.rakuten.co.jp/rakuten24-kobo/i001281088001/
http://review.rakuten.co.jp/item/1/281256_10000042/1.1/
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:-C_-z5FhuGgJ:review.rakuten.co.jp/item/1/281256_10000042/1.1/
うわ,汚え.
まさか負荷が集中して見れなくなるなんてことはないから,おそらく故意なんだろう.でもこれでネット上では今まで以上に炎上しそうだ.
再ダウンロード不可
それって致命的バグじゃないかと.
2バイト文字
これも結構大きなバグ.少なくともマニュアルやFAQには入っていてしかるべき.この調子だと,一通りのテストもやってないんじゃないかな.
CM/広報
「画面は、はめ込み合成です」的なCM.JAROってなんじゃろ.電子ペーパーを使ったリーダーはある意味では画期的な製品なんだけど,iPadみたいな動作を期待されると困るんだよね.だから「画面は読みやすいけどモッサリ.それでも電子書籍はすばらしいんです」ということはキチンと説明しておくべきだった.
概ね同意.どうも事前の宣伝が客を騙した形になってるようだ.電子ペーパーの長所だけでなく短所もきちんと説明していなかったのは,誠実とは言えない.騙された客が怒るのは道理.http://matome.naver.jp/odai/2134218163621081001
文字化け
もしこの通りだとしたら,iPad等のアプリが非公開になっているのはアプリの日本語化が済んでないせいなのかも.PC用とサーバーにも大きなバグが残ってるくらいだし,そこまで手が回らないのは十分ありえる.普通にバグだと思うな.*16やんわりとバグレポート送ってあげるのが親切.あれ?Kindleのブラウザでも,ほとんど化けなかった気がするんだが……虫眼鏡
ある意味でほほえましい光景.しかしアクティベートに失敗しているのは操作ミスじゃなくて,アプリやサーバーの不具合のせいだと思うんだよね.KOBO 3分間ショッピング
電子書籍を使い始めたら当たり前のことですが,「買いたい」と思ったら夜中だろうと外国だろうとネット接続がある限り5分もかけずに購入できる手軽さは感動さえ覚えます.マンガだったら1冊目だけ買ってきて,面白いと思えばその場で2巻,3巻と買うことができる利便性.気が付いたら全巻買っていたり.購入は計画的に.
品揃え
検索
自炊
これは知らなかった.Kindleでも使えるか試してみる価値がありそう.と思ったら全然ダメっぽい.っていうか,普通のPDFだとSubject:convertとしてamazonサーバーにメール添付で送ると,Kindle用に変換したのが送り返されてくるんだよね.*17
Wi-Fi
うーん,プロ向け機器なら許容範囲だけど,一般ユーザー向けの情報家電としては設計ミスレベルな気が.他にもWi-Fi設定で苦労している人がチラホラ.Kindleだと苦労した覚えがないんだけどなあ.*18
わかりやすさ
*1:「それはKindle TouchがXX年前に通った道だ」感
*2:「Kindleより全体にモッサリしている」とか「使いにくい」という意見もあった.
*3:思いつきだけど,新人作家に「うちから出版するので,デビュー後3年間は他社からの出版禁止」みたいな条件を出して,新しいコンテンツを開発していったりするのは面白いかもしれない.
*4:たとえば以下のカバーを注文した人もいるんだが,その人は気に入ってるんだと思う.気に入らなければカバーなんて買わないからね. 電子ブックリーダー 楽天kobo Touch専用フェイクレザーケース/コボタッチ用ケース【幡ヶ谷カバン製作所】ブラック コボTouchにぴったり マグネットタイプでしっかり閉じて、持ち運び時に大変便利
*5:無線LANをオンにし,多く書籍をダウンロードするなど頻繁に通信を行うと消費電力が増えて,使える時間も減るようだ.その場合でも一週間近くもつんだが.
*6: Kindleの場合は端末が届く前でも,或いは端末を購入しなくても,PC用アプリなどを使えばKindle書籍を読むことができる.Koboは端末を購入し,届いた後でもアクティベートに成功するまで書籍を読むことができない.
*7:それだけにアクティベーションがなあ.「Kindleなら簡単ですよ!」で高齢者が全部Kindleに取り込まれる恐れも.
*8:ボタンやタッチパネルの入力自体はもう少し早いのだが,入力は受け付けていても画面への描画は電子ペーパーの処理時間分遅れる.
*9:スムーズなスクロールやアニメーションは,仮に可能でも消費電力的に相当に不利になるはず.スムーズな動きは少しずつ移動した絵を秒間何十回も描画することで実現するが,電子ペーパーでは描画回数に比例して消費電力も増えるから.
*10:そういうこともあって,小説の様に順番に読む書籍には向いているが,技術書の様に前後に移動しながら読む時は辛いことも多い.
*11:Kindleの場合は「ブラウザ搭載」とは宣伝してなかったはずだよ.Experimentalの中にmp3プレーヤーなんかとならんで,こっそり入ってるだけ.
*12:Kindle Fire以外のKindle端末はモノクロだが書籍データについてはカラーの物も存在し,そういう電子書籍についてはPC上ではカラー表示される.他のカラー化されたデバイスでも同様だろう.
*13:ブラウザと同じで,Kindleの場合はpdfの閲覧機能も特に宣伝してない.
*14:A4やB5などの大きな書籍の自炊pdfをを縮小して小さな画面で見るのに適さないというのは,電子ペーパーや電子ブックリーダーの問題ではなく,拡大縮小に向かないPDFフォーマットの本質的問題.これについては電子書籍リーダーを批判するのは的外れ.
*15:amazon Kindleがアカウントの設定済みなのは,本当に重要なんだと納得した.ついでにKindleのパッケージからの取り出しが簡単なのも,意外と重要なんだな.もし一度取り出したら二度と元に戻せないようなパッケージだと,amazonの倉庫でKindleを設定するために取り出すことができなくなるんだもの.
*16:すごく耳に遺体.orz
*17:この時に3Gを使うとダウンロードで費用が発生するので,普通はWi-Fi経由でダウンロードするように設定する.Wi-Fi専用モデルならその辺りの心配は要らない.
*18:パスワードに大文字小文字を混ぜ過ぎたせいで,入力に苦労したというのはあったけど.