なれる!Service End特別編 『おわる!拡散性ミリオンアーサー』
http://app.famitsu.com/20141226_479007/
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1823130.html
- 作者: 夏海公司,Ixy
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2012/10/04
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いまだからお伝えすると、もともと『拡散性』を配信する前後で、とあるどうしようもない事情からコアスタッフが抜けたんです。その状態で運営を続けていき、ありがたいことにヒットはしていたのですが、それ以降に新しい展開や盛り上げ施策を行おうとしても、うまく運営ができずにいました。
コアスタッフが抜けてしまったがゆえに、核となるプログラム部分がブラックボックスのようなものになってしまい、それを手探り状態で更新していたんです。
この辺りから、抜けたコアスタッフがプログラマーかそれに類する職の人間だと分かる.
それをなんとか打破しようと考え、運営1年後のタイミングでいまの運営会社に移管をしました。
運営を変えても,技術的負債は減らないよ.
そのタイミングでプログラムを1から作り直そうという話もあったんですが、通常の運営をしながら並行して新規でプログラムを作るのは思った以上の難易度で、想定していた作りにはなりませんでした。
いやそれ想定通りだから!糞プログラムのブラックボックスを渡されても,保守するだけで地獄だから!
糞マネージャーは『想定外』と言っておけばなんでも免罪符になると思うな.*1
結果、運営のしやすさはさほど変わらない状態で、新しい仕組みを取り入れることも難しくなっていました。そのような大きな壁にぶつかったことが、ひとつの要因です。
見たわー.それなれるSEで見たわー.orz
開発者を使い捨てにしている日本企業では良くある話なんだわ.ゲームで且つヒット作になって表面化するのが珍しいだけだと思う.不人気ゲームなら撤退してもスキャンダルにはならないから.
「もともと継ぎ接ぎで作ってるシステムだし.何か弄る度にすぐ不具合が出てくるのよ.ドキュメントも揃ってないし,いくつかのサーバはログインパスも不明だし……」
- 作者: 夏海公司,Ixy
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
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ギリっと爪を噛む音.
「既存ベンダーは非協力的で運営会社もシステムの中身にはノータッチ.そのくせデグレは許さんとかリードタイムは変えるなだとか.どいつもこいつも好き勝手なことばかり言って.……だいたいなんで私が他人の設計を踏襲しなきゃいけないのよ.あんな適当で冗長な仕組みをそのままコピーしろだなんて.バカにするにもほどがあるわ.ー燃えればいいのに」
「む,室見さん?」
室見の顔が徐々に険を帯びていく.つぶやきながら激高してきたのか,彼女は拳で机を叩いた.
「二十四回よ!二十四回.この意味不明なシステムのせいで私が夜中にたたき起こされた数.そのうち十回は既存サーバの不具合.あとの十四回は顧客の監視停止漏れ!全部,こっちの増設作業のせいにされて,原因が分かった後も連中謝りさえしない.それでもなんとか当座の運用フローをまとめて引き継ごうとしたら,あのOS部の馬鹿どもが−−」
http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20131230/p2
- 作者: ダグラス・R.マウロ,ケビン・J.シュミット,Douglas R. Mauro,Kevin J. Schmidt,土本康生,福田剛士
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- メディア: 単行本
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そうですね。あと僕が特モバイル二部という部署を立ち上げたときに掲げたスローガンで、“FAST ONLY ONE, MOST”というものがあります。これは、“誰よりも速く、誰もが作ったことがないものを、誰よりもたくさんつくる”というものです。『拡散性』が売れた2012年くらいの頃は、多産多死がありえた時代でした。これに則ってチャレンジし続ければ、そのなかからヒットもでるだろう、と。思い返せば、そのときに多産多死を選ばなかった人たちが勝ち残ったわけなんですよね。
要するに「企画屋が無能で,何がヒットするか見当も付かないから下手な鉄砲も数打ちゃ当たるで,弾をバラ撒けば運が良ければ一発くらいは当たるんじゃね?」という話だよね.それでバラ撒かれる弾を作るコストとか,浪費される技術力とか,低下するコード品質と蓄積される技術的負債とかは考慮しなかったのかな.なんで企画屋さんは,こんなにコスト意識が希薄なんだろう.
かつてKONAMIの兼吉(完聡)さんとのインタビュー(※ファミ通App NO.007 Android、ファミ通App NO.008 iPhoneに掲載)で、「『拡散性』で売れた分のお金は新作に回してます」と言ったとき、お客様からの反感を物凄く買いました。あれはすごく不用意な発言だったと反省しています。で、『拡散性』の売り上げで新作を作った結果どうなったかというと、『拡散性』はもともと手負いだったのにさらに薄くなっていき、時間のリソースも割くことになってしまった。いいことが全然ないんです。『拡散性』で稼いだお金は『拡散性』に還元するべきだったんです。
http://b.hatena.ne.jp/entry/app.famitsu.com/20141226_479007/
- id:knjname こういうことがあった後に属人性を排除しようとか言い出して自滅するただの凡人の集団を知っている
激しく同意.
- id:gsindiv 見た目的にはブラックボックスになるような複雑なコードが必要なアプリには見えないが、ソシャゲになるとやっぱ色々と複雑になるのか?それともクソコード案件か
- id:nakakzs 一人抜けただけでサービス終了って、ナーシャ・ジベリクラスの人間が抜けたとしか。もしくはソースがもうとんでもない状態で逃げたというよくある話か。
- id:skifuyu ポチポチゲーがブラックボックス化するとか…って思ったけどあそこホントピンキリだからあり得るか.3Dゲー担当なのにソートも知らず半透明の描画がおかしくなるんですとか言い出す奴居たし
- id:tamagooishii やっぱ有能な人材は手厚くもてなしておかないと
- id:yogasa やめたプログラマのせいにしたいのかな。仕方なかった,みたいな。
- id:houyhnhm あの半端ないヤサグレ感が良かった。属人的という事でまあ何の分析もないので多分今後も期待は出来ないでしょうね。仕様書とかではなくて、単純にスキルが低いだけっしょ。
- id:solidstatesociety 単純に属人化が悪いと考えても進まないだろう。むしろ開発リソースは圧縮の方向にある。多産企画の見直しと統合がここで図られて幸いだと思う。
- id:gomibako 拡散性サービス終了の話。面白いが大変だな。スクエニでもこうなんだから、零細企業が自転車操業でまわしてるソシャゲとかもっと大変なんだろな。 / 突如発表された『拡散性ミリオンアーサー』 サービス終了の真相を
- id:imaiworks コンシューマーゲームってリリースしたら解散(=退職)って感じだったらしいから、逆に長く居続けるってのがレアケースなのでは?
- id:you21979 開発会社はマイクラとかヘドロックと探せば情報出てるけどあんまり前にでてないんだよな
- id:KoshianX 多産多死モデルって投資の話であってサービス作る側はそりゃ集中しないといかんだろうとは思うんだが。いやでも5〜10年前ならサービスも小さいものをたくさん作って売れたものを大きくするモデルもありえたか
この「規模」ったって,元請の親会社の名前が売れてるとかスケール化した結果,最終的に利用しているサーバー台数が多いってだけの話で,実際に開発しているプログラマは1〜2名じゃね.それも下手すると下請け/孫請け/曾孫請けの非正規雇用.
- id:htnmiki ある程度長期間の運用が期待される案件でコアスタッフ抜けてブラックボックスでーすって、よく顔出せるな。恥ずかしくて山に篭もるレベルだと思うんだけど。腐った業界だ。
長期間の運用が期待されたのは結果論だしな.
「ヒットするまでは長期間の運用を想定しないので,品質は度外視でリリース速度重視」ってすれば,そりゃあ後で地獄を見るのは当然.品質の後付けはとてつもないコストがかかるよ.ソシャゲくらいなら作り直した方が安いくらいじゃねと.
- id:sander このご時世にコアメンバーとは言え、人が居なくなってにっちもさっちもいかなくなるプロジェクトが存在してたとは/“属人性ミリオンアーサー”噴いたw
- id:hobo_king 個人の抜けが切っ掛けで老舗開発会社の運営コンテンツがコケるって会社として終わってる。過去から全く学習してないって事だろ。……このインタビューを「ありがち」と受容出来る人も業界に毒されてるね。
- id:uturi 属人性が高すぎた(コードがひどいとか仕様書が無いとか)のが原因かな。こうやって撤退する理由を語ってくれるのは貴重だ。/こんなにシリーズが出てたとは。
- id:feilung コアスタッフが抜けようが、まともな仕様書あればブラックボックスにはならんだろうて。
- id:VoQn 属人性事案だ ”コアスタッフのプログラマが抜けて施策入れられなくなった
素人判断乙.個人スキルに依存しないITプロジェクトなど存在しないよ.属人性排除すればメンバーが抜けても大丈夫(キリッ)なんて大嘘.
- id:uunfo 少し遊んだけどストーリーやキャラの違和感は消えなかった。この変なタイトルを考えたのは誰なんだろう。普通の感覚ではないと思う。すごく気になる。
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- id:homarara ソースコードがあっても保守できないケースは3つ。使われてる技術が高すぎる場合、低すぎる場合、仕様書が無くて何が正しいか判らない場合。どれもよくある。
おおむね同意.
でも日本で一番多いのは,「低すぎる場合」じゃないかな.COBOLで書かれた銀行システムは「正確な仕様書がない(何が正しい動作か彼ら自身も知らない)」(+技術が低すぎるのコンボ?)じゃないかと思うけど,そんなのは例外中の例外.
- id:t_shimaya 1人の天才が大半を書いて周辺をその他の人が書いてるとこういうことになりがちな気が。内容が高度だとソース読んでもなに書いてあるかわからんとか。
だから普通は,そんなことはない.高度すぎて分からないコードが必用になるのはごく限られた分野だし,天才はどこでそれを使うべきか見極めることが出来る.また,そういう所だと周辺書く人もエース級だろうし.
- id:sukekyo よくわからないけどお粗末な話だよな。商店街のラーメン屋かって。店主の味の秘密がわからないので作れない的な。
ある意味で的確な比喩だと思う.
「美味しいラーメンを作ってくれ」よりも「できあがったラーメンだけを参考に,あそこの店主のラーメンの味を100%再現してくれ(ただし原材料や使った調理器具やレシピに関しては全て秘密です)」の方が難易度が高いようなもの.店主の作ったラーメンが不味くても,それを再現するのは難しい.それが料理のイロハも知らない素人が作った闇鍋のような料理の場合は特に.
- id:an56 エニックス系は社内P一人で開発は社外の全く名の知られてない底辺が請負てのがほとんど。
- id:sumida 因みに、某FFでは制作途中にシナリオチームの下請け(という名のメインライター陣)をリストラしてしまってえらいことになったという。
- id:flowerload むしろコアスタッフ云々の方が表向きの方便で、実際には運営やら設計やらのお粗末が招いたものかも →http://teruyastar.blogspot.jp/2014/12/blog-post_28.html?m=1
- id:anoncom コアスタッフっていっても開発は外注だったみたいだし、外注先の中での話しにもなるんだろうけど、それでも人もプロジェクトもしっかり管理出来てなかったっていうのはねぇ。
- id:fkatsya 業務系の世界ではコードの属人性を廃したい場合でも納期(≠予算)が少ないと大体ゴミみたいなコードと文書ができるイメージですが、ゲーム開発とか複雑そうだしさらにそうなりやすいのかなぁ。
- id:makou 15年位前からゲーム業界はそんな調子だったよ。逆に、開発を中止に出来る程度の復讐ができるほうがまだ、退職する人間にとっては有難そうだけどね。
- id:rig コアのプログラマを高待遇で抱えて管理業務を外注するべきなのに日本企業がやってるのは真逆だからなw
- id:m_uchino えー、そんなの普通じゃね?別にゲームに限った話じゃねーし。
- id:taketyan 札束で殴ってなんとかできないこともないと思うし、そこまでやるほどの採算が見込めなかったってだけのことではないの?
- id:strawberryhunter 今年話題になったスクストの作り方を解説したプレゼンへのコメントでもプログラマが消えた場合の事が危惧されていたが、現実に起こる事だとは思わなかった。儲かるなら別のスーパープログラマを使えば良いのでは。
- id:sona-zip このときに担当者が抜けたからしょうがないと言っていてはプログラマの待遇は改善しない 今後はメンテナンス性の高い読みやすいコードを書くことや、プロセス、体制作りを評価するようにしないと
- id:
- id:not_lib アプリゲームなんてそんな複雑高度なプログラム組んでるの?絵柄が違うだけでどれも似たり寄ったりなのに
高度な技術なんてなくとも,保守不可能なコードは簡単に作れます.むしろ保守できるコードを書く方が高い技術が必要になる.しかも元請の方が保守性を犠牲にしても短納期を推奨してればなおさら.
「ソーシャルゲームの影。儲からないソーシャルゲームの一生とは - ソシャゲ業界の片隅で3」
http://www.gamecast-blog.com/archives/65816413.html
参考になりそうなので追記.
そんなイメージ通りの会社があるのは紛れもない事実です。
しかし、世に存在するソーシャルゲームの大半はイメージ通りではなく、死ぬか生きるかの瀬戸際にあることをご存じでしょうか。
今回は、多数派の儲からないゲームの一生を順を追って説明したいと思います。光あれば闇もあるのを知っていただければ幸いです。
赤字ではないので完敗ではありませんが、やや辛い結果になった『ゲームキャスト』には2つの道があります。
1つは運営人数を減らして黒字幅を増やしつつ、赤字になったら終わる「短期終了コース」。あくまでイメージですが、SAP系(元々ゲーム会社ではないメーカー)で企業体力のあるメーカーの場合、儲けが少ないアプリはすぐに終了して新しいアプリを作ろうとする傾向が強いと感じています。
自分が関わっていたアプリも、そこそこ黒字で閉鎖になったことがあります。何もできずに閉鎖するショックはかなり大きいですね。もう1つの道は、さらに広告を打ったり、積極的にゲームを改良して利益を増やそうとするコースです。『ゲームキャスト』も売上げが1,500万ぐらいになれば生きる目もでてきますからね。
こちらはアプリの売上げが悪くてもプレイヤーに愛されている(つまり、何かしら長所があると認められた)ときとか、次のアプリを作る体力がない企業が選択します。しかし、スタートダッシュに失敗したアプリは、何かの幸運に恵まれるか大々的に改修して再度広告しないと伸びません。
「ソーシャルゲームは絞りすぎ」
「簡単に儲かる」などと言われることもありますが、派手に儲けていないゲームの方が多く、影に悔しい思いをしている開発者がいることを知っていただけると嬉しいです。
がるの健忘録「どうしたものやら…」
*1:「IPアドレスが判明すれば、捜査は半分終わったようなものだと思っていた。想定外の事態ですよ」 http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1735003.html http://togetter.com/li/391847